週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

新たにフルHDをサポートして、品質は3段階で選べるように!

DLSS 2.0をレビュー、GeForce RTXの価値を爆上げするWQHD&4K時代の救世主

2020年03月23日 22時00分更新

 NVIDIAのGeForceファミリーは現在、ミドルクラス以下がコスト志向のGTX 16シリーズ、メインストリーム~ハイエンドは付加機能と性能を重視したRTX 20シリーズという2系統の製品ラインが存在する。どちらもTuringアーキテクチャーなのだが、リアルタイムレイトレーシング(DXR)の処理の一部を実行するRTコアと、AIを利用した描画負荷軽減機能と言える「DLSS(Deep Learning Super Sampling)」を提供するTensorコアは、上位のRTX 20シリーズだけに実装されている。

 DXRはRTコアを持たなくてもCUDAコアを利用して処理できる(ただし、一部モデルのみ。そして、遅い)が、DLSSについてはTensorコアのないGeForceでは動かせない。ゆえに、RTX 20シリーズの真の強みは、DLSSであると言っても良いだろう。

 今回、NVIDIAはこのDLSSをさらに進化させた「DLSS 2.0」をアナウンスした。開催中止となったGDC 2020の基調講演でDirectX 12 Ultimateと共に発表するはずだった項目のひとつだ。本日情報解禁となったので簡単にではあるが、DLSS 2.0の特徴と性能をざっと紹介してみたい。

DLSSを開発者がより楽に使えるように

 DLSSについて改めて解説しておくと、RTX 20シリーズに組み込まれたTensorコアを利用してPCゲームのレンダリングをより低負荷かつ精細にする機能だ。レンダリング時間を減らすにはGPUの計算負荷を減らすのが一番だが、そうなると画質が犠牲になる。そこで、AIの力を借りて見た目を限りなく維持しつつ負荷を下げようという試みがDLSSだ。

 DLSSを利用するには、まずNVIDIAのニューラルグラフィックスネットワーク(NGX)を利用してレンダリング結果を“学習させる”必要がある。スーパーコンピューター上で超高解像度でレンダリングした結果と、現実的な解像度で64倍のスーパーサンプリング(≒アンチエイリアス)をかけたレンダリング結果を突き合わせて学習させるのだ。

 その結果として、目に付きやすいテクスチャーのディテールを残しつつ効果的にジャギーが目立たなくなる学習データが得られる。単に過去フレームにおける色データをピックアップしてアンチエイリアスをかける「TAA(Temporal Anti-Aliasing)」よりも、DLSSのほうがエッジの崩れが少なく、より良い結果が得られるというわけだ。

Turingシリーズ初登場の際に提示された、DLSSの仕組みの概念図。超高解像度の正しい(Ground-Truth)映像と、レンダリングで出力された画像を突き合わせ、どこをどうすれば正しい画像に近づけるかを学習させる

 DLSSを実際のゲームで利用する時、基本的にはアンチエイリアスやVRS(Variable Rate Shading)を置換する機能として実装される。アンチエイリアスで使われていた処理パワーを解放できるので、そのぶんフレームレートが高くなるのだ。VRSはレンダリングする対象や動きによってレンダリングの粒度を部分的に変化させる機能だが、これもDLSSで補完できる。

「Wolfenstein: Youngblood」の設定画面。DLSSを有効にするとアンチエイリアス、VRS、さらに解像度スケーリング(いわゆるレンダースケール)の設定が無効化される

「MONSTER HUNTER: WORLD」でもDLSSを利用すると、画質の全般設定とアンチエイリアスが無効化。つまり、DLSSの制御下に置かれる

 そして、DLSS 2.0ではこの学習プロセスの改善が主眼となる。低解像度(フルHD)で出力されたゲームの映像と、その映像の動きのベクトルデータをニューラルネットワークに入力する。NGX内部ではそれを基に4Kにスーパーサンプリングした映像を計算し、それを16Kでレンダリングした超高解像度のGround-Truthな結果と付き合わせる。その差がニューラルネットワークにフィードバックされる。つまり、低解像度フレームのデータがニューラルネットワークに与えられた場合、過去の高解像度フレームのデータを利用して、高品質かつ高解像度のデータを出力できるようになるのだ。

 このDLSS 2.0のニューラルネットワークでは、火や水、パーティクルといったエフェクトについての学習が進んだ状態で利用できるようになった。ゲームごとにこれらを学習させる必要がなくなったので、ゲーム開発者はより迅速にDLSSをゲームに実装できるようになる。

DLSS 2.0の概念図。粗くレンダリングされたフルHDの映像と動きのベクトルデータを入力し、それをもとに高解像度の4K映像を作る。学習結果はフィードバックされ、より良いイメージを作れるようになる

新たにフルHDでも利用可能&3段階の品質設定の追加

 DLSS 2.0におけるユーザー側のメリットは、対応解像度の幅が広がったという点だ。これまでのDLSS(サポートしているゲームは非常に少ないが)では、縦の解像度が1440ドット以上、つまりWQHDより上の解像度設定でないと使えなかった。フルHDの高フレームレートに耐えられるスループットが出ないから制限していた、というのが一般的な解釈だ。

 これがDLSS 2.0対応ゲームではフルHDでも利用できるようになった、とNVIDIAは謳っている。さらに、DLSS 2.0対応ゲームではDLSSの品質を「パフォーマンス」、「バランス」、「クオリティ」の3段階で設定できる(2段階のものもある)ようになった。これまでのDLSSでは「クオリティ」に相当するオンか、全オフの2択しかできなかったが、DLSS 2.0ではオフも含めた最大4択となった。フレームレートをより稼ぎたいというニーズに応えられるよう改善されている。

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう