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会計の民主化とはデータ活用であり、意思決定支援である「弥生Next」

2023年11月06日 08時00分更新

 だが、その一方で、前山社長は、「私たちが果たす役割は、会計ソフトの民主化だけでいいのだろうか」とも自問自答する。

 「多くの人が、『会計の作業は面倒くさい』と思うマイナスの発想を、会計ソフトによる業務の効率化によって、ゼロにしてきた。これを、ソリューションとして、36年間提供してきた。しかし、会計ソフトは、帳簿に記録して、決算を行い、税務署に申告書を提出するだけの役割でいいのか。弥生が実現してきた『会計ソフトの民主化』だけでは、もしかしたら、会計の本当の役割を提供できていないのではないか。会計のあるべき姿とはなにか。そこに対して自分たちはなにができるのか。どんな可能性があるのか。弥生が積み重ねてきた歴史を背景に、次の扉を開けていきたいと考えた」とする。

 前山社長が辿り着いた答えは、「Democratization of Accounting」(会計の民主化)であった。

 「弥生ユーザーの中心である中小企業や個人事業主が気がつくべき課題は、データ活用において、大企業との間に大きな差が生まれているという点だ。大企業には経理部があり、経営企画部門があり、毎日のように会計データを分析して、知恵を絞り、悩みながら、いまの立ち位置はどうか、競合に対する優位性はなにか、次の手はなにかといったことを考え続けている。会計データが、毎日、生きた形で使われている。これが会計のあるべき姿ではないだろうか」

 中小企業の多くは、データ活用の専門家がいないし、外部コンサルタントに依頼しているケースもほとんどない。いや、そもそも蓄積されているデータ量が少なく、データを活用したり、分析したりといった発想そのものがないのが実態だ。

 「会計自体を民主化するということは、すべての事業者が、会計を正しく理解することからはじめなくてはいけない。会計とは、決算をするだけのものではなく、そこから分析し、状況や課題を理解し、納得した上で、次のアクションを起こし、売上げの上昇、借入金の減少、コスト削減などにつなげ、利益をあげることである。会計をするということは、本来はそこまで踏み込むものである」

 その上でこう語る。

 「なぜ、これをやってこなかったのか。大きな反省である。これが、弥生が持つ、いまの問題意識である」。

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