週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

Comet Lake-SのポイントであるPL1設定別の挙動や性能も詳しく解説

Core i9-10900Kを筆頭に第10世代Core超徹底検証!Ryzenよりもゲームで強いって本当?

2020年05月26日 14時00分更新

CGレンダリングでは第9世代Coreに明確な差をつけたものの……

 ここから先はアプリ系ベンチマークを中心に性能を比較していきたい。手始めに「blender」のレンダリング時間で比べる。「barbershop_interior_cpu.blend」を使用し、最初の1フレームだけをCPUでレンダリングする。CINEBENCH R20と同様全コアを使ってくれるのでCPUの馬力測定にはちょうど良い。

「blender」によるレンダリング時間

 Core i9-10900Kの処理時間は5年前(Skylake世代)のCore i7-6700Kのおよそ3分の1。14nmプロセスをここまで強化し続けたインテルの執念(と辛い開発事情)が感じられる結果となった。コア数や動作クロックが似ているCore i9-9900KとCore i7-10700Kとでは後者が大勝しているが、これはPL1をTDP定格値に設定しているせいもある。設計的には大きな飛躍がないぶん、PL1の上限値を公式に引き上げることで、より高クロックで回すことを許容したCPUになっていると言える。

 自社製の旧世代CPUに対する優越性は確保できた一方で、ライバルであるRyzen勢に対しては一様に負けている。今のRyzenは動作クロック的にはインテルに一歩劣るものの、ことマルチスレッド処理が重要なシチュエーションでは、同コア数のインテル製CPU(Ryzen 7 3800X対Core i7-10700K、Ryzen 5 3600X対Core i5-10600K)に対して、より短時間で処理を終えられる。

 最大限第10世代Coreプロセッサーのフォローをするならば、プロセスルールが14nmなのに最新の7nmと互角に渡り合っている部分だろう。だが、最上位のCore i9-10900KとRyzen 9 3900Xの差は大きいし、物理16コアのRyzen 9 3950Xには圧倒的な差をつけられる。マラソンで例えるなら、インテルは性能レースの先頭集団から脱落し、「第2集団」の後方になんとか食らいついている状態、といったところか。

 もうひとつマルチスレッド処理性能を測るものとして、CGレンダラー「V-Ray」を利用したベンチマーク「V-Ray Next Benchmark」も試してみよう。CPUとCUDAを使ったテストを実行できるが、今回はCPUだけを使ったテストを実行する。結果の単位はスコアー(ksamples)であるため、棒グラフが長いほど高性能という意味になる。

「V-Ray Next Benchmark」の結果

 blenderやCINEBENCH R20と同様、やはりここでもコア数が多くL3キャッシュも多いZen2世代のRyzenには勝てないという結果となった。PL1の制限により若干スコアーが低めに出ているとは言え、高クロックなCore i9-10900Kでもコア数に勝るRyzen 9 3900Xとの差は埋められないのだ。

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

この連載の記事