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【後編】ソリッド・キューブ原田奈美社長インタビュー

原田社長が「モーション業界に“ヒーロー”を作りたい」理由

2022年11月20日 15時00分更新

前編に引き続き、モーションアクターの専門会社「ソリッド・キューブ」代表の原田奈美氏に話を伺った

前編はこちら

アニメのお仕事は「リファレンス」から始まった

―― 前編では、いわゆる「3DCGキャラの中の人=モーションを担当するアクター」という職業が脚光を浴びるきっかけとなった「ゲーム」とCGライブのお仕事、そして原田さんがモーションアクター専門会社を立ち上げるまでをお伺いしました。後編では「アニメ」の世界で本格的にモーションキャプチャーが使われ始めた時期やその経緯から教えてください。

原田 アニメでモーションキャプチャーを使ったのは、アイドルマスター(以下、アイマス)の劇場版(『THE IDOLM@STER MOVIE 輝きの向こう側へ!』/2014年1月)、それから京都アニメーションさんの『境界の彼方』のダンスシーンですね。
※短編アニメ『きょうかいのかなた アイドル裁判! ~迷いながらも君を裁く民~』内に収録。

―― 京都アニメーション作品や『アイマス』にも参加されているのですね。シリーズが長い『アイマス』ですが、そのほかに参加されている作品はありますか。

原田 ゲーム『アイドルマスター ワンフォーオール』(PS3/2014年)以降、家庭用ゲーム作品やMVなどで現在もモーションを担当させていただいています。アニメでも前述の劇場版や、TVアニメ『アイドルマスター シンデレラガールズ』(2015年1月)に参加しています。

―― メディア展開に伴ってお仕事が増えていく、という流れもあるのですね。「ゲーム」では2009年の『Project DIVA』シリーズ以降本格的にモーションが使われ始めた、というお話でしたが、「アニメ」というジャンルでは、同じような流れが数年後に始まったと。

原田 そうですね。じつは、アニメに関わり始めた頃は「モーション」ではなく「ロトスコープ」という、アクターが動いている映像を参考にアニメーターさんが手描きでトレスしたり、3DCGキャラクターを手付けで描いたりするリファレンス映像制作という形でのお仕事がメインでした。

―― 3DCGキャラクターにダンスを取り入れるようになった時期と、アクターさんが演じた動きを反映するモーションを使うようになった時期は異なるのですね。

原田 そうですね。リファレンスでの使用としては『はなまる幼稚園』(2010年1月)のエンディング「ぱんだねこ体操」などが挙げられると思います。

―― のちにフル3DCGアニメ『楽園追放』を手がける水島精二監督によるものですね! 3DCGアニメの黎明期が見て取れます。

原田 同時期の『kiss×sis(キスシス)』(2010年4月)のエンディングもそうなのですが、CGを動かすのはモーションではなく「手付け」(3DCGモデルをアニメーターが手で動かす)でした。アクターのダンス映像をトレスする形です。

―― こちらは頭身も高く、本当に「アニメで人物が踊る」という感じですね。アニメでも、まずは「キャラクターの動きの参考になる動画」として始まって、そこから次第にモーションを使うようになっていったと。

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