RTX 3080は4K、RTX 3070はWQHDがターゲット

GeForce RTX 3090で夢の8Kゲーミングは実現するのか？HDMI 2.1とDLSSの役目を解説

8K＝フルHDの16倍へ挑むためのRTX 3090

　では、GeForce RTX 3080の上に位置付けられるGeForce RTX 3090は誰のための製品か？　と言えば、4Kでは我慢できないゲーマーや、4K/8Kの動画編集を行なうクリエイターのための製品だ。VRAM搭載量はTITAN RTXと同じ24GBだが、GDDR6Xを採用している。CUDAコアはHPC向けのGA100（CUDAコア8192基）よりさらに多い10496基という前代未聞の規模を持った“Giant Ampere”だ。

　8Kという解像度は4Kの倍のように見えてしまうが、画面の画素数はフルHDの16倍にもなる。さらに、8Kディスプレーにどう接続するかも問題になる。

8Kという究極のゲーミング環境に挑むための武器がGeForce RTX 3090。従来のTITANポジションのGPUだが、AICパートナーが独自に設計・製造できるという点で決定的に異なる。ただし、AICパートナーのカードも相当巨大かつ高額になるのは間違いないだろう

4KはフルHDの4倍の画素数で、8Kは4Kの4倍。つまり、フルHDの16面に相当する画素を瞬時に処理できる性能がGeForce RTX 3090に求められる

　まず8Kディスプレー環境についてだが、GeForce RTX 30シリーズにHDMI 2.1対応を盛り込み、8K TVをターゲットにすることで選択肢と使い勝手を選択した。性能面では非可逆の映像圧縮技術「DSC（Display Stream Compression）」ありで16K＠60fpsまで対応するDisplayPort 2.0のほうが優秀だが、まだディスプレーが市場に出ていない。だが、HDMI 2.1ならシャープの「AQUOS 8K」をはじめ複数メーカーから製品が流通している。さらに、HDMIケーブル1本による8K映像伝送が解禁になったし、ハイエンド志向のユーザーを8K環境に引き上げるには絶好の機会だろう。

8Kでゲームをプレイする環境については、PC用8KディスプレーやHDMIケーブル4本で接続する方式があるが、GeForce RTX 30シリーズはHDMI 2.1に対応し、ケーブル1本で伝送させる方法を選択した。DisplayPort 2.0は次のGeForce RTX 40シリーズ（？）の目玉になるかもしれない

　次に負荷の問題だが、いくらCUDAコアを1万基以上載せても、8Kを素でレンダリングするのは難しい。8Kすべてのピクセルに対して、従来通りのやり方で1ドットずつ計算するのは無駄の極みなのだ。

　ゆえに、8Kゲーミング環境を成立させるためには「DLSS」の存在が不可欠とNVIDIAは考えている。そこで、8Kのための新しいAIモデルを開発し、WQHDのレンダリングを8K相当の映像に再構成する「9X AIスーパーレゾリューション」を開発して実装している。ただのアップスケーラーだと9倍拡大でディテールがボケボケになりそうなものだが、AIで処理することで、8Kの解像感に負けないシャープなディテールが得られるというものだ。これで前述の計算力の問題については回避できる。

DLSSによって低解像度のレンダリング結果から高解像度のレンダリング結果を得ることが可能になった。WQHD（2560×1400ドットとあるのは1440ドットの間違いだろう）から8Kを生成可能になったが、これはDLSS 2.0で言うところの「パフォーマンス」設定の話だと思われる

今秋リリース予定の「WATCH DOGS LEGION」はDXRとDLSSにも対応した注目のタイトル。8Kプレイも視野に入れて開発が進んでいるようだ。右端に見える電話ボックスの描写に注目（続く）

（続き）左からフルHD等倍、4K等倍、そしてDLSSで8Kにした時のディテールの差。DLSSの設定は不明だが、一度8Kを見てしまうと4Kでもボケた感じに見えるのが恐ろしい。もちろん、「動いていれば気にならない」のも確かだが、気にする人はGeForce RTX 3090を選ばざるを得ないのだ……

「Rainbow Six Siege」のような軽めのゲームなら、GeForce RTX 3090を使って8Kでゴリゴリレンダリングしても60fpsを超えることが可能。一方、素のレンダリングだと40fpsを割る「Death Stranding」でもDLSSを併用すれば8Kで70fps以上出る、とNVIDIAは力説する