みなさんこんにちは!ドラゴンファングの開発総責任者の松田です。今回はPvP実装についてのお話を書かせていただきます。
本来であれば「新機能です!」とか「こういう遊びです!」みたいなのを書くべきなのでしょうが、今回はなぜこのタイミングでPvPをつくったか?というお話を書きたいと思います。
PvP実装の発表を期に、多くのユーザーさんからさまざまなご意見をいただきました。サポートの北島も含め、特にこれは!と思うご意見に関しましてはしっかり社内でも共有されております。
いただいたご意見の内容や、今のタイミングなどを考慮した結果、今後の想定も含めて私の考えや気持ちなどを皆さんにシェアさせて頂くべきと判断しました。ですので、今回は今までの週アス記事とは少し毛色が違うかもしれません。
PvPのコンセプトは短時間で楽しめる新要素
今週からPvPがプレオープンします。未完成な状態ではありますが、ユーザーさんに触れてもらい、フィードバックをし、修正したいと考えています。コンセプトは短い時間でも楽しめる新要素。毎日、気軽に遊んで頂ける要素として導入しています。特にプレ期間は、お得な特典をご用意しておりますので、是非触れてみて頂けると幸いです。
さて、私が考えるスマートフォンゲームの構成要素には大きく2つがあります。
1、ひとりで遊んでおもしろい部分
2、ほかのユーザーと遊んでおもしろい部分
この両方があって初めて今の時代のスマホゲームとしてのパッケージとなります。車で言えば両輪でしょう。右と左。どちらのタイヤが無くても車は進めません。しかしご存知、ドラファンは何を隠そう、その片方の車輪がないタイトルでした。ずっと‟ひとりで遊ぶだけのゲーム”でした。
友ガチャはありますが、あれはユーザー同士でトクをして欲しいという気持ちで創りだしたものなので。多くの方とやればやるほどトクをしますが、ゲームではありません。これはそもそもビジネスとしてありえません。スマホでゲームを出す意味や、運営ありきのゲームを出す部分とビジネス的には大きく矛盾します。しかし、トイディアは会社全員の総意として、それを選んでここまで来ました。
トイディアメンバーのほとんどはスマホゲームの開発が初めて
私は元々家庭用ゲーム機のクリエイターでした。トイディアのメンバーのほとんどどがいわゆるソーシャルゲーム開発は初めてです。スマホはそもそもが電話であることから、常時通信でのやりとりが可能な最高のゲーム機です。今までの家庭用ゲーム機よりも手軽に通信に特化した端末な訳です。今でこそ当たり前になりましたが、これはもう凄いことで通信を意識せずに世界中の人々と繋がれるゲーム端末なんて夢の機械だと思ってます。
我々トイディアが‟この時代のローグ”をつくるからには、そういった通信要素や他人と絡んで遊ぶゲーム性は必須と考えていました。そういう部分をつくらないなら、そもそもドラゴンファングは800円売り切りとかでつくるべきだったと思います。昔からドラゴンファングをご存知の方でしたら知っているかもしれませんが。ドラゴンファングは元々売りきりゲームとして開発を考えてスタートしていました。もし、そのままならあまりゲーム的にはローグの進化に挑むことはなく、すごくコンパクトなボリュームで完成度は高いゲームとしてつくっただろうなと今でも思います。
しかし、本当に私も大好きであるチュンソフトさんの『トルネコ』や『シレン』の往年の名作の絵を変えただけのゲームが生まれてしまいます。そのようなゲームは作りたくありませんでした。というかつくるべきではありません。
このあたりの気持ちの話を書き出すと、本当に長いので割愛します(ご興味ある方は、過去の開発日誌など読んで頂けるとご理解頂けるかと思います)。
スマホでのローグライクには“他のユーザー”と絡む必要があった
どうしてもスマホ時代のローグをつくるからには‟他者と絡む要素”をつくる必要があります。逆に、そういう要素を2015年内に入れる!という話は2014年の東京ゲームショーで、インタビューなどでも話しましたし、ある種ユーザーさんとの約束だったのです。ただ、トイディアは少人数での開発と運営。それにソシャゲの運営経験者はいない。リリース直後から毎日が泥だらけの体当たり運営でした。今でも、そのあたりの感覚はあまり垢抜けていません。
本当に長い長い道のりを、ユーザーさんと社員と一緒に育ててきたなと思います。なので、「実はこうやって開発していくぞ!」という予定は去年からぶれていません。そもそも未完成なゲームで、運営しながら開発して育てていくしかないタイトルでしたからリリースの時からこう進化させていきたい、みたいな構想は計画しました。昔から私の中にある、年間での開発予定計画。「こうしてドラファンの開発を育てていくぞ」という当初の開発計画を、なんとかこなしているのが今の状態です。運営や新規の開発をこなしながら、本当に社員はよく付いてきてくれています。
「他人と絡むゲーム要素を今年の中旬には実装する!」と決めていましたが、内容に関しては実はいくつも候補がありました。
●ひとりで遊んでやり込める要素
●他人と絡んでサクサク短時間で楽にやれる要素
●他人と絡んでほかのゲームでは実現していない新しい遊びの要素
大事な点なのですが、ユーザーさんの気持ちも有限。社員の開発へのモチベーションも有限。どちらも生物なので、ものを生み出すために重要な要素が両方限られた大事な資産なのです。
つくりたい構想はどれも開発期間や開発の負担などあるわけです。我々は少人数開発であり、運営もあります。最初に実装するものが、あまりに体当たりチャレンジ過ぎると大失敗が怖いのです(怖いというのは、ユーザーさんに迷惑をかけるという意味での怖い、です)。
優秀な社員達ではありますが、何にせよ全員が複数仕事兼任の何でも屋で開発しています。その新規要素だけに集中してほかのことは知らん!という仕事をトイディア社員はしていません。なので、どうしても新規要素には至らぬ点などが多い実情があります。社員の負担が大きすぎると、そのクリエイターは擦り切れてしまい、クリエイティブの質も下がります。このあたりの開発負荷の手綱さばきは、少人数開発では本当に命がけの部分です。下手に器をあふれる開発を推し進め、新規要素サービス直後に大炎上、ドラゴンファングはそれでいつでもサービス終了になれるタイトルです。
小さい会社ですが、丁寧にその部分に気を使って社員も頑張っています。きっとそこで大炎上したら、切れてはいけない何かが切れることでしょう。
議論し、悩んだ結果がPvP
ドラゴンファングはまだまだ未完成なタイトルです。やりたいこともたくさんあって、その順番などはゲーム開発の負荷、期間、お金の問題などを総合的に考えながら組み立てる必要があります。
今までの間に、なんとか配信当初から構想があった『拡張性の高いローグ作成エンジン』はファングエンジンという形で一応の完成度をみました。この完成がビル工事の基礎の部分であり、基礎がしっかり出来てなければ高層ビルは建てられません。なんとか社内の目標どおりに春頃に開発できたので、今は非常に助かっています(コラボダンジョンなどで特徴が出せるのは、実はファングエンジンの柔軟性あればこそです)。
なので、昔からの目標どおり7月リリースまでに他人と絡んでおもしろい要素をつくり始めたわけですが。候補は前述したとおり“ひとりで遊んでやり込める要素”、“他人と絡んでサクサク短時間で楽にやれる要素”、“他人と絡んでほかのゲームでは実現していない新しい遊びの要素”のこの3つ。どれもドラゴンファングで実現したいゲーム的な夢はありますが、どれも一長一短。それぞれに良い理由も駄目な理由があります。トイディア社員も寝る間を惜しんで開発してますが、本当に悩みながら選びました。どういう順番で実現するのが、今後の進化を見据えて正解なのか…とか。そもそもユーザーさんに喜んでもらえる段取りはなにか…とか。ずいぶんと議論し、悩みました。
その結果、最初の一歩にドラファンはPvPという形を選びました。PvPで終わりということではなく、あくまで他人と絡むゲーム性導入の第一歩としてのPvPです。ランキングの仕組みやユーザーさん同士のマッチングなどのゲームの裏方的な‟望まれる機能”の基礎となる部分を、PvPでつくり出せます。また、正直な事を書きますが、ランキングや気持ちいいマッチングを実現させるのも、とても難しいことだと感じながら開発してきました(皆さんが遊ばれてる名作と言われるほかのゲームの開発者の才能には敬意を抱きます)。
PvPは他人と遊ぶ要素の第一歩
PvPはドラゴンファングにとって‟他人と遊ぶ要素の第一歩”です。これで完成!おしまい!では当然ありません。むしろ、これからどこまでスマホ時代のローグの進化を実現できるか。会社とタイトルが存続する限りチャレンジを続けていきます。
ドラゴンファングの運営はいつも言われていますが、まだまだ下手です。情報の出し方や伝え方、細かい部分も含めていつも余裕がありません。なので、皆さんが思われる‟自分たちがもっているドラファンの機能”や‟スマホ時代のローグとして欲しい機能”などありましたら、いつでもサポート宛にご意見やご要望を下さい。ゲームつくっている我々も人間ですので。大いに悩みながら毎日の開発を進めています。いただいたご意見に従うというお約束は出来ませんし、すべきではありませんが、ローグを愛する人の気持ちや本当にゲームをやりこんでくれている人の気持ちが通じない世界であるはずがありません。
タイトルは存続する限り折々で大きな節目を迎えます。今も記念すべきドラファン1周年を前に、今後のために私の中でいろいろと悩みぬかねばならない時期です。とりとめもなく、悩むままに書いたつもりです。なかなか、こういうものは過去の経緯やそもそも論を含めて、誤解なく語ることが難しいものだと思います。しかし、誤解を恐れず、思ったままに書かせていただきました。言葉足らずな部分は、皆さんの想像や、今までのトイディアを見て評価していただくしかありません。来週も、もしかしたらこういう悩みを週アスで書くかも…しれません(それか、PvPの具体的なお話)。
トイディアはこんな会社です。私も、こんな人間です。今回のこの週アスの記事も、まったく語り足りないだろうなとも思います。ユーザーの皆さんにご迷惑をおかけしていることも多いのだろうなと、申し訳なくもなります。しっかりお約束できることは2つでしょうか。
・PvPはローグ時代の進化構想の第一歩でしか無いこと
・これからもスマホ時代のローグとして、新しい遊びの要素を開発していくこと
どうぞこれからもドラゴンファングをよろしくお願いいたします。
■関連サイト
・ドラゴンファング 公式サイト
・ドラゴンファング 公式Twitter
『ドラゴンファング』
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