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試してわかった「Apple Watch Ultra」ダイコン機能のメリット、デメリット

ログブックの画面。地図やグラフが見られるのは良いが、入力項目が少なく物足りなさを感じる

デメリット2:ログブックの機能が物足りない
 筆者がOceanic+に対して感じた最大の不満は、ログブック機能の物足りなさだ。前述のように海から上がると、潜水時間、水温、最大深度などのデータが自動的に記録される。それだけでなく、iPhoneのログブック画面では、エントリー&エグジットした場所の地図や、どんなダイビングだったか水深の変化などをグラフで見ることもできる。また透明度や波、潮流を登録したり、ダイビングを星で評価できる機能なども用意されている。

 ほかにウエイトの重さも記録できるが、選択式の項目が用意されているのはこれだけ。一般的なログブックに必ずある、タンクの容量や種類(アルミ、スチール)、タンクの圧力と残圧、使用したスーツの種類といった情報を書き込む項目がない。それ以前にポイント名やダイビングのトータル本数を記載する項目もない。自由に書き込めるノートは用意されているものの、できれば簡単に書き込める選択式の項目が欲しいところ。機材を登録できる「ギアリスト」から選択できるのが、Oceanic+の提供元、Huish Outdoorsの取り扱いブランドだけというのも、ちょっと何だかなぁである。

デメリット3:デフォルトの設定ではちょっと甘い?
 デメリットというわけではないが、筆者が普段使っているダイコンと比べて、表示された「無減圧限界時間」が少し甘い点が気になった。「無減圧限界時間」を計算するために採用されているアルゴリズムや初期設定は、ダイコンによっても違う。そのためどちらが良いとも言えないのだが、筆者は手持ちのダイコンにあわせて設定を一段階厳しくして使用した。初めて使用する際には、一緒に潜るガイドやバディのダイコンと比較して、設定を調整した方がいいかもしれない。

設定を「0(70/85)」から1段階厳しい「+1(65/80)」に変更したところ、今回テストした12~16メートル付近では、手持ちのダイコンと概ね同じになった

デメリット4:傷だらけにしたくないけどカバーは……
 最初に、普段使っているApple Watch Ultraがそのまま海で使えると書いたが、これは逆にいえば、海で使うものをそのまま普段も使用するということだ。となると、気になるのが傷だ。海の中では岩や珊瑚、海の上ではタンクやウエイトなど、ダイビングの周囲にはApple Watch Ultraが傷付きそうなものがたくさんある。そこでApple Watch Ultraのケースをまるごと覆える、シリコンカバーをつけて潜ってみた。結論からいうとカバーを付けていても、自動起動など問題なく動作したのだが、海から上がってタッチ操作に切り替える際、カバーとディスプレイの間に水が入って、うまく反応しないことがあった。カバーを使用する場合は、バンパーと保護シートが別々になっている方がいいかもしれない。

シリコンケースを付けた状態でも、ダイコンとして問題なく使用できた

まとめ:ログブックは今後のアップデートに期待

 Apple Watch Ultraのダイコン機能は海の中で見やすく、バイブレーションもわかりやすくて、かつiPhoneにログが自動で付けられるなど、筆者が普段使っているダイコンにはないメリットがたくさんある。また講習を受けていないので今回は試せていないが、エンリッチド・エア/ナイトロックスを使用する際の、面倒な設定が簡単にできるのも便利そうだ。

 一方で有料のサービスであることを考えると、ログブックはもう少し充実したものにして欲しい。たとえば海で撮影した写真を一緒に記録できれば、ログ見返す楽しさも倍増するだろう。Huish Outdoorsでは今後、iPhone向けハウジング(ダイビング用のケース)の発売も予定しているとのことなので、写真連携も含めて今後のアップデートに期待したい。

 

筆者紹介――太田百合子
 テックライター。身近なデジタル製品とそれら通じて利用できるサービス、アプリケーション、および関連ビジネスを中心に取材・執筆活動を続けている。

 
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