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【ベンチテスト】M2搭載「MacBook Air」日常用途ではファンレスの懸念は無用

2022年08月15日 12時00分更新

Xcodeで「SwiftShot」をビルドするのにかかる時間

大差はつかないXcodeによるアプリのビルド

 このテストでは、アップルがデベロッパー向けに提供している「SwiftShot」というiOS用ARゲームのサンプルコードを、テスト時点でそれぞれ最新のXcodeによってビルドするのに要する時間を計測する。

 結果は、M1搭載の旧MacBook Airのみがやや遅く、M2搭載の両モデルでは、ほとんど同じとなった。とはいえ、その差は大きくない。十数秒で完了する処理のため、ファンレスMacBook Airが遅くなるということもなく、むしろわずかながら13インチMacBook Proよりも速くなっている。

「低電力モード」の性能低下が著しいM2チップ

 M2チップを搭載するMacBook Airにも、同チップを採用するMacBook Pro 13インチモデル同様、「バッテリー」システム環境設定には、「低電力モード」のチェックボックスがある。13インチMacBook Proのベンチ記事でも示した通り、この低電力モードは、これまでのM1 MacBook ProやM1 Maxにあった同モードに比べて効果が大きい。言い換えれば、このモードを選択すると、パフォーマンスが極端に低下する。それだけ電力消費量の削減効果も大きいはずだ。

 以下のテストは、これまでに示してきたのと同じテストを、M2搭載の新MacBook Airについてだけ、電源のアダプタ接続時の標準モード、同「低電力」モード、バッテリーで使用時の標準モード、同「低電力」モードの4種類のモードで実行した結果を示す。

 結論から言えば、電源アダプター使用時とバッテリー使用時では、標準モードでも「低電力」モードでも結果に有意な差は見られなかった。一方、標準モードと「低電力」モードの違いは、テストによって程度の差こそあれ、予想以上に大きい。その「程度の差」の意味を考察してもあまり意味がないので、ここでは結果のグラフのみを示す。

Geekbench CPU性能の動作モードによる比較

Geekbench GPU性能の動作モードによる比較

Cinebench CPU性能の動作モードによる比較

JetStream 2性能の動作モードによる比較

Finderフォルダーコピーにかかる時間の動作モードによる比較

XIPファイル展開にかかる時間の動作モードによる比較

iMovieでビデオ出力するのにかかる時間の動作モードによる比較

Final Cut Proでビデオ出力するのにかかる時間の動作モードによる比較

Xcodeでアプリをビルドするのにかかる時間の動作モードによる比較

 電源アダプター使用時に「低電力」モードを選択するのは、ほとんど意味がないと思われるかもしれない。確かに電源アダプターに接続している際に電力消費量を抑える意味は、あまりないだろう。家庭や事業所の消費電力のスケールを考えると、モードの違いによる電気代の差もわずかなはず。しかし、発熱を抑えるという意味はあるはずだ。新MacBook Airには空冷ファンがないため、膝の上に乗せて使う場合には、できるだけ温度上昇を防ぎたいという場合もある。電源アダプターに接続した状態で、膝の上に乗せて使うという状況は、さほど多くないかもしれないが。

 なお、上記のレビュー記事で示した通り、M2チップ搭載の新MacBook AirのYouTubeビデオの連続再生時間は、13インチMacBook Proにほとんど劣らない27時間53分だった。これが低電力モードでは、わずかながら延びるかと期待したが、逆に若干短くなり26時間45分だった。何かの間違いかと思い、もう一度計測してみたが、ほとんど変わらない26時間46分だったので、M2搭載MacBook Airの場合、省電力モードでは、YouTube連続再生時間は標準モードに比べてわずかながら短くなるのが正しいようだ。

 また上記のレビュー記事で示した通り、新MacBook Airは、標準の35Wの電源アダプターでも0→100%の充電時間が1時間57分と、かなり短かったのを不思議に思った人がいたかもしれない。

 そこで今回は、以前のMacBook Proに付属していたアップル純正の61WのUSB-C電源アダプターと、同じく純正のUSB-Cケーブルを使って新MacBook Airを充電してみた。すると0→100%の充電時間は1時間30分と、さらに短かった。フル充電に要する時間が短いというのも、新MacBook Airの大きな魅力の1つと見て間違いない。

 

筆者紹介――柴田文彦
 自称エンジニアリングライター。大学時代にApple IIに感化され、パソコンに目覚める。在学中から月刊ASCII誌などに自作プログラムの解説記事を書き始める。就職後は、カラーレーザープリンターなどの研究、技術開発に従事。退社後は、Macを中心としたパソコンの技術解説記事や書籍を執筆するライターとして活動。近著に『6502とApple II システムROMの秘密』(ラトルズ)などがある。時折、テレビ番組「開運!なんでも鑑定団」の鑑定士として、コンピューターや電子機器関連品の鑑定、解説を担当している。

 
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