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Comet Lake-SのポイントであるPL1設定別の挙動や性能も詳しく解説

Core i9-10900Kを筆頭に第10世代Core超徹底検証!Ryzenよりもゲームで強いって本当?

2020年05月26日 14時00分更新

PL1=125WとPL1=無制限設定で比較してみた

 冒頭でも書いた通り、今回の検証では第10世代Coreプロセッサーはインテルの定格設定であるPL1=125W、第9世代CoreプロセッサーはPL1=95W設定で検証した。すべてのZ490チップセット搭載マザーボードを触っているわけではないが、本稿執筆時点(5月24日)では、ほぼすべてのマザーボードがPL1=無制限設定がデフォルトになっている。PL1=125W設定で検証した理由については前回述べたが、そのひとつにPL1=無制限の設定では逆に性能が落ちる場合もあった、というものがある。

 では、PL1の設定の違いで性能に差は生まれるのか否かを改めて検証してみたい。第10世代CoreプロセッサーのPL1設定をインテル定格の125Wと無制限(BIOSでの表記上は4095W)にしていくつかベンチマークを回してみた。

「CINEBENCH R20」のスコアー。PL1=125Wと無制限の比較

 上のグラフはCINEBENCH R20のスコアー比較だが、PL1=無制限にするとマルチスレッドテストのスコアーはわずかに上昇する程度で、シングルスレッドテストのスコアーは逆に下がっている。検証時に使用したASUS製マザーボード「ROG MAXIMUS XII EXTREME」のBIOS 0508の熟成度が足りずにスコアーが下がっている可能性も捨てきれないが、PL1を無制限にしたところで、今回の検証環境では効果はないように見える。そして、これがPL1=125W設定のテストをメインのデータとして扱うことになった根拠となる。

「PCMark10」Standardテストのスコアー。PL1=125Wと無制限の比較

 CINEBENCH R20とは対象的に、PCMark 10ではPL1=無制限設定にするとCore i9-10900KとCore i7-10700Kの総合スコアーが上昇した。テストグループ別に眺めてみると、どのテストグループも一様にスコアーが目に見えて伸びている。PL1設定によって特定の処理が高速化するのではなく、シンプルにクロックがよりブーストするようになってスコアー上昇にがつなったと考えられる。

「blender」のレンダリング時間。PL1=125Wと無制限の比較

 blenderのレンダリングベンチマークでは、PL1=無制限にしたほうが処理時間が短くなった。ただし劇的に短くなるわけではなく、Core i9-10900Kで約1分14秒、Core i7-10700Kで約35秒、Core i5-10600Kだと約16秒とコア数が少なくなるにつれ差も小さくなっていった。コア数が多く消費電力も発熱も多いCPUのほうがPL1を制限することによる性能的なデメリットが大きいのはごく自然な話である。しかし、その差はさほど大きくないと言えるだろう。

「Media Encoder 2020」のエンコード時間。PL1=125Wと無制限の比較

 続いては「Media Encoder 2020」によるエンコード時間の比較だが、計算負荷が比較的低いH.264ではPL1=無制限にしたところで10秒も短縮しなかったが、計算負荷の高いH.265ではblenderと同様、上位CPUほどPL1=無制限にした時の性能向上が大きかった。ただし、短縮された時間はせいぜい1分程度と小さく、blenderと傾向は同じだ。

「MONSTER HUNTER WORLD: ICEBORNE」DirectX 12、1920×1080ドット時のフレームレート。PL1=125Wと無制限の比較

 MONSTER HUNTER WORLD: ICEBORNEのフレームレートはDirectX 12のみで計測したが、ゲームでもPL1=無制限は効果があることがわかる。しかし、Core i5-10600Kに関してはほとんど差を認められない。blenderやMedia Encoder 2020では差が出ていたので、ゲームではベンチマークの誤差などに埋もれてしまうほど微妙な差になっていると考えられる。

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