みなさん、こんばんは。MacPeople元・編集長の吉田でございます。1984年1月24日に初代Macintoshが誕生して2014年で30周年。MacPeople編集部では短期集中連載として、初代Macから最新のMac Proまでに盛り込まれたテクノロジーについてひも解いていきます。
23回目、最終回に紹介するのはMac Proです。CPUアーキテクチャーの変更はあったものの、Power Mac G5から10年もボディーデザインに変化が見られないうえ、インターフェースなどはほとんど変化がなく、Mac miniともどもシリーズが終焉するのではないかと危ぶまれていました。とはいえ、Power Mac G5から受け継いだ内部拡張性に優れたボディーは、ビデオ編集の現場でもてはやされましたね。
2013年末に登場した円筒型ボディーの新Mac Proは、CPUアーキテクチャーもインターフェースもボディーデザインもすべて刷新され、いま注文すると入荷は4月以降という状態になっています。
Mac Pro
Mac Proは、Power Mac G5の後継となるインテルCPUを搭載したハイエンドマシン。2013年暮れに新世代のMac Proが登場するまで、ボディーデザインはG5とほとんど変わらなかった。
使い続けられたPower Mac G5のボディー
初代Mac Proのリリースは、2006年8月。MacのインテルCPUへの移行を機に、それまでのPower Mac G5を置き換えての登場だった。さまざまな最新技術が真っ先に盛り込まれるはずのMacの旗艦マシンであるMacProだが、インテルCPUへの移行はiMacやMacBookProに先を越されてしまった。
ただし最初に搭載したCPUは、Core SoloでもCore Duoでもなく、Coreマイクロアーキテクチャーを採用したサーバー向けCPUのXeonだった。その後は現在に至るまで、CPUのアーキテクチャーは変遷しても、Mac Proは常にXeonプロセッサーを採用し続けている。Mac Proのボディーデザインは、それ以前のPowerMacG5とほとんど区別できない。しかし、内部構造は大幅に変化した。Power Mac G5は、発熱量がかなり多いPowerPC G5をいかに冷却するかに重点が置かれていたが、Mac Proが採用するXeonはPowerPC G5ほど熱くはならなかったため、ゾーン型の冷却システムを廃止し、空冷ファンの数も減っている。
初期のMac Proでは、PowerPC G5が鎮座していた場所はメモリースロットを備えるドーターカードの収納場所に変わり、CPUは前方に追いやられた。XeonのアーキテクチャーがNehalemになると、CPUがメモリーコントローラーを内蔵するようになったため、CPUはメモリースロットを備えた巨大なドーターカード上に置かれることになった。そしてこのカードを、垂直に固定されているロジックボードへL字型に装着するレイアウトに変更された。これは2013年12月に登場した最新のMacProまで続くことになる。
初代Mac Proでは、Power Mac G5時代にCPUと巨大なヒートシンクが鎮座していた場所にメモリースロットを配置していた |
第2世代のMac Proは、CPUがメモリーコントローラーを内包したこともあり、ドーターカードにCPUとメモリースロットを備える構成に変わった |
着実に進化を積み重ねたCPU
Mac Proが採用するCPUは、初代から一貫してXeonであり、さほど大きくは変化していないようにも見える。しかし実際には、数年周期で進化するXeonのアーキテクチャーに合わせてアップデートを繰り返してきた。大きな変化は2種類に大別できる。
ひとつはビット数の変化。もうひとつはコア数の変化だ。Mac Proが登場した当初は、32ビット版のXeonを採用していた。PowerPC G5ですでに64ビット化果たしていたことを考えると、後退したともいえる状態だった。64ビットに返り咲いたのは、2008年に発売されたNehalemマイクロアーキテクチャーを採用する第2世代からで、以降はすべて64ビットCPUになっている。
また当初のMacProは、デュアルコアのXeonを2セット搭載した計4コアだった。それがクアッドコア2セットの8コアになり、6コア2セットの12コアのモデルも登場した。この過程で、OS Xのマルチコア対応も強化され、主に業務用のアプリでその効果を得られた。
Mac Proのラインアップには、マルチCPU構成のモデルが必ず用意されてきたが、2013年末に登場した最新版ではシングルCPU構成のみとなっている。これは、ひとつで12コア/仮想24コアの強力なXeonプロセッサーを手に入れたからにほかならない。
第2世代のMac Proが搭載するXeon 5400シリーズ。コードネームは、Harpertown |
最新のMac Proが搭載するXeon E5シリーズ。4〜12コアのバリエーションがある。コードネームはIvy Bridge-EP |
すべてを一新したMacProの最新モデル
2013年末にようやく発売されたMac Proの新モデルは、旧来のMacProとボディーデザインがまったく異なるだけでなく、パーソナルコンピューターあるいはワークステーションというものの基本的な概念を根底から覆してしまうほどの大きな変化をもたらした。
高性能モデルは、大きなタワー型であるという常識を捨て、驚くほど小さな円筒形のボディーを採用。しかも、ハードディスクも内蔵しないし、ドライブベイも1台ぶんたりとも備えていない。さらには、拡張スロットも用意していない。こうした常識外れの新Mac Proの活用のカギを握るのは、超高速汎用インターフェースであるThunderbolt 2。このインターフェースは、ロジックボード上のPCI Expressの2レーンを外に引き出したものなので転送効率に優れる。しかも、複数の機器を数珠つなぎに接続して使えるデイジーチェーンも可能だ。
そのほか、USB 3.0ポートを4基、4K出力に対応したHDMIポートも備えるなど、Mac史上最強の外部拡張性といえる。最新のMac Proは、外装カバーをすっぽり取り除ける仕組みになっている点にも注目。カバーを外すと本体が露出し、メモリーモジュールの装着が可能になる。空冷ファンは本体上方にひとつ備わっているだけと、Power Mac G5からすると信じられない内部構造だ。
最新のMac Proは、Thunderbolt 2×6、USB 3.0×4、ギガビットイーサ×2、HDMI×1のインターフェースを搭載し、外部拡張性が高い |
新型Mac Proを覆うアルミボディーは1kg程度の重さがあり、本体内部の熱を外部に逃がすヒートシンクの役割も兼ねる |
さて、絶賛発売中のMacPeople 3月号では、Macintosh 30周年を記念した特集記事を組んでいます。初代Macintoshのさまざな写真はもちろん、SE、SE/30、Color ClassicなどのコンパクトMac、Macintosh IIやIIci、IIsi、IIfx、LC475などのセパレート型Macの驚愕のテクノロジーをひも解いていきます。もちろん、68K MacだけでなくPowerPC搭載のiMacやPower Mac、インテルCPU搭載マシンを含む一体型、デスクトップ型すべてです。そして第2特集では、最新のMac Proを詳しく紹介。この2つの特集記事だけで80ページ以上ありますよ!
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