格闘ゲームなどは快適に動作
最後に、実際のゲームのベンチマークでゲーミング性能を検証してみたい。まずは定番ベンチマークの「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」での結果を見てみる。
フルHD(1920×1080ドット)でグラフィック品質を「最高品質」に設定した場合、スコアーは3458で、評価は“やや快適”になった。ディスクリートGPUなしでこの結果は優秀といえるが、フレームレートを見てみると、この設定では平均「23fps」、最低「11fps」になっていた。さすがにヌルヌル動くというレベルは難しそうだ。
ただし、設定をHD(1280×720ドット)、グラフィック品質を「標準品質(デスクトップPC)」にした場合は、平均で60fpsを達成していた。グラフィック設定を下げれば、ある程度遊ぶことは可能だろう。
続いて、人気のバトルロイヤル系FPSゲーム「Apex Legends」をプレイした際のフレームレートを、「CapFrameX」で計測してみた。画質設定はデフォルト設定とし、射撃訓練場において一定のコースを移動した後に「バンガロール」のスモークの中に入り、そこでスモークが晴れるまで待つという行動をとった時のフレームレートを計った。
CapFrameXではデータ全体を100等分して最小値から1%の数値にあたる99パーセンタイルの値を計測するため、これを最小フレームレートの代わりとして記載している。今回はHDとフルHDの解像度で計測。やはりフルHDでは少々厳しめになるが、HD解像度であれば60fps程度でのプレイは可能という結果だ。
最後に、「STREET FIGHTER V ベンチマーク」でもパフォーマンスを検証した。格闘ゲームであるSTREET FIGHTER Vは、フレームレートが高ければ高いほどいいシューター系タイトルとは異なり、60fps固定で高くても低くてもゲームが成立しない。
そのため、60fpsを発揮するための設定が重要になってくるのだが、ベンチマークの結果、フルHD解像度で画面品質を「中」にすることでほぼ60fpsを達成できた。なお、画面品質を「低」にした場合は、完全に60fpsに張り付きを達成できる。ただし、目に見えて画質が低下するので、フレームレートの安定を取るか、画質を取るかは、プレイヤーの好みによるところだろう。
テレワーク&息抜きにゲームという使い方も
Mini-ITXのコンパクトかつ優雅な外観のPG-RTは、ここまでのテストで確かめた通り、テレワークなどで必要な基本性能において申し分ないパフォーマンスを発揮できている。ビデオカードを搭載しないため、本格的なPCゲーミングを楽しむのは難しいが、設定次第では60fpsくらいのフレームレートを出せるくらいのポテンシャルも持っている。
昨今の高性能なゲーミングPCは、FPSゲームなどで高いフレームレートを発揮できる性能を持っているが、それらはリフレッシュレートの高いゲーミングディスプレーを使用して初めて活きるもの。
一般的なディスプレーであれば、リフレッシュレートは60Hzほどが多い。すでにガチガチのゲーミング環境を構築しているならともかく、テレワークの息抜き程度にゲームを遊ぶくらいなら、過剰なグラフィック性能を求めるより、コストとスペックのバランスを見ながらモデルを選択する方がいい。
PG-RTは、Ryzen 5 PRO 4650Gの標準構成では9万8800円、今回の試用機のようにRyzen 7 PRO 4750Gにアップグレードしても11万4200円なので、そうしたバランス面で優れた製品といえるだろう。
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