5月に入ってエイベックス系の『AWA』や『LINE MUSIC』という新しい音楽配信サービスの名前が上がってきましたね。
ユーザーに音楽好きな人も多いだろうXperiaシリーズユーザーにはミュージック・アンリミテッドがサービス終了したのは少々ショックでしたが、取り巻く状況的にはむしろフレンドリーな時代に突入するかもしれない2015年。
そんなタイミングで中国のアップルこと、シャオミの猛烈コスパの高い格安イヤホンの新型『Piston3』が手元に届きました。
個性的な高音質さを発揮したPiston2を上回るのか?Xperia Z3とのマッチングは?ざっと評価していきましょう。
●特殊な高音質振動板素材は材質変更された……らしい
Piston2では、"振動板に高級オーディオに採用されるベリリウムが使われている"といわれており、そのサウンドもなかなか個性的なもの。婉曲に書いたのは、現時点では(おそらく)公式にはうたっていないからです。ただし、Head-Fiなどのヘッドフォンマニア系サイトではベリリウムである、という前提で評価がされています。ちなみに、Piston3は中国国内では今年3月に発売しているものです。
ではさっそく。
今回はGeekBuying.comという通販サイトを使用。例によって、中国海外通販は偽物をつかまされる可能性があるので、このサイトが安全かどうかは週刊アスキーも僕も、保証はしませんので念のため。
価格はシッピングコスト込みで15.99ドル(=日本円換算1994円/ペイパル手数料含む)。なんと価格はPiston2より600円ほど安くなってしまいました。チャイナパワーおそるべし。大丈夫なんだろうか?
いつものごとく、怪しい中国からの国際郵便。 |
いきなり壊れてない?というツッコミは中国通販にはヤボです。角が凹んでるとか、破れてるとかは当たり前。箱はあくまで製品を保護する包装に過ぎない。 |
ということで、パッケージを開封して、保護用の半透明のビニール包装を解くと、見慣れたケースが登場。
ジュエリー風の、質感高いケース。この状態でブリスターケースなんかに入って量販店店頭に並んでると仮定したら、「お、高そう」というムードは出ます。本当は本体わずか15.99ドルですけどね。 |
パッケージの構造はPiston2に非常に似ています。海外通販で20ドルしないモノと考えると、かなりの過剰包装感。中国では高級ラインという扱いなので、包装にも気を配っているということでしょう。
二重底になっていて、底面にはサイズ違いのイヤーチップが入っています。この辺もPiston2と同じ構造ですね。 |
写真を見てわかるように、この時点で質感はPiston2同様、安っぽさがないことはわかります。
ただし、本体の素材はPiston2のヘアライン仕上げのアルミ素材から、樹脂とアルミを組み合わせた素材に変わっています。
コストカットなのかデザインコンセプト変更なのかはわかりませんが、だからといって安っぽくなった感はありません(ちなみに2015年のレッドドットデザインアワードを受賞してます)。
ケーブル部分は、リモコン部以降〜ミニピンまでの大部分はPiston2同様の編み上げ皮膜なので、絡みにくく高級感もあります。
左右を並べたところ。装着時に他人から見える部分は金属(おそらくアルミ)素材。耳に触れる部分は樹脂素材。 |
Piston2(左)との比較。Piston2は左右対称デザインだったため、装着時の左右確認が面倒でした。Piston3は左右非対称になったため迷いなく装着できます。ここ、何気に毎回確認するのはストレスなのでありがたい。 |
どっちが良い、とうほどの違いはありませんが、メタリック風味が好きな人はPiston2の方が好みという人はいるでしょうね。 |
●Piston3はPiston2を上回るか? 音質は結構違う
まずPiston3単体で試聴。使った楽曲は前回同様。再生環境も前回記事と同じく、スマホ再生はハイレゾ出力対応の『Xperia Z3』、PCのハイレゾ再生はMac+KORG DS-DAC-10+東京サウンド ValveXです。
Piston3では振動板の素材が変更され、シャオミ曰く"エアロスペースグレード"の素材をPETでサンドイッチするという複合構造の振動板を採用しています。
公式サイトにあるダイヤフラム構造の説明。"Aerospace-grade metal"って何でしょうね。チタン? |
【Xperia Z3+Piston3の場合】
主観評価 ★★★★☆
Xperia Z3でClearAudio+をオフにして、まずはノラ・ジョーンズの『Don't Know Why』から。一発目の最初の出音からして、2000円台の格安というような音でなく、音の分離が良く空間がしっかりと感じられます。高域から中低域まで割合とバランスが良く振ってあり、大きな癖は感じません。
この楽曲は、ところどころボーカルのアタックが強い箇所がありますが、そのパートでも音が飽和するようなこともなし。
Piston2と抜き差ししつつ比較するとセッティングの違いがよくわかります。Piston2はいわゆる高域カリカリ系なので、解像感はPiston3よりシャープ。ただし、数日間のバーンインを経たとしても傾向はあまり変わらず、楽曲によってはいわゆる”耳に刺さる”ような高域特性になっています。
一方Piston3は、高域に個性をもったPiston2の音づくりを、よりフラット方向にセッティングを変えています。出音の角が丸く、高域のボーカルのサ行が刺さるようなこともなくなっているので、一般的には”良いチューニング”になっているかと。
【PCハイレゾ+Piston3の場合】
主観評価★★★☆☆
DS-DAC-10は入門価格帯に属するハイレゾアンプで、かつ音の厚みはやや薄め。そこを、真空管アンプ(東京サウンド ValveX)で補間するというシステムです。中低域が出やすくなっているので、Xperia Z3の再生時に比べると両者の中低域の差はだいぶ縮まりました。
とはいえ、高域特性の違いはやはりこちらの再生環境でも生きていて、音楽のスイング感、音楽としてのまとまりの点で、よりオールマイティーなのはPiston3。音の耳あたりが柔らかなので聴き疲れもしにくいセッティングですね。
Piston2の高域の個性は、個人的には気に入ってます。ただ、高域よりのセッティングのため音の厚みがやや薄く感じられるのも事実。「とりあえず最初の1本を買いたい」ということなら、個性は薄れるものの迷わずPiston3をオススメします。
すでに1万円級のイヤホンを何本か持っていて、気分によって使い分けるという人は、Piston2の個性が楽しめます。
同じシリーズとはいえ、Piston2とPiston3ではキャラクターが全然違うので、カブりはありません。という意味では、この価格だから2本とも買って聴き比べするというのも面白いですね。まとめ買いしたとしても、恐ろしいことに5000円でお釣りが来るわけですから。
●関連サイト
Xiaomi Piston3製品ページ(英語)
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1,944円
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44,555円
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