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サンプラーを使って声ドラムを作ってみよう ROLLY's ロックの殿堂Vol.17

2013年08月05日 18時00分更新

文● 藤本健 編集●週アス編集部 撮影●岡田清孝

 全国FM放送系列であるJFN(JAPAN FM NETWORK)の番組でROLLYがパーソナリティーを務める『D.N.A.~ロックの殿堂~』。同番組内で展開している週アスのコラボコーナー第17回の様子をお届けします。

ROLLY's ロックの殿堂Vol.17

 放送局によって放送日程は若干異なりますが、下記の放送局にて月に一度、第1週に放送しており、8月ぶんは5日より順次開始しております。

ネット局予定:FM秋田、FM新潟、FM富山、岐阜FM、Kiss FM、FM OSAKA、FM山陰、FM香川、FM徳島、FM長崎、FM大分、FM宮崎
※放送局、放送時間などは変更の可能性があります。詳しくは各放送局のHPをご覧ください。

 IPサイマルラジオ『radiko』でも聴取可能(一部地域限定)。auのスマートフォン用アプリ『LISMO WAVE』、ドコモのスマートフォン用アプリ『ドコデモFM』なら全国で聴取いただけます。

 サンプラー楽器をご存じですか? 1980年代初頭に登場し、その後、音楽シーンにおいて必要不可欠な楽器へと進化していったデジタル機器です。簡単にいえば、マイクで録音した音をそのまま楽器の音源にしてしまうという発想のもの。ピアノを録音すればまさにピアノそのものになるし、ギターを録音すればギターそのものとなるので、従来のシンセサイザーの概念を根本から覆す画期的なものでした。でも、サンプラーの魅力は現実にある楽器をそっくりに再現させるという使い方だけではありません。そう、楽器でない音を楽器化できるというのが大きな魅力だったのです。

 ROLLYさんも'80年代、かなりサンプラーで遊んだとのこと。「当時は、価格が高くて自分で購入できるようなシロモノではなかったけれど、スタジオの機材を借りてはいろいろ試しましたよ。たとえば冷蔵庫を閉めるときの『バタンッ』という音をサンプリングしてバスドラムにしたりね……。本当に画期的な楽器でしたよ」と振り返ってくれました。

 確かに、初期に登場した『EmulatorII』は300万円程度、またオーストラリアの『Fairlight CMI』は1200万円もしたので、個人がそうそう買えるものではありませんでした。が、技術の進歩に伴い、どんどん低価格化が進み、'90年代になると数十万円で買える楽器も登場し、さらに'90年代後半になると15万円以下のものまで出てくるようになりました。そのなかでも大ヒットしたのが、1999年にAKAI Professionalから発売された『MPC2000XL』。これは、ドラムマシンタイプのサンプラーで、4×4に並ぶゴムパッドを叩くことで、サンプリングした音を鳴らすことができたり、プログラムしてリズムパターンを作り出すことができる、というものでした。

 ちょっと前置きが長くなりましたが、今回の番組で取り上げたのはMPC2000XLにソックリなインターフェースのiPadアプリ『iMPC』です。AKAI自らが復刻させたようなアプリですが、MPC2000XLの完全な再現というわけではなく、それをモチーフにしながら、iPadで使いやすく進化させたものとなっています。しかも価格は600円で、当時から考えれば激安です。

ROLLY's ロックの殿堂Vol.17

iMPC

 番組中では、さっそくこれを使って、ROLLYさんの声をiPad上のiMPCでサンプリングしてみました。何か声を出してくださいとお願いし、録音スタートしたところ、ROLLYさんからはひと言「殿堂」という声が。当然、その言葉の前後には不要な間も録音されてしまっているので、波形を見ながら「殿堂」という音だけがキレイに残るように編集します。

ROLLY's ロックの殿堂Vol.17

 その後、これをパッドに割り振ると、もうこれで完成。パッドを指でタップすると「殿堂」としゃべって(?)くれるのです。さらに、このパッドを速く叩いてみると「ででででで殿堂」というように鳴ってくれます。こういうの、見たり、聴いたりしたこと、ありますよね? 先ほどのサンプリングはiPad内蔵のマイクで録ったのですが、かなりいい音です。

ROLLY×週アス『iMPC』セッション音源1

 実は、番組がスタートする前に、ROLLYさんにお願いしていろいろな声を仕込んでおきました。適当にバスドラムやスネア、シンバルみたいな音を口で言ってくださいとお願いしたところ、「ドン」、「ダン」、「ダス」、「アーン」、「どんなんやろう!」、「よいしょ!」なんて音をサンプリングすることができました。それぞれ不要な部分をカットし、各パッドに割り振っておいたので、4×4のパッドを叩けばもうそれは“ROLLYドラムマシン”です。

ROLLY×週アス『iMPC』セッション音源2

 でも、iMPCでできるのはそれだけにとどまりません。やはり、これはシンセサイザーであり最新の楽器でもあるため、いろいろなことができます。先ほどはROLLYさんの声だけでドラムキットを作りましたが、もともとiMPCには数多くのサンプリング音が収められているので、そうした音を使うこともできるし、サンプリングした音と組み合わせることもできます。また、サンプリングした音のチューニングを変えることも可能で、ROLLYさんの声を高くしたり、低くしたりといったことも自在です。さらにエフェクトもいろいろと入っているので、サンプリングした音を自由に加工することもできるのです。

ROLLY's ロックの殿堂Vol.17
ROLLY's ロックの殿堂Vol.17

 「ミック・ジャガーのところにコレをこっそり持って行って、ミックジャガーの声でドラムキットを作ることもできるわけだ!」とROLLYさん。もちろん、そうしたこともできるけれど、そんなことをしなくてももっと簡単にできる方法があります。そう、iPadに入っているiTunesライブラリから曲を選択し、その中から好きな部分だけを取り込んで使うこともできるのです。こうすれば、かなりクオリティーの高いサウンドで音をサンプリングすることができますよ。

ROLLY's ロックの殿堂Vol.17

 そしてiMPCが面白いのは、これでリズムパターンを作ることができること。このパッドを指で叩いたものを録音してしまうのです。正確には録音ではなく、指で叩く操作を記録しているので、非常に自由が利くのです。たとえば1小節を繰り返し叩く形で音を重ねていくことができるから、なにも一発で全部の音を演奏しなくても、最初にキックだけ、そこにハイハット、スネア、タム、シンバル……と順に音を重ねていくことができます。またテンポを遅くして叩き、あとから本来のスピードで再生することも可能です。そして“クォンタイズ”というテンポのズレを補正する機能も用意されているから、なかなかうまく叩けないという人も心配はいりません。

 というわけで、ROLLYさんの声で作ったROLLYドラムキットを使ってリズムパターンを組んでプレイしてみると、ROLLYさん、ギターを取り出し、これに合わせて演奏してくれます。

ROLLY×週アス『iMPC』セッション音源3

 さらに「別のリズムも作ってもらえる?」とのオーダーをいただいたので、あらかじめ作っておいた別のパターンに変えて再生……。ROLLYさんの声ドラムに、ROLLYさんのギター演奏。ROLLYさんファンにとっては、たまらないプレイですよね。

ROLLY×週アス『iMPC』セッション音源4

 「これだけのことが600円のアプリでできてしまうとは、恐ろしです!」とROLLYさん、締めくくってくれました。

 番組や記事の感想はROLLYさんのツイッター(@RollyBocchan)まで。週刊アスキー本誌にも月一で掲載中です。次回もどうぞお楽しみに。

『iMPC』
●Appストア価格 600円(記事作成時の価格です)
AKAI Professional

AppStore アプリをダウンロード

●関連リンク
JFN『D.N.A.~ロックの殿堂~』

welcome to ROLLY net .com(ROLLY公式サイト)

藤本健の“DTMステーション”
 

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