週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

聴覚AIがオーディオを変える、3D処理でスゴい音が聞ける「KISSonix HDS4」

2020年03月18日 17時30分更新

 オーディオの世界では、極力シンプルに回路を構成するほうがいいという考え方もあれば、デジタル処理を最大限に活用し、聞こえ方を調整したほうがいいという考え方もある。Hi-Fiオーディオの世界では、前者がいまだに主流派だが、後者についても少しずつ浸透し始めている。

 ソースに含まれた音をなるべくストレートに出力した方がいいのか、それともある程度の補正を加えた方がいいかは、最終的な出音がいいかで判断すべきとは思う。ここで言いたいのは、オーディオ再生において、デジタル補正は悪ではないという点だ。

25年以上培った、3Dサウンドの技術をスピーカーに

 ここで紹介する「KISSonix HDS4」は、独自開発した、3Dサウンドのエンコーディング技術を取り入れた小型のアンプ内蔵スピーカーだ。

 開発元はキスソニックス。読者の多くは初めて耳にするブランドだと思う。代表の伊藤カズユキ氏は作曲家で、1980年代後半から30年以上にわたって、3D音響の制作に携わってきた人物だ。過去には、プロユースレコーディング機器の製品開発アドバイザーなども務め、その傍らで25年と長い時間をかけて、独自の3Dエンコーディング技術に磨きをかけてきた。

FPGAに独自でプログラミングを組み、リアルタイム処理

 コンシューマー向けの機器をリリースするのは初めてだが、独自開発のシステムを使った3D音響の制作、3Dサウンドの実演について実績を持っている。3Dエンコード技術である「KISSonix HDFX」は、商業施設や大規模イベントでの音響支援、あるいはCDやBlu-ray Discなどに収録する音響制作などで用いられている。

 いくつかピックアップすると、渋谷ヒカリエの「ShinQs スイッチルーム」、エイベックス・エンタテインメントが手掛けるイベントで、花火と音楽が連動する「スターアイランド」、岩井俊二監督の『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』(1993年にドラマ放映、2017年にBlu-ray Disc化)のサウンドトラック制作(2ch、KISSonix 3D版)などがある。

 これらを実現するシステムは、ハードもソフトも自前。KISSonix HDS4では、もともと1Uサイズのラックマウントに収められていたこのシステムを、ブックシェルフスピーカーに収まるサイズに小型化。DACやアンプを含めて、5段に組んだモジュールを使い、筐体内に設置している。

 3Dエンコーダーのエンジン部には、プログラミング可能なFPGAが用いられている。もともと自身でプログラミングした独自アルゴリズムに沿って、リアルタイムに音楽データを処理していく。3Dエンコーダーの出力は、一般的なDACやアンプなどで受けられるフォーマットだ。

 3Dサウンドの効果を楽しむために、特殊な機器を用意したり、複雑な設定をしたりする必要がない。この手軽さもウリだ。

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう