今週末の12月6日にIngrssの世界同時イベント『First Saturday』が、日本では千葉と八戸と東京(立川)で開催されます。これは両陣営で集まり、Ingressをはじめた新米プレイヤーにAP(経験値)を稼いでもらいつつ各種プレイスキルを磨いてもらおうという、いわば新人育成イベント。
因みにこのイベントはIngressユーザー自身の手によって運営されます。ここでは、11月1日に開催された第1回『First Saturday』を京都で主催したTakaneLoveさんに、イベントの模様をリポートしていただきました。今週末のイベントに参加される方は要チェックです。
【イベント仕込み】
11月1日、初めての『First Saturday』イベントが世界中の都市で行なわれました。応募された都市の中から公式に選ばれたのは24都市。
会場当日の様子、ならびに主催者側から見た当日までの舞台裏を、京都でイベントを主催した私レジスタンス(青チーム)のエージェントTakaneLoveがお伝えします。
Ingressの開発チームであるナイアンテック・ラボからFirst Saturdayイベントが発表されたのが10月14日のこと。すぐにエンライテンド(緑チーム)のエージェントa2ch0riから連絡がありました。
「やろう!これやろう!」(原文ママ)
元々a2ch0riと私は陣営を越えた交流を目指してずっと活動をしてきました。ゲーム内では対立する陣営として「ガチ当たり」するのは当然ですが、同時にIngressを楽しむ仲間として交流を持つことで、より多くのエージェントがIngressを楽しんでくれるのではないか? そう考えてきたからです。
例えばオーナーポータルを攻撃された時を想像して下さい。見知らぬ相手が攻撃された時の感情と、実際に会って話をした人に攻撃された時の感情はきっと違うと思うのです。面識のある人から攻撃されてもその人の顔が浮かんで、「ああ、あの人が来たのか」と、大事なポータルは奪われても、その人の人となりが思い浮かぶことで捉え方が全く異なってくると思います。
ポータルの奪い合いでヘイトを高めてゲームから離れてしまったり、必要以上に攻撃的になってしまったり、そういう現象を少しでも減らしてIngressをより楽しめるものにするためにも、交流は進めていくべきだというのが私達の考えでした。
そしてX-Faction(クロス・ファクション、陣営を越えた交流)をメインに据えたイベント、しかもエージェント主導型のイベントがナイアンテック・ラボから発表された。a2ch0riがこれにすぐに反応したのも無理がないことです。私も全く異存はありません。その場で開催地の申し込みを行ないました。
この時点で決めていたことは「10時から2時間、コーヒーでも飲みながら陣営関係なく交流を深める。12時から2時間、新人さんのレベルアップを中心にAPを稼ぐ。その結果を都市毎に発表する」ということだけ。細かいことルール、ガイドラインは何もありませんでした。
まず応募に必要なイベントページをgoogle+に立ち上げ、エンライテンドとレジスタンス両陣営の参加者を募集。10月21日の発表を待つことに。万が一公式開催都市に選ばれたとしても、結果発表からイベント開催日まで10日しかありません。本当に大丈夫なのか…選ばれてもいないのに、不安は日に日に膨らむ一方でした。
そして開催地の選考結果発表日。ご存知の通り、京都は日本で唯一、アジアで2つしかない公式都市に選ばれました。
しかし、この時点でもナイアンテック・ラボからのイベント詳細に関する追加情報は全くなし。送られてきた記録シートには各陣営50人ずつの枠しかない。合計で100人までしか参加できないのではないか? 公式グッズの数も足りないかもしれないから自分たちでバッジを作って実費で配布しよう。
そもそも私とa2ch0riは都市間のAP(経験値)獲得競争に勝つためではなく、新しくIngressを始めた人、今まで他のエージェントと交流がなかった人にIngressの楽しさを知ってもらうために応募しました。勝ち負けではなく「楽しかった」と帰ってもらうために主催者側は何ができるのか? そのことをずっと考えていました。
レベルの高いエージェントとレベルが低いエージェントの組み合わせのチームをたくさん作って、APを稼ぐ手伝いをしてもらうと同時に色々なノウハウを伝えられるようにしよう。効率重視になって、つまらない作業になってしまわないように、グッズの配布も公平に抽選にしよう。皆で色んなアイディアを出し合い、10日の間に形にしていきました。
結局ナイアンテック・ラボから公式のガイドラインがでたのは10月30日。APがカウントされる参加人数に制限がないことがわかったので安心しましたが、細かいことには特に触れられず、よくいえば現地のエージェントが主導して自分たちでイベントを作っていく形。
当時の私の本音を思い出しますと「丸投げにもほどがあるんじゃないのか」という印象でした。だってもう、実施日の2日前ですよ。(笑)
【イベント当日】
訪れた記念すべき第1回First Saturday当日。エントリーしてくれた参加者は既に170名を越え、たった10日でボランティアのスタッフと一緒に準備に走り回って何とか形にできそうになった11月1日。
当日の天候は雨でした。会場は京都市植物園。参加者半減を覚悟して会場入りしたところ・・・・・・。
ほぼキャンセルはなく参加人数は事前申請のとおり。すごい人数のエージェントが参加してくれました。
スタッフ5名がPCを持ち込んで参加者の登録作業に追われます。このFirst Saturdayというイベントは、時間中に稼いだAPと上がったレベルをナイアンテック・ラボに申請する必要があるので、開始時と終了時に参加者のAPとレベルを記録する必要があるのです。
ここで、時間を節約する為にチーム分けの最終調整も行ないましたが、それでもかなりの時間がかかってしまいました。
ようやくチームごとに分かれての自己紹介。正午からの2時間のプレイについて話してもらう段階まで来ましたが、プレイ開始までの残り時間は既に30分ほど。事前にできるだけの準備はしてきたつもりでしたが、思った以上に登録に時間がかかってしまい、十分な交流の時間がとれなかったのは反省点です。
さて、朝から降り続いていた雨もあがり、ここからは各々のチームに分かれての行動になります。時間内に戻ってくることができるなら、どこで活動しても構わないこと説明しプレイ開始! 幸い京都は日本有数のポータル集中都市です。あるチームは地下鉄に乗って、あるチームはバスでと、思い思いの場所に移動して活動を開始。
高レベルのエージェントが同じチームのメンバーに「レゾを挿す時のポータルとの距離のとり方」といった基本的なところから、密集しているポータル群を使って「多重CFの練習」などなど、ただAPを稼ぐだけでなく、様々なノウハウを伝える場になったようです。
ちなみに私のチームは植物園を出て近所をぶらぶらしてお好み焼きを食べていたらタイムアップ…。
あっという間の2時間が過ぎ、最後にAPとレベルを集計し登録する作業に入ります。それが終わったらナイアンテック・ラボから送られてきた公式グッズの抽選会に移ります。
今回の目玉は「ジグソーパズル」と「ダイスセット(レジスタンス/エンライテンドそれぞれ1個)」。その他にもアイテムカードや登場人物のキャラクターカード。外れた方にもステッカーを配布することができたので、一安心です。
私は今回運営側だったので、なかなか皆さんとお話する機会がなかったのですが、それでもずっとお会いしたかったエンライテンドの方々がわざわざ挨拶に来てくださったりと、1エージェントとしてとても感慨深いイベントになりました。
抽選会、最後の挨拶が終わり「疲れたわーもうええわー」と植物園のポータルだけでなく私自身も“バーンナウト”していたのですが、たくさんの方の参加レポート(google+の#ingressfsで今でも読めます)を読むにつれ、応募してよかった。選ばれてよかった。滞り無くイベントを終えることができてよかった。そんな気持ちでいっぱいになりました。
後日発表された、First Saturday が開催された世界24都市の結果を見ると、京都は参加者数で1位。上がったレベルでも1位。APでは残念ながら上位とはなりませんでしたが、そもそもAP獲得を第一目標に置いてはいなかったので、むしろレベルアップが1位だったことに喜びを感じています。
このFirst Saturdayはこれからも続いて行くでしょう。そして私は今でもふとした時に考えます。ナイアンテック・ラボが運営の殆どを現地のエージェントに任せるこういったイベントを継続的に続けていくのはなぜなんだろう? Ingressは陣営関係なく人と人が実際に出会うゲームです。これからもプレイ人口は増え続け、出会いは増える一方でしょう。
我々は出会った相手陣営のエージェントをゲーム同様に「打ち倒す相手」と見るのか? 同じIngressを楽しむ「仲間」と見るのか? そしてIngressというゲームにとって、どちらを選択するエージェントが多い方が望ましいのか? こういうことを考える機会としてこのような交流イベントが存在するのか? もちろん答えは見つかりません。
ただ、実際にイベントに参加して陣営を越えて楽しそうに話している参加者の方々を見てると、「仲間」と見るエージェントが増えたほうが幸せになれるんじゃないか? 私はそんなふうに感じました。
繰り返しになりますが、このFirst Saturdayはこれからも続くでしょう。次回は皆さん自身がイベント開催地に応募して、貴方の地元で開催してみるのはどうでしょうか? 主催する側でも参加する側でも、きっと貴方のIngress観が変わると思いますよ。
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