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エーザイ株式会社 統合戦略本部 大桃和人氏×株式会社MICIN 草間亮一氏

日本の不眠症解消へコラボ、オンライン診療が潜在的な睡眠負債を解決する

潜在的な患者へのアプローチからオンライン診療までをシームレスに

──両社によるコラボレーションはどういったきっかけで始まり、どのように進められているのですか。

大桃 不眠症の患者様をメイン対象としてコラボレーションを展開しています。当社では不眠症のさまざまな治療薬を販売しています。日常的に不眠の症状などを抱えている人は国内に3500万人もいるという調査もあるなか、実際に医療機関から処方された治療薬を服用している患者さんは500万人弱しかいないと言われています。

 しかし、日本は先進国の中でも睡眠時間が圧倒的に少ないですし、そもそも寝ることに対してあまり積極的ではない文化が根づいています。我慢してしまいがちな国民性もあるのでしょうか。一方で世界を見渡すと、スリープテックは、課題が残るもののとても注目されている領域となっています。

 先進国の中で日本のGDPだけがほとんど伸びていないというのも、こうした睡眠問題が原因の1つとなっているのかもしれません。そこで、日本のみなさんにしっかりと睡眠をとってもらったうえで、アクティブに生活を送ってもらえたらとスタートしました。

 潜在的に不眠症状を抱えていながら、医療機関にかかっていない人々の割合は、我々の調査から30代男性と40代女性を中心に900万人いるのではと推測しています。この世代というのは、就労層や家事が忙しい層であるため、医療機関の受診ハードルが高いことがうかがえます。そのため、ハードルを下げてしっかりと不眠症の治療をしてもらいアクティブな日常を取り戻してもらいたいのです。

 不眠症の潜在的な患者さんにどうアプローチしようか当社としてもずっと模索していました。例えば、市民講座を開いたりもしましたがなかなかうまくいかなかったです。もっと早く医療機関に受診いただき、適切な治療をすれば早くアクティブな生活を送れるのに……と悩んでいた頃、ちょうど今回の新型コロナウイルス感染拡大が始まる前ぐらいに草間氏と知り合ったのです。

草間 大桃氏と知り合った後に、コロナ禍となって世間のオンライン診療のニーズも急激に高まっていきました。しかしながら、不眠症の治療については先述したようなハードルがまだ残っているというのが現実だったのです。しかし規制当局も、コロナのオンライン発熱外来の普及などを受けて、オンライン診療にまつわる制度を緩和することとなりました。なかでも初診からオンライン診療が可能になったのは大きかったですね。

 ここで、エーザイさんが得意とする、潜在的な未受診患者さんへのアプローチに期待したのです。そして潜在的な患者さんにアプローチできれば、オンラインからユーザー体験をつなげて医療機関にアクセスするまでを我々が担うことができます。つまり、それぞれの長所を生かしたソリューションの開発にコラボレーションしながら取り組んでいます。具体的には、不眠症の簡単なテストからその先のオンライン診療へとシームレスにつなげることのできるWebサイトをエーザイさんが運営し、その先のオンライン診療サービスを弊社が運営しています。

2社の連携により、不眠症の簡単なテストからその先のオンライン診療へとシームレスにつなげることのできるWebサイトを運用

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