ハイエンドならではの機能美
デザインはこのとおり。では性能はどうだろうか。ヒートシンクは大きさ=冷却性能だ。マザーボードで一般的にVRMと呼ばれる回路は+12VからCPUそのほか各部が必要な電圧・電流を供給している。消費電力が大きい昨今のハイエンドCPUではVRMが発する熱量も大きくなりがちだ。
MEG B550 UNIFYは一般的なVRMヒートシンクよりも大型だ。フィンタイプのものよりは放熱効率が小さいと思われるが、ソリッドタイプのものとしては最大級と言ってよい。しかもCPUソケット左側と上側の2つをヒートパイプで結んでひとつの超大型ヒートシンクとして利用している。
実際、CINEBENCH R23のようなCPU負荷が高いベンチマークを10分間実行しても、室温21℃、バラック時で表面温度は29℃までしか上昇しなかった。そして、左側、上側ともほぼ同じ温度で差は1℃程度。ヒートパイプによる熱の分散も機能しているようだ。
また、M.2ヒートシンクも一般的な製品とは異なる。通常、M.2ヒートシンクはアルミ製で、裏に熱伝導パッドが貼られてM.2 SSDの表面から熱を吸い上げる。MEG B550 UNIFYではM.2 SSDの表面は当然、裏面にもヒートシンクと熱伝導パッドを用意しており両面から放熱を行なえる。PCI Express Gen4対応のM.2 SSDはコントローラチップ、NANDチップともに発熱が大きいが、両面から冷やすことでサーマルスロットリングの発生を抑え、性能を引き出すことが可能だ。
こちらもCrystalDiskMarkの9回ループで検証してみたが、ヒートシンク表面は最大で31.5℃(室温は先と同じ)に収まっていた(Optane SSD 800p使用時)。
デザインで特徴に挙げたヒートシンクはともに、冷却性能でもハイエンドらしい優れた性能を示している。つまり「機能美」を実現していると言えるだろう。
ハイエンドである意義
つづいて、MEG B550 UNIFYがハイエンドであることの意義にも触れておこう。たとえばLED非搭載を目的とするならばスタンダードマザーボードでもよい。ただし、クリアサイドパネルのケースと組み合わせるならば見た目にもこだわりたい。MEG B550 UNIFYのようなひとつの色に統一したような見た目は、スタンダードマザーボードでは望めない。
また、ゲームを目的としたりするならばそれなりの電源設計が必要だ。スタンダードマザーボードは、ごく一般的なPCの使い方、事務用途や家庭用途を想定した設計だ。一般的な負荷の範囲で用いる分には問題なく、もちろん高負荷にも耐えられる。しかし、半導体の寿命は使用環境の温度に左右される。ゲームのように常に高い負荷が長時間続く場合、スタンダードマザーボードの設計では劣化が急速に進むことが考えられる。
ハイエンドはミドルレンジよりも、ミドルレンジはスタンダードよりも、フェーズ数が多い。1フェーズあたりの負荷を下げて劣化の進行を抑えている。また、同様にハイエンドほど高耐久・高効率の部品を用いている。元の耐久性が高ければマージンが大きく、効率が高い分発熱が小さく劣化の進行を遅くしてくれる。
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