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世界31カ国でサービスを展開する地域口コミ情報サイトYelpでエリートになる方法とは?

2015年09月28日 19時30分更新

Yelp

 みなさん、こんばんは。週刊アスキー/ASCII編集部の吉田でございます。さて先週の25日、iPhone 6sシリーズの発売日にワタクシは、表参道にあるブルーボトルコーヒー青山カフェにて「週アスカフェトーク」の第3弾として「ローカルレビューサイトYelpの知られざるテクノロジー」と題した対談イベントを、Yelpの東京コミュニティーマネージャーを務める中澤理香氏を招いて開催しました。当日は天候がかなり思わしくなかったのですが、朝7時半からのイベントに30名を超える方に参加いただきました。

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東京コミュニティーマネージャーを務める中澤理香氏。Yelpの真っ赤なジャージが似合ってますね

 まずは、カフェトーク恒例の本日のコーヒー紹介。中澤氏がチョイスしたのは「ベラ・ドノヴァン」。ブルーボトルコーヒーでも人気のブレンドコーヒーですね。インドネシア(スマトラ島)とエチオピアのブレンドで、スモーキーさとシトラスの香りが特徴です。

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カフェトークで提供されるコーヒーについてはチーフバリスタから詳しく解説してもらいました。

 個人的には、ブラックで飲んでもそれほどの酸味は感じず、口あたりはまろやか。ほのかな甘みも感じました。ブルーボトルコーヒーでは、ミルク入りもお勧めしていました。

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今回のコーヒーは中澤氏チョイスのベラ・ドノヴァン。インドネシアとエチオピアのブレンドでほのかな甘みが特徴です。

 Yelpは米国で2005年に、日本では2014年4月9日にスタートしたローカルレビューサイト。ひと言でいうなら、地域密着型の口コミサイトです。

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Yelpの米国本社の受付はこんな感じ

 1カ月あたり全世界で1億5000万人超のユーザー(ユニークビジター)がアクセスする人気サービスで、レビュー数は現在、8300万件を超えているそうです。中澤氏によると「サービス当初はレビュー数も少なかったが右肩上がりに増え、株式を公開した2012年ごろからは急激にレビュー数が増えた」とのこと。

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レビュー数は全世界で8300万件超

 モバイルサイトの訪問者も2012年以降上昇傾向で、iPhoneをはじめとするスマホとの相性がいいことがわかります。その一方で、デスクトップサイトの訪問者の数の多さにも注目です。緩やかではあるものの上昇傾向のまま推移しています。

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モバイルサイトの月間のユニークビジター数は8300万人
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PCサイトの月間のユニークビジター数は7900万人

 Yelpは、食べログやRettyなどの飲食店のレビューサイトと似た部分があるものの、ワールドワイドでサービスが提供されている点、飲食店以外の情報も得られる点などが異なります。サービスを提供している31カ国でのレビュー内容の分布を見てみると、意外に最も多いのがショッピングのレビュー。中澤氏によると「ショッピングの比率がレストランよりも多いのは、衣服や靴、雑貨などの地域のさまざまな店舗のレビューが集まっているから」だそうです。

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飲食店よりも服や雑貨などの店舗のレビュー比率が高いことがわかります

 ほかのローカルレビューサイトには見られない傾向として、ホーム&ローカルサービス、ビューティー&フィットネス、ヘルスといったカテゴリーのレビューが充実している点です。電気や水道の工事会社、美容院、ネイルサロン、そして病院の評判までチェックできるのです。「Yelpは、もともとは創業者が近所のいい歯医者を見つけるために立ち上げたメーリングリストのようなサービスだったのですが、時間が経つにつれて飲食店などの地域情報が集まりだしたことを受け、現在のサービスの原型ができた」と中澤氏。

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美容院で検索すると付近の店舗がリストアップされます
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電話番号や場所などの詳細な情報もチェックできます
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病院のレビューも見られるのがYelpの特徴
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各個人の意見ですが病院に対応などについてのレビューも見られます

 そのあと中澤氏は、Appleの元CEOである故スティーブ・ジョブス氏が2010年に開催されたD8(オール・シングズ・デジタル)での基調講演でネット広告事業への取り組みについて触れた部分で「人々は店を探すのに検索ツールではなく、直接Yelpのアプリから探す」というコメントを引用し、Yelpが米国のユーザーの必須サービスになっていることを紹介しました。

 実際にAppleとYelpは、iOSの「マップ」アプリで連携しており、「マップ」アプリで対象地域を米国の都市に設定して、飲食店や料理のジャンルを入力するとYelpのサイトからの情報が表示されます。

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「サンフランシスコ bluebottle coffee」で検索した結果。★マークの右端に「Yelp」の文字が見えます
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店舗の詳細ページを開くとYelpに投稿された写真を見ることもできます

 米国などではそのほか、テイクアウトやデリバリーの予約、サーフショップでのレッスンの予約なども可能とのこと。

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飲食店でのテイクアウトや宅配の予約をYelp上から実行可能
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生花店からのデリバリーにも対応
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サーフショップでレッスンの予約も可能です

 前述のように米国では病院のレビューも充実していますが、実際に病院の空きベッド数や衛生スコア、そして政府機関への意見をYelp上から確認や投稿ができます。

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米国では、病院の空きベッド数や衛生スコアを確認したり、政府機関への意見を投稿したりできます

 中澤氏よると「米国から日本に訪れるとYelpを利用して飲食店を探す観光客が多い」とのこと。実際にYelpでは、東京に訪れた観光客の評価が高かった店舗や施設のランキングを発表しています(関連記事)。

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外国人観光客が訪れる店舗の1位は表参道にある「オモテサンドウコーヒー」。古民家を改装したカフェで、もちろん日本人にも人気です

【外国人に人気の東京スポットベスト10】
1位 オモテサンドウコーヒー(コーヒー/表参道)
2位 鮨よしたけ(寿司/新橋)
3位 染太郎(お好み焼き/浅草)
4位 無敵家(ラーメン/池袋)
5位 神戸牛懐石511(ステーキ/赤坂)
6位 花月堂(そば、パンなど/浅草)
7位 新宿御苑(公園/新宿御苑前)
8位 ヤスダ(寿司/西麻布)
9位 東京ソラマチ スカイツリービュー(展望台/押上)
10位 ステーキハウスさとう(ステーキハウス/吉祥寺)

 ランキング1位は、表参道にあるカフェ「オモテサンドウコーヒー」のほか、12位には月島にあるフクロウカフェ「フクロウのみせ」、16位には秋葉原にあるゲームショップ「スーパーポテト」など個性的な店が数多くランクインしています。「実は外国人のレビュー数で最も多かったのはラーメン店の『一蘭 渋谷店』で、味だけでなく店舗のシステム(1人ごとの間仕切り)などが評価され、日本に来ると必ず立ち寄るという人が多い」とのことでした。

 中澤氏によると「Yelpは、サービスを提供している31カ国のどこに行ってもアプリや設定を切り替えることなく使えるのが特徴です。ユーザーが設定している言語に合わせてその言語のレビューが優先的に表示されるので、気になる店舗を探しやすいです。例えば、カリフォルニアでブルーボトルコーヒーを検索すると日本語で書かれたレビューが最初に表示されます。Yelpのアプリには自動翻訳機能も備わっているので、英語のレビューをその場で翻訳して内容を確認することもできます」とのこと。

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言語を日本語に設定している場合は米国に訪れた際も、日本語のレビューを先に読めます。
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前述した一蘭 渋谷店のレビューは外国人の投稿であふれています
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翻訳ボタンを押すと機械翻訳されます。翻訳自体はBingの翻訳サービスを利用しています

 気になるYelpのレビューシステムですが、実はレビューの品質を評価するアルゴリズムは完全自動で、「その中身はYelpの数人の社員しか知らないコア技術」と中澤氏。「あまり具体的なことは言えませんが、レビューが1件しかないようなユーザーの評価は総合評価から外す傾向ですが、そのユーザーのレビューが増え、そのユーザーのYelp上の友達が増えることで、過去に書いたレビューが総合評価に組み込まれるといった仕組みです」とのこと。

 もちろん、Yelp上のレビューや友達が増えることでユーザーの評価が自動的に上がるという単純な仕組みでなく、中澤氏のように世界各都市に散らばるコミュニティーマネージャーの役割が重要のようです。「東京では月1回以上のイベントを開催して、ユーザーとの情報交換を欠かしません」とのことでした。日本には現在、東京の中澤氏のほか、大阪と福岡に地域密着のコミュニティーマネージャーを配置しており、各地でイベントを開催しているそうです。コミュニティーマネージャーが居る地域のレビューが多いのはもちろんですが、札幌、仙台、名古屋、京都、神戸などもレビュー多い地域で、現在コミュニティーマネージャーを募集しているとのこと。

 「『エリート』と呼ばれる良質なレビューを投稿してくれるユーザーを認定する制度もあります」と中澤氏。「エリートになるには、最終的には米国本社での認定会議をパスする必要があるのですが、その前にコミュニティーマネージャーがエリート候補のレビューなどをチェックしてきちんと内容を把握します。エリートは本名の公開が原則ですので、ニックネームなどを使っているエリート候補者には私から直接コンタクトを取ることもあります」とのこと。

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中澤氏は「エリート’14」「エリート’15」に認定されています。

 このエリートシステムは永久資格ではなく年次更新で、該当ユーザーには名前のあとに「エリート’15」のようなバッジが付きます。日本では2014年スタートのサービスなので2回連続が最高ですが、のべ5回選ばれるとゴールドエリート、のべ10回選ばれるとブラックエリートに認定されます。「エリートになっても報酬や特典があるわけでないのですが、みなさん多くのレビューを投稿されています。エリートの認定は各国のコミュニティーマネージャーからの推薦で決まりますが、他国で獲得したエリートの実績も残るので国をまたいでのゴールドエリート、ブラックエリートの認定も可能です」とのこと。

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Yelpの日本代表である高田氏はゴールドエリートです

 イベント後の参加者との質疑応答で「どうやってマネタイズしていくのか?」という質問に対しては、「基本的には広告出稿によって収益を得るスタイル。米国など10カ国程度では実施中だが、日本では2014年に始まったサービスなので現在はユーザーイベントなどを通じて各地域のコミュニティーを強化し、良質なレビューを数多く集めている段階」とのこと。「エリートになるには?」という質問については、「ユーザーは、実名登録と顔写真をアップしているのが最低条件。あとは各地域のコミュニティーマネージャーがレビュワーの動向を細かくチェックしているので、良質なレビューや写真の投稿が多くなればエリート候補になる可能性は誰にでもあります」と教えてくれました。

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米国などでは検索結果の上位に「広告」と明記された店舗が表示されます

 直近のユーザーイベントとして、復興庁とコラボした「東北おすそわけDay」が10月18日(日)14時に開催することも発表されました。これは、東京・横浜・京都・大阪・福岡の5都市で同時開催されるイベントで、各地で40名以上のYelpユーザーを無料招待するとのこと。もちろん、エリートじゃなくても参加できます。各地とのリアルタイム中継も予定されているそうです。

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 日本ではサービス開始から1年半程度でまだまだレビューは少ないですが、コミュニティー活動が活発で良質なレビューが掲載されるなど、今後の日本での発展が楽しみなサービスですね。

■関連サイト
Blue Bottle Coffee
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■東北を食べよう!Yelp x 復興庁「東北おすそわけDay 」
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