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GeForce RTX 3060 Ti FE速攻レビュー!DXRゲームを楽しむなら最もお買い得なGPU

2020年12月01日 23時00分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集● ジサトラユージ/ASCII

GTX 1060より3倍速い?
「GeForce RTX 3060 Ti Founders Edition」レビュー

 日本時間2020年12月2日23時、NVIDIAはAmpere世代のメインストリーム級GPU「GeForce RTX 3060 Ti」の販売を解禁する。既に販売されているRTX 3090/3080/3070の“Ampere三兄弟”の下に位置付けられるモデルであり、北米市場における推定価格は399ドル〜となる。本邦における販売価格は本稿締め切り24時間を切った時点で伝えられていないが、499ドル〜のRTX 3070の初出価格が7万円前後であったことを考えると、6万〜6万円台中盤のスタートになると筆者は予想している。

 RTX 3060 TiはRTX 3070と同じ「GA104」コアを使い、CUDAコア数を若干絞ることでコストダウンを図った製品となる。NVIDIAによれば699ドルスタートだったRTX 2080 SUPERよりも高速だという。

 これまでは最初に無印(今回の場合だとRTX 3060)が出たのちに、上位モデルのTi付きが投入されるパターンが多かったが、今回はいきなりRTX 3070の近傍に新モデルを投入してきた。ライバルのAMDがRX 6000シリーズの下位モデルを投入する前に、競合する製品を投入してシェアを獲ろうという狙いが透けて見えてくる。

 今回筆者は幸運にも、RTX 3060 Tiの“Founders Edition(以降FEと略)”に触れる機会に恵まれた。従来のxx60番台GeForceと比べ、どの程度のパフォーマンスアップが見込めるのか、様々なベンチマークを通じて検証していきたい。

今回検証に使用した「GeForce RTX 3060 Ti Founders Edition」。北米のNVIDIA直販では399ドルで販売されるが、国内における正規流通ルートは存在しない

RTX 3060 Ti FEのパッケージはRTX 3070 FE(https://ascii.jp/elem/000/004/031/4031957/)と全く同じ。ただカードの金属部分がガンメタルからシルバーへ変更になっている

RTX 3060 TiのTiとは“Titanium”の略であるためか、RTX 3060 Ti FE(手前)は銀灰色のカラーリングになっている(奥はRTX 3070 FE)

カード全体の作りはRTX 3070 FEと同一。全長は実測で約241mmなので非常に扱いやすいサイズ

カード後部のファンはFlow Throughデザイン、即ち基板表側から裏に空気を通過させて排気を促す仕掛けだ。ヒートシンクのフィンが裏側に露出しているのが風が通過する部分

映像出力系はお馴染みのDisplayPort×3+HDMI×1構成。Ampere世代なのでHDMIはケーブル1本で8K出力に対応できるHDMI 2.1仕様となる

補助電源はRTX 30シリーズのFEだけに使われているMicro-Fitの12ピン。一般的なAICパートナーカードでは普通の8ピン×1仕様になるが、ファクトリーOCモデルではそれ以上の構成もあり得る

同梱されているMicro-Fitの12ピン変換アダプター。RTX 3070 FEと同様に、カード側の結線は8ピン1系統分だけなので、変換ケーブルに8ピンコネクターは1つしかない


CUDAコア数はRTX 2080 SUPERの1.6倍
なのにTGPは50W低下

 ではRTX 3060 Tiのスペックを、近傍のGPUと比較してみよう。SM(Streaming Multiprocessor)数はRTX 3070よりも8基減らされており、それに連動してROPやテクスチャーユニットなども減っているが、メモリーバス幅は256bitで、VRAMはGDDR6で8GBといった部分はRTX 3070と共通だ。

RTX 3060 Tiと、その近傍のGPUとのスペック比較。8Nnmの“N”とは「NVIDIAカスタムプロセス」を略したもの

「GPU-Z」でRTX 3060 Ti FEの情報を拾ってみた。メモリーの実クロックは1750MHzであり、これをデータレートに換算すると14Gbps相当となる

Temperature Limitの83度とは、負荷をかけた時のGPU温度を83度にとどめるようにクロックや電圧を調整して運用するという意味になる

ここでのPower Limitのデフォルト値はスペック表におけるTGPと同じ200W。ただしOCツールを使うことで最大220Wまで引き上げられる

 RTX 3060 Tiを理解する上でのポイントになるのは、RTX 2080 SUPERとの対比だ。SM数ではRTX 2080 SUPERの方が多いが、AmpereアーキテクチャーではSM1基あたりのCUDAコア数が倍増。回路規模が大きくなると消費電力は増えるものだが、プロセスルールの進化とクロックを全体的に抑えることで、TGP(Total Graphics Power:NVIDIAで言うところのカード全体の消費電力)は200Wにとどまっている。TGP250WのRTX 2080 SUPERよりも、TGP200WのRTX 3060 Tiの方が速いとNVIDIAは謳っているのだ。

 ただRTX 2080 SUPERは全体的にクロックが高く、さらにGDDR6メモリーは15.5Gbpsと高データレートのものが使われている。GPU内部の並列度において勝るRTX 3060 Tiとメモリーの速いRTX 2080 SUPERでは、どちらがどういう状況で有利なのかに注目したいところだ。

旧世代xx60番台と一斉比較

 では今回の検証環境を紹介しよう。基本方針はPascal〜Ampereまでに出たxx60番台のGPUを横並びで比較するとともに、型番下2ケタが格上のRTX 2080 SUPERやRTX 3070とも比較してみる、というものである。

 ほとんどのビデオカードはFE版で揃えたが、GTX 1660のみFE版が存在しないのでZOTAC製のスタンダードなデュアルファン搭載モデル「ZOTAC GAMING GeForce GTX 1660 6GB GDDR5」をチョイスした。ドライバーはRTX 3060 Ti FEがレビュー用βドライバーだが、それ以外は検証時点における最新WQHL(GeForce 457.30)を使用している。

検証環境
CPU AMD「Ryzen 9 5950X」(16C/32T、3.4~4.9GHz)
CPUクーラー Corsair「iCUE H115i RGB PRO XT」(簡易水冷、280mmラジエーター)
マザーボード GIGABYTE「X570 AORUS MASTER」(AMD X570、BIOS F31l)
メモリー G.Skill「Trident Z RGB F4-3200C16D-32GTZRX」
(DDR4-3200、16GB×2)×2
ビデオカード NVIDIA「GeForce RTX 3070 Founders Edition」、
NVIDIA「GeForce RTX 3060 Ti Founders Edition」、
NVIDIA「GeForce RTX 2080 SUPER Founders Edition」、
NVIDIA「GeForce RTX 2060 Founders Edition」、
ZOTAC「ZOTAC GAMING GeForce GTX 1660 6GB GDDR5」、
NVIDIA「GeForce RTX 1060 Founders Edition」
ストレージ GIGABYTE「AORUS GP-ASM2NE6200TTTD」(NVMe M.2 SSD、2TB)、Western Digital「WDS100T2X0C」(NVMe M.2 SSD、1TB)
電源ユニット Super Flower「LEADEX Platinum 2000W」(80PLUS PLATINUM、2000W)
OS Microsoft「Windows 10 Pro 64bit版」(October 2020 Update)

RTX 3060Ti>RTX 2080 SUPERは「ほぼ」正確な表現

 何はなくとも「3DMark」のスコアー比べから始めよう。最近になってまたテストがいくつか追加されたが、Fire Strike〜Port Royalまでの定番セットで検証する。

「3DMark」のスコアー

 RTX 3060 Ti FEのスコアーは、上位モデルであるRTX 3070 FEに対してはおおよそ11〜16%下に位置している。これはCUDAコア数が減った分(約20%)減少に近いものだ。下位モデルとしては順当な結果といえるだろう。

 そして旧世代のxx60番台の製品と比較した場合、RTX 2060 FEはRTX 3060 Ti FEの6〜7割程度、GTX 1660は4〜6割、GTX 1060に対しては3〜4割の性能しか出せていない。GTX系GPUはレイトレーシング処理向けのRTコアを搭載しないため、レイトレーシングのパフォーマンスを計るPort Royalのスコアーはさらに低くなっている。CUDAコア数はもちろんコアの内容も違ううえに、今回のRTX 3060 Tiはミドルレンジではなく“メインストリーム”的な位置付けの製品であるため、ある意味当然の結果といえる。

 そしてNVIDIAの「RTX 2080 SUPERよりも高速」という謳い文句は「ほぼ」正しいことも上のグラフから読み取れる。Ampere世代でNVIDIAは性能を一気に盛ってきたことがわかる(AMDの動向を見ればこれは正解だったと今なら言える)。ただしPort RoyalだけはなぜかRTX 2080 SUPER FEの方が高スコアーになった。

 RTX 3060 Ti FEの方がRTコア数は少ないが、Turing vs AmpereならRTコア数が少なくてもPort RoyalのスコアーはAmpereが勝つというのがこれまでの流れ。しかしRTX 3060 Ti FEでは負ける理由は、RTコア周りではなくGPUコアの動作クロックや、メモリーのデータレートに理由があるようだ。ただPort Royalのスコアーは実際のDXRパフォーマンスと一致する訳ではないので、この後の検証で結論を出すべきだろう。

 そしてここで消費電力をチェックしてみよう。ラトックシステム「REX-BTWATTCH1」を使用し、システム全体の消費電力を測定する。ここではシステム起動10分後の安定値を“アイドル時”、3DMarkのTime Spyデモ再生中のピーク値を“高負荷時”としている。

システム全体の消費電力

 CUDAコア4864基を備えるだけあって、TGP200Wといえど高負荷時はそれなりに電力を食う。旧世代のxx60番台よりは60〜120W上回ると思ってよいだろう。ただRTX 2080 SUPER FEに対しては、ほぼ同性能なのにも関わらずRTX 3060 Ti FEが40W以上下回っている。高クロック動作のRTX 2080 SUPERの泣き所ともいえるが、同時にCUDAコア数を盛っても消費電力があまり増えていないRTX 3060 Tiのワットパフォーマンスの高さが読み取れる。

 ついでにビデオカード単体の消費電力(TBP:Total Board Power)をNVIDIAの「PCAT(https://ascii.jp/elem/000/004/026/4026360/)」を利用して正確に計測してみた。3DMarkの“Time Spy Stress Test”を5分間回し、その際のTBPの変動を記録している。さらにその間の最小値/平均値/最大値も比較する。

5分間の負荷をかけた際の、TBPの推移。RTX 3070 FEとRTX 3060 Ti FEはかなりの部分で重なっていて見分けにくい

5分間の負荷をかけた際の、各カードのTBPの最大・最小・平均値

 まずTBP推移グラフからはGPUの消費電力がその瞬間ごとにおいて刻々と変わる様子が読み取れるが、その中でも最もY軸で上(=消費電力が高い)なのがRTX 2080 SUPER FE。TBPが定期的に脈動しているのはStress Testで同じシーンを繰り返すためだ。これによるとビデオカードだけで瞬間的に最大291W消費しているが、平均で見るとほぼスペック表のTGPに近い約243Wに収束している。

 そして肝心のRTX 3060 Ti FEは平均で206W、瞬間的には最大253Wであり、RTX 3070 FEより実測値で平均6W下につけている。旧世代xx60番台、特にGTX 1060 FEと比べるとRTX 3060 Ti FEの消費電力は2倍近くになっているが、3DMarkのスコアーは3倍近く稼げるようになっているため、Pascal世代から見るとワットパフォーマンスは大きく向上していることが分かる。

 ちなみにGTX 1060の初出価格が約3万5000円程度なので、RTX 3060 Tiの実売価格が筆者の予想通りなら、コストはほぼ倍になったものの性能は3倍近くに伸びているため、コストパフォーマンス面においても優秀といえる。


フルHD〜WQHD領域で使いたい「Apex Legends」

 ここからは実ゲームにおける検証をひたすら続けていこう。まずはDirectX 11ベースの人気タイトルである「Apex Legends」だ。画質は最高画質設定とし、射撃訓練場における一定の動作をした時のフレームレートを「CapFrameX」で測定する。起動オプションでフレームレート上限解除(+fps_max unlimited)を追加しているので、デフォルトの144fpsキャップは存在しない。

「Apex Legends」1920×1080ドット時のフレームレート

「Apex Legends」2560×1440ドット時のフレームレート

「Apex Legends」3840×2160ドット時のフレームレート

 実ゲームにおいてもRTX 2080 SUPER FEとRTX 3060 Ti FEはほぼ同レベルの性能だが、首の皮一枚の差でRTX 3060 Ti FEが勝っていることがわかる。RTX 3060 Ti FEはフルHDでならリフレッシュレート240Hz、WQHDなら144Hzのゲーマー向け高リフレッシュレートディスプレーと組み合わせて使うには丁度いい感じの性能になっている。4Kでも平均90fps以上は出せるが、スモークのような重い表現の中に入るとフレームレートが50fpsを割るので、描画の安定感を追求するならやや力が足りないといったところか。

 GTX 1060 FEの約3倍という性能はここでも発揮されているが、GTX 1660に対しては約2倍、RTX 2060 FEに対しても約1.5倍と、これまでのxx60番台よりもかなり強力になっている。

RTX 3070 FEより100ドル安で
10%下になった「Rainbow Six Siege」

 次は「Rainbow Six Siege」だ。APIはVulkanとし、画質は“最高”、さらにレンダースケール100%設定を追加した。ゲーム内ベンチマーク機能を利用して計測している。

「Rainbow Six Siege」Vulkan、1920×1080ドット時のフレームレート

「Rainbow Six Siege」Vulkan、2560×1440ドット時のフレームレート

「Rainbow Six Siege」Vulkan、3840×2160ドット時のフレームレート

 300fpsでキャップがかかるApex Legendsと違い、Rainbow Six SiegeはGPUパワーがあればあるだけフレームレートも伸びる。フルHDならRTX 3060 Ti FEでも最低289fps、平均360fps出せているので、今存在する最高速のゲーミングディスプレー(リフレッシュレート360Hzのもの)と組み合わせると最高の環境になるだろう。RTX 3070 FEが10%前後上に位置しているが、米ドルベースで100ドルの価格差で10%性能差がついている、と考えればリーズナブルな性能差ではないだろうか。


処理の重い「Borderlands 3」だとやや辛い

 FPS系が続くが、次は描画がやや重めの「Borderlands 3」で試してみよう。APIはDirectX 12とし、画質は“バッドアス”に設定。ゲーム内ベンチマーク機能を使用して計測しているが、最低fps(下位1パーセンタイル点)はログから算出している。

「Borderlands 3」DirectX 12、1920×1080ドット時のフレームレート

「Borderlands 3」DirectX 12、2560×1440ドット時のフレームレート

「Borderlands 3」DirectX 12、3840×2160ドット時のフレームレート

 グラフのバーの長さから読み取れる全体傾向はこれまでの検証と同じ。描画処理が重いためRainbow Six Siegeのように高リフレッシュレートディスプレーが活きるゲームではないが、フルHDなら60fps以上キープの安定した描画が期待できるだろう。

「F1 2020」では4K領域でも戦える

 続いては「F1 2020」で検証してみたい。画質は“Ultra High”とし、異方性フィルタリングは“x16”とした。アンチエイリアスは“TAA”の他に“NVIDIA DLSS”も選択できるため、RTX系GPUではDLSS使用時の結果も併記している。

 ここでの検証は内蔵ベンチマーク機能を利用した。コースは“モナコ”、天候は雨天設定で回している。

「F1 2020」1920×1080ドット時におけるフレームレート

「F1 2020」2560×1440ドット時におけるフレームレート

「F1 2020」3840×2160ドット時におけるフレームレート

 ここではRTX 2060 FEとRTX 2080 SUPER FEの間にかすかに性能の谷が見えているところに着目したい。フルHDではRTX 2060 FEでも十分なフレームレートを出せているが、解像度を上げるほどにRTX 2060 FEは息切れ感が強くなる。特に4Kになるとフレームレートが平均60fpsを下回る。ただ、アンチエイリアスにDLSSを利用することで4Kでもなんとか戦えるようになるのは、RTX系GPUの良さであると言えるだろう。

 これに対しRTX 3060 Ti FEのフレームレートは、4K領域においても高めで安定している。RTX 3070 FEに対してはWQHDや4Kでは11%程度下回るが、フルHDではあまり差が出ていない(DLSSを適用すると若干差は開く)。さらにRTX 2080 SUPER FEに対しては最大12%上に位置するなど、旧世代の格上GPUに対してもアドバンテージを保てている。実売価格においてRTX 3070に対して十分な価格差が付くなら、RTX 3060 Tiは4Kでも戦える費用対効果の良いGPUになるのではないだろうか。


「Horizon Zero Dawn」でメモリー帯域の差が見えてきた?

 そろそろ重量級ゲームでの検証に入ろう。まずは「Horizon Zero Dawn」だが、画質は“最高画質”に設定し、ゲーム内ベンチマーク機能で計測した。

「Horizon Zero Dawn」1920×1080ドット時のフレームレート

「Horizon Zero Dawn」2560×1440ドット時のフレームレート

「Horizon Zero Dawn」3840×2160ドット時のフレームレート

 全体の傾向はこれまでの検証と変わらないが、注目して欲しいのは最低fps、特にRTX 2080 SUPER FEとRTX 3060 Ti FEとの違いだ。過去様々なGPU検証において、このタイトルの最低fpsはブレやすいことが判明しているため、3回計測して最低fpsが良い結果を出したものを比較している。

 今回の検証では、最低fpsだけはRTX 2080 SUPER FEの方が、RTX 3060 Ti FEや3070 FEよりも高くなった。メモリー帯域の差(RTX 2080 SUPERは496GB/secで、RTX 3060 Tiや3070の448GB/secより広い)が影響していることと推察できる。

 今のところRTX 2080 SUPERのメモリー帯域を上回ることができるのはバス幅の広いRTX 2080 TiやRTX 3080といった上位モデルだけなので、こういうメモリー帯域が効くシーンでは、局所的にRTX 3060 Ti FEが不利になる部分もあるということだ。ただし平均fpsではCUDAコア数の圧倒的な差によってRTX 3060 Ti FEが上回っているので、さほど気にする必要はないだろう。

RTX 3070に肉薄する「Assassin's Creed Valhalla」

 続いては「Assassin's Creed Valhalla」を使って検証する。画質は“最高”とし、ゲーム内ベンチマーク機能を利用して計測した。

「Assassin's Creed Valhalla」1920×1080ドット時のフレームレート

「Assassin's Creed Valhalla」2560×1440ドット時のフレームレート

「Assassin's Creed Valhalla」3840×2160ドット時のフレームレート

 旧世代xx60番台のGPUだとフルHDで平均60fpsを出すことすらできないような重いゲームだが、RTX 3060 Ti FEなら平均75fps、WQHDでも60fpsは出せている。ここで注目したいのは上位モデルRTX 3070 FEとの差が他のタイトルより詰まっていることだ。フルHDだと5%程度、WQHDや4Kでも8%程度にとどまっている。


VRAM8GBの強みが出た
「MONSTER HUNTER WORLD: ICEBORNE」

 非DXRゲームの最後を飾るのは「MONSTER HUNTER WORLD: ICEBORNE」だ。APIはDirectX 12とし、画質“最高”をベースにHigh Resolution Texture Packを追加した。集会エリアにおける一定コースを移動した時のフレームレートを「CapFrameX」で測定している。また、RTX系GPUはWQHD以上の解像度においてDLSSを利用した時の結果も併記する。

「MONSTER HUNTER WORLD: ICEBORNE」DirectX 12、1920×1080ドット時のフレームレート。この解像度はDLSS非対応

「MONSTER HUNTER WORLD: ICEBORNE」DirectX 12、2560×1440ドット時のフレームレート

「MONSTER HUNTER WORLD: ICEBORNE」DirectX 12、3840×2160ドット時のフレームレート

 このタイトルでHigh Resolution Texture Packを導入するとVRAM消費量が大きくなり、WQHD以上で設定直後に注意が出る。ゆえにVRAMが6GBしか搭載されないRTX 2060より下のGPUでは辛い検証となった。DLSSを使えばRTX 2060 FEでもWQHDで60fpsキープは難しくないものの、フルHDではDLSSが使えない仕様なので、高フレームレートプレイを望むならRTX 3060 Ti FEは良い選択肢になるだろう。

 このゲームではRTX 3060 Ti FEがメモリー帯域の太いRTX 2080 SUPER FEよりも終始最低fpsにおいても上回った。Horizon Zero Dawnではメモリー帯域の太いRTX 2080 SUPERは最低fpsの底上げに強かったが、ここではそのような傾向はない。むしろHorizon Zero Dawnが特殊であり、実際のゲームにおいてはメ モリー帯域差はそれほど決定的ではないようだ。

「Call of Duty: Black Ops Cold War」で
DXRパフォーマンスを見る

 ここから先はDXR(DirectX Raytracing)対応ゲームでDXRのパフォーマンスをチェックする。まずは「Call of Duty: Black Ops Cold War」を使用する。画質は最高設定だが、スクリーンスペースリフレクションだけは“低”とした(設定を上げても勝手に低に戻るため)。DXRは全て一番重い設定とし、DLSSは“バランス調整済み”設定とした。また、モーションブラーは無効にしている。

 検証はステージ“フラクチャー・ジョー”をプレイした時のフレームレートを「CapFrameX」で計測することによって実施している。

「Call of Duty: Black Ops Cold War」DXR有効、1920×1080ドット時のフレームレート

「Call of Duty: Black Ops Cold War」DXR有効、2560×1440ドット時のフレームレート

「Call of Duty: Black Ops Cold War」DXR有効、3840×2160ドット時のフレームレート

 前作(Call of Duty: Modern Warfare)では影の表現のみにDXRが使われていたが、本作ではアンビエントオクルージョンも追加されているので、最高画質設定だと前作よりも重く感じる。今回使ったGPUの中で一番好成績を残したRTX 3070 FEですら、フルHDで60fpsキープはできない。

 DLSSを使えばフレームレートは伸びるが、それでも落ち込むときは落ち込む。RTX 3060 Ti FEでプレイするなら、DXRの設定を控えめにした方が現実的といえるだろう。RTX 2060はDXR+DLSSに対応できる現時点で一番下のGPUだが、RTX 2060 FEだとDLSSなしではプレイは絶望的に辛いのに対し、RTX 3060 Ti FEは“カクつきは酷いがまあ遊べる”レベルになっているので、xx60番台GPUとしては脅威的な性能向上を果たしてるといえるだろう。


DXR対応βビルドの「DIRT 5」の性能は?

 「DIRT 5」は現在βビルドにおいてDXRを組み込んだものがテストされているので、これで検証してみた。今回DXR対応タイトルについてはGTX 1060やGTX 1660は全てスルー(CUDAコア処理なので比較に使えるような性能は出ないからだ)しているが、このDIRT 5のβビルドでは、GTX系ではDXRが選択できない(Minecraft with RTX Betaと同じ)ようになっている。画質は“Ultra High”とし、ゲーム内ベンチマーク機能を利用して計測している。

「DIRT 5(β版)」DXR有効、1920×1080ドット時のフレームレート

「DIRT 5(β版)」DXR有効、2560×1440ドット時のフレームレート

「DIRT 5(β版)」DXR有効、3840×2160ドット時のフレームレート

 まだ正式リリース前なのでドライバーやゲーム側の最適化が十分でないため、正式版リリース時とは性能が違う可能性がある、と前置きしておきたい。だがβビルドの段階では一番重いUltra High設定ではフルHDが限界といった感じだ。

 ただRTX 2060 FEはRTX 3060 Ti FEの6割程度のフレームレートしか出せない点を考えると、本格的なDXRゲーム用GPUとしてはRTX 3060 Ti FEは今後の良い入門用GPUとしてオススメできそうではある。

RTX 2080 SUPERを最も引き離した「Control」

 DXRパフォーマンスを見るなら、レイトレーシングで多彩な処理を盛り込んだ「Control」は最適のゲームと言えるかもしれない。画質は“高”、レイトレーシングは“高”設定とし、マップ内の一定のコースを移動した際のフレームレートを「CapFrameX」で計測した。

「Control」DirectX 12&DXR有効、1920×1080ドット時のフレームレート

「Control」DirectX 12&DXR有効、2560×1440ドット時のフレームレート

「Control」DirectX 12&DXR有効、3840×2160ドット時のフレームレート

 このタイトルでは、RTX 3060 Ti FEはRTX 3070 FEとRTX 2080 SUPER FEのほぼ中間に陣取っている。この勢力図はDLSSを有効にしてもほぼ変化がない。DLSSなしの力業レンダリングだとフルHD&最高画質設定で60fpsキープは難しいが、DLSSありならフルHDで60fpsを余裕をもって超えることができる。

 ここでのDLSS設定はレンダリング解像度を一番高くした“DLSS Quality設定”だが、レンダリング解像度を1段下げた“DLSS Balanced”設定なら、WQHD以上でさらにパフォーマンスが稼げそうだ。とはいえGPUのパワー的に4K+DXR+最高画質で60fpsプレイは難しい(これはRTX 3080の領域)。フルHD〜WQHDであれば、RTX 3060 Tiはリーズナブルな選択肢となるだろう。


「Minecraft with RTX Beta」のパフォーマンスは?

 少々目先を変えてWindows10ストアアプリ版の「Minecraft」のDXR対応版、即ち「Minecraft with RTX Beta」も動かしてみた。画質設定はデフォルト設定、つまりレンダー距離は8で固定とした。スケーリング(DLSS)は有効と無効時でそれぞれ比較している。また、常時V-Syncが有効になっているので、設定ファイルで無効化した。

 今回の検証はマーケットプレイスで入手したマップ「Portal Pioneers RTX」を利用した。マップ内に用意されたトロッコで移動した時のフレームレートを「CapFrameX」で計測する。

「Minecraft with RTX Beta」DXR有効、1920×1080ドット時のフレームレート

「Minecraft with RTX Beta」DXR有効、2560×1440ドット時のフレームレート

「Minecraft with RTX Beta」DXR有効、3840×2160ドット時のフレームレート

 今年春に最初にMinecraft with RTX Betaを検証したとき(https://ascii.jp/elem/000/004/010/4010029/)からビルドは進んでいるが、エンジンそのものの出来はあまり変わっている印象はない。ただDLSS(スケーリング)を無効にしたままだとフレームレートの落ち込みが激しいので、WQHD以上でプレイするならDLSSは必須といえる。RTX 3060 Ti FEであれば、DLSSを使うことで平均60fpsプレイが楽しめるだろう。

 フルHD+DLSSなら平均120fps近くまで出せるが、エンジンの仕様なのかフレームタイムが激しく変動するので、数字的に高フレームレートを出せても常時ヌルヌル動く感じには乏しいのが残念だ。

DLSS前提でプレイしたい「Watch Dogs: Legion」

 最後に試すのはDXRとしては最重量級の一角を占める「Watch Dogs: Legion」だ。APIはDirectX 12、画質“最大”にレイトレーシング“最大”を追加。DLSSは“バランス”かつ精細度100%を指定した。ゲーム内ベンチマーク機能を利用して測定している。

「Watch Dogs: Legion」DirectX 12&DXR有効、1920×1080ドット時のフレームレート

「Watch Dogs: Legion」DirectX 12&DXR有効、2560×1440ドット時のフレームレート

「Watch Dogs: Legion」DirectX 12&DXR有効、3840×2160ドット時のフレームレート

 さすが現行最重量級だけあって、RTX 2060 FEではDLSSがあっても快適プレイにはほど遠い。RTX 3060 Ti FEでもDLSSがないとフルHDでも厳しいが、DLSSを有効化することでプレイアブルなフレームレートが得られる。

 WQHD以上になるとRTX 3070 FEでも設定下げを検討すべき重さになるので、RTX 3060 Ti FEはフルHDで画質最高設定よりやや下を狙うためのGPUと言うべきだろう。このタイトルにおいてもRTX 3060 Ti FEはRTX 2080 SUPER FEよりもコンスタントに上回っており、DLSSの有無に関係なく8%前後上に位置している。

まとめ:性能は順当。DXRゲームの体験用なら
RTX 20シリーズより優秀

 家庭用ゲーム機でも「レイトレーシング」がキーワードになってきた(ただそちらもソフト不足で悩んでいるようだが)し、PCのDXR対応ゲームも増えてきたので、そろそろDXR対応GPUに乗り換えようと考える人もいるだろう。

 その場合の選択肢としては、今回レビューしたRTX 3060 Tiや3070にするか、あるいは値下がりの激しいRTX 20シリーズの下位モデルにするか悩むことになる(Radeon RX 6800は価格的に1ランク上かつDXRパフォーマンスが控えめ。何より店頭在庫すら怪しい状態)。Apex LegendsやRainbow Six Siegeといった軽めのゲーム主体なら型落ちGPUでも戦えるが、DXRを体験したいとなれば旧世代RTコアを搭載したRTX 20シリーズに手を出すのはあまり賢い選択とは言えない。

 つまりRTX 3060 TiはDXRゲームを楽しむためのGPUとしては今一番お買い得なGPUといえる。Call of Duty: Black Ops Cold WarやWatch Dogs: Legionでは最高設定だと平均60fpsキープが厳しい点もあるが、今ある最高のPCゲームグラフィックスを堪能できるGPUであることは間違いない。ほぼ全ての局面においてRTX 2080 SUPERよりも上の体験ができるだろう。

 ただ、このRTX 3060 TiはRTX 2070あたりから乗り換えるにはやや足りないかもしれない。RTX 2060やGTX xx60系なら劇的なパフォーマンスアップが感じられる。特にGTX 1060を使っている人なら、およそ3倍(場合によってはそれ以上)のフレームレートが得られるはずだ。もちろんGTX 1060とRTX 3060 Tiは価格が倍違うが、性能は3倍近いため十分投資に見合う働きをしてくれるだろう。

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