1984年1月24日に初代Macintoshが誕生して2014年で30周年。MacPeople編集部では短期集中連載として、初代Macから最新のMacProまでに盛り込まれたテクノロジーについてひも解く連載をしています(関連記事はこちら)。
今回はノート型マシンの番外編。GUI(グラフィカルユーザーインターフェース)ベースのMacintoshにとって、マウスやトラックパッドなどのポインティングデバイスは不可欠な構成要素です。
しかしアップルは、キーボードの重要性もそれらと同じくらいシリアスに考えていました。位置づけの異なるiOSデバイスで徹底してソフトウェアキーボードにこだわるのと同様に、ノート型MacではPowerBook 2400cを除き、一貫してフルサイズキーボードを採用してきたのもそのためといえます。
ところが物理スペースの限られるノートマシンでは、理想的なキーボードの実現は困難です。デスクトップマシンと同等の機能や使い勝手を目標に開発された1989年のMacintosh Portableでは、キーボードも当時のデスクトップ機に準じたものが搭載されました。ただし、そうした仕様の積み重ねで同機は肥大化し、「ニークラッシャー」(膝破壊機)と揶揄される羽目になってしまいました。
Macintosh Portableのキーボード |
ノートマシンにもデスクトップマシンと同等の機能性や操作性が必要と考えたアップルは、Macintosh Portableの内蔵キーボードに、当時の外付けキーボードに近いキータッチとストロークを与えました。 |
その反省に立った初代PowerBookシリーズのキーボードは、キートップが平たくキーストロークも浅い設計が採用されました。キータッチの面ではいまひとつでしたが、ユーザーの好みによっては、エントリーモデルのPowerBook 100のほうが上位モデルより好ましいという意見もありました。それは100の小型化設計と製造を担当した、ソニーの部品選択などの影響かもしれません。
PowerBook 100のキーボード |
PowerBook 170のキーボード |
初代PowerBookではMacintosh Portableに比べて平面的なキーボードが採用されましたが、やはりスロトークを重視した設計でした。上位機種の140/170よりも、エントリーモデルの100のほうがキータッチがよかったという意見もありました。 |
同様にエントリー機のほうがキータッチがいいという現象は、1996年のPowerBook 1400シリーズでも見られました。同機はモニターカバーが交換可能で、ユーザーが好みの写真やイラストを挟めるユニークなマシンでしたが、開発コスト削減のため台湾製の汎用プラットフォームに手を加えて使っており、それが功を奏した可能性もあります。
PowerBook 1400のキーボード |
1996年発表のPowerBook 1400シリーズは、開発費を切り詰めるために台湾製の汎用プラットフォームをベースに開発されましたが、キータッチに優れ、やはりエントリーモデルながら、上位機種をしのぐと評判になりました。 |
こうした歴史を歩んだアップルでしたが、いまでは超薄型でキータッチも良好なキーボードの先駆的存在となり、デスクトップ用キーボードがノート型Macの影響下にあるという逆転現象が起こっているのです。
MacBookのアイソレーテッドキーボード |
MacBook(Early 2006)は、筐体に空いた穴に個々のキートップが独立して配置されたアイソレーテッドキーボードを採用。剛性が高く、埃が入らないなどのメリットから後のノートマシンの標準仕様となりました。 |
さて、2月28日発売のMacPeople4月号では、Macintosh30周年特集第2弾として、Macintosh PortableやPowerBookなど歴代ノート型Macをたっぷり紹介しています。そのほか、2014年知っておきたい最新テクノロジー解説、Googleサービス使いこなし術、MacやiPhone/iOSのトラブル解決技など、じっくり楽しんでいただけること間違いなしです。
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Macintosh 30周年特集の第1弾は、3月号(1月29日発売)。初代Macintoshのさまざな写真はもちろん、SE、SE/30、Color ClassicなどのコンパクトMac、Macintosh IIやIIci、IIsi、IIfx、LC475などのセパレート型Macを紹介していますので、ぜひセットでご購入ください。そのほか、超ド級スペックのMac Pro徹底解剖、iPhoneで操作できるデジタルガジェット大全、ブラウザーの超便利拡張機能などなど見逃せません!
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