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学ぶ人に合わせた学習方法を実践

勉強版クックパッドを目指すノート共有アプリ『Clear』で世界を狙うアルクテラス

2015年12月15日 07時00分更新

 生徒ひとりひとりに合った、最新の学習理論“アダプティブラーニング“を実践し、生徒の成績改善率が90%超の塾を経営。その理論をツールとして一般の塾にも提供。さらに学生自身が投稿するノート共有アプリが中高生に人気で有名ユーザーのノートが書籍化まで果たしている。CGMサービスが盛り上がるキモが学習コンテンツで生まれていることが非常におもしろい。

 今回、話を訊いたアルクテラスは教育事業を行なうスタートアップ企業だ。“歩く道を照らす”という意味と、“アルークトゥルス”と言う、南のポリネシア人がハワイ諸島に向けて航海した時に目印とした星だ。そこから自分たちが学習の道を照らしたいと、名付けられた。

 同社が手がけるのは、個別指導塾に生徒ひとりひとりにあった教育方法を提示できる塾の先生が使う学習指導ツール『カイズ』、学生同士でノートの内容を共有し合うCGMプラットフォームのスマホアプリ『Clear』、さらに自社の教育理論を実践するために運営する個別指導塾“志樹学院”の3つの事業。新井豪一郎代表取締役社長に話を訊いた。

アルクテラス株式会社 新井豪一郎代表取締役社長

学ぶ人に合わせた学習方法“アダプティブラーニング“

「小学校のときに授業に付いていけなかった。学校の授業はもういいやと思い、参考書を買ってもらってひとりで読んでいたら、いつのまにか勉強ができるようになっていた」(新井代表)。そんな子供時代の体験を自己分析から、人にはそれぞれにあった学習方法があるのではないかという思いがアルクテラスの原点にあるという。

「自分は耳から聞いて処理していくのが苦手、目で見て学習していくのが自分の特性だった」と気づいた新井代表。教育関連の事業で起業したいと思っていた新井代表は、自分の仮説を試すために学習指導ツール『カイズ』を開発提供。その実践の場として自分たちで個別指導塾“志樹学院”をつくった。これがばちっとハマった。生徒の成績改善率が90%超と塾業界で一般的に言われている約70%を大きく上回っている。

個別指導塾“志樹学院”

 学ぶ人に合わせたコンテンツで学習させる“アダプティブラーニング”として、塾の先生が使えるシステムとして学習指導ツール『カイズ』を個人指導塾などに提供している。塾業界の教材出版の最大手である育伸社が販売代理店として全国23拠点の営業拠点で販売している。

 カイズの仕組みはまさにEdtechそのもの。初回面談時に子供と保護者にそれぞれ30問の学習個性診断のアンケートに答えてもらい、アンケート結果から“授業方針”、“診断レポート”、“問題集”を自動で生成する。そこからさらに視覚型、言語型、記憶力型か大きく分けて3タイプの学習スタイルに生徒を分類。同じ問題を解くのにも、グラフで説明する視覚的な解説と理論で説明する段階的な解説など、生徒の学習姿勢にあった指導を塾で行なう。

 教師側に対しても、未経験な素人といえる大学生アルバイト先生であっても、生徒の学習スタイルに合わせて教えられるシステムを提供。カイズアプリを用意し、個々の生徒の学習個性や学習内容、理解状況を管理できるよう用意している。教師個人が持つスマホ、タブレットで利用できることから、「教育業界初のBYOD(Bring your own device)」と新井代表は呼んでいる。3年で北海道から沖縄まで全国の個別指導塾で使わるまでになった。

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