ゲーム中の動作クロックや熱もチェック
最後にゲーム中の動作クロックや各部温度をチェックして〆としたい。検証条件は前編で紹介した消費電力テストと同じで、Cyberpunk 2077の4K+“レイトレーシング:ウルトラ(DLSS SR無効)”設定である。各種データの追跡には「HWiNFO Pro」を使用した。
GPU温度が最も低かったのはRTX 3090 Tiとなっているが、今回検証に使用したカードは、AIO水冷仕様のハイエンドモデルだからである。空冷仕様のカード3枚のうち、最も温度が低かったのがRTX 4080 FE、続いてTGP 450W設定のCUDAコアモンスターRTX 4090 FEと続く。RTX 4080 FEのGPU温度はゲームでガンガン負荷をかけても60℃台前半なのは優秀だが、3スロット厚の巨大なカードであることを考えると、むしろ当然ともいえる。
一方、VRAMジャンクション温度はRTX 4080 FEが最も冷えていた。RTX 4080 FEのGDDR6XのデータレートはRTX 4090 FEよりも高く設定されているが、GPUのTGPが抑えられているぶんなのか、VRAM温度も下がっていると考えられる。RTX 4090 FEレビュー時に、GDDR6Xは従来のGDDR6Xよりも発熱量が抑制されているとNVIDIAは主張しているが、今回のカードでも同様の設計が盛り込まれているようだ。
RTX 4080 FEとRTX 4090 FEのクロックを比べると、やや(30MHz〜50MHz程度)RTX 4090 FEが高いが、RTX 4080 FEのクロックの変動幅はRTX 4090 FEよりもずっと大きい。この辺がTGP 450Wと320Wの差といえるだろう。RTX 3080 FEから見ると500MHz程度クロックが向上しているのは、プロセスルールの微細化の賜物だろう。
値段は高いが、RTX 30シリーズから見ると
ワットパフォーマンスが激増
以上でレビューは終了だ。21万9800円よりからという“かなり良い値段”設定な割に、ゲームのチョイスや画質設定によってはRTX 3080+α程度になる場合もあるが、フレームレートが50%以上伸びた例もあり、さらにAmpere世代よりもワットパフォーマンスが格段に良い点は評価できる。
だが、ビデオカードに22万円以上出そうと考えるマニアにとって、RTX 4080はやや中途半端に映るのではないかと筆者は感じている。あと数万円上乗せすれば“これ以上強いGPUはない”という内なる平穏を得られるRTX 4090に手が届く。
ただ、RTX 4080はTGPが320W(ファクトリーOCモデルではもう少し増えるだろうが)と扱いやすいため、今GeForceユーザーコミュニティーで話題になっている12VHPWR焼損問題もそう出ないと思われる。扱いやすさと安定性のRTX 4080をとるか、それとも最強のRTX 4090を手にし内なる平穏を得るか、のどちらかだ。
また、来月になればRDNA 3世代の「Radeon RX 7000シリーズ」の販売がグローバルで開始される。スペック的にRadeon RX 7900 XTXとRTX 4080は真っ向からぶつかることになるだろう。ドルベースの価格競争では明らかにRX 7900 XTXが強いが、RTX 4080にはDLSS FGがあり、すでに現時点で対応ゲームも続々と投入されている(AMDのFSR 3は来年投入だ)。
次世代ハイエンドGPUバトルの展開に心臓が高鳴りっぱなしなのは、カフェイン摂り過ぎの筆者だけではないはずだ。
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