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聴覚AIがオーディオを変える、3D処理でスゴい音が聞ける「KISSonix HDS4」

2020年03月18日 17時30分更新

直接音が浮き立つ、ノウハウについては秘密

 キスソニックスの3Dエンコーダーはブラックボックス化されており、技術の詳細は秘密だ。伊藤氏は「(2chの音源の中から)空間に関係する成分を抽出し、立体的な音響に処理する」という説明をしている。

 左右ある人間の耳は、右側で鳴った音を右の耳だけで聞くのではなく、左の耳でも回り込んだ音を少し遅れて聴いている。この関係性を前提に、左右のチャンネルに入っている音の信号を比較すれば、音が発せられた場所の把握ができたり、直接音の成分と周囲に反射して鳴っている成分を区別できたりする。

 この情報をもとに、ボーカルや楽器が発する直接音を、間接音の響きと分離。さらに5.1chの空間上の適切な位置に配置しなおすことで、2chの音を立体的なものにできるという。

 キスソニックスでは“聴覚AI”という言葉を使っているが、伊藤氏によると「左右の耳がとらえた音を脳が変換し、空間情報にする」のと同じ仕組みを、ステレオスピーカーの再生に取り入れたものだという。

 本来は脳が担当する変換処理をあらかじめ適用した状態で音楽を再生するため、左右の音から空間を再現する脳の負担も軽減できる。また、音のディティールが明瞭となり、空間もより広く感じるため、実際に出している音量よりも、大きな音が鳴っているように感じる効果もあるそうだ。

 伊藤氏は「(手前味噌ながら)普通のスピーカーで音を止めると、ホッとする。KISSonix HDS4で音を止めると寂しくなる」とコメント。確かに、霧が晴れたようにクッキリとしたサウンドを聴いた後には、頭のもやが晴れて清々しい気分になるし、頭がスッキリし、感覚が研ぎ澄まされたような気分にもなる。

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