週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

たった2600円の高音質イヤホン『Xiaomi Piston 2』をXperia Z3で使ってみた

2015年05月04日 18時00分更新

 日本ではマイナーだけど世界が注目する中国のスマホメーカー、Xiaomi(シャオミ)。同社が中国で販売している高音質イヤホン『Piston2』を海外直輸入で買ってみた。
 価格でいえば、海外通販サイトでは20ドルしない程度。日本のコスト感覚からすればいわゆる格安イヤホンだ。なのに、ユニットの振動板素材に、オーディオ用の素材として希少なベリリウム振動板を採用している。

たった2600円の高音質イヤホン『Xiaomi Piston 2』をXperia Z3で使ってみた

 ベリリウムは往年のモニタースピーカー『NS-1000M』(ヤマハ)などにも採用されているもの。素材の良さを認める人は多いものの、近年は採用が減っている。一説には製造に危険性が伴う(早い話が粉末状態の毒性が強い)ためだとか。ベリリウム使用のツイーター自体は現在も高値で取引されていて、20万円くらいしたりする(素材がベリリウムだからこの価格、というわけでもないのでしょうが)。

 当然、僕なんかよりめざといオーディオファンはとっくに目をつけていて、海外のレビューサイトHead−Fiなんかでも結構音が良いと話題になっている。

 国内では正規販売されていないので、入手は並行輸入業者から購入するか、偽物リスクを承知のうえで個人輸入で買うということになる。前者の場合、6000円前後。後者の場合(今回買ったのはこっち)なら、郵便の追跡オプションもつけて21.29ドルだった。PayPal支払い総額は2655円。やっぱり安い。
 注文から到着までは約7日間。結構早い方ですね。届いた商品がこちら。

たった2000円の高音質イヤホン『Piston2』
中国から届いた怪しげな国際郵便(住所などはレタッチ済み)
たった2000円の高音質イヤホン『Piston2』
パッケージは化粧品くらいの大きさ。ただのイヤホンのケースにしては重めで大きめ。
たった2000円の高音質イヤホン『Piston2』
包装を解いたケースの外観。ケースは二重底になっていて、底部に3種類のイヤーパッドも入っている。

 パッケージは非常に綺麗で、外観にもおもてなし感がある。
 XiaomiのJun Lei CEOは熱心なスティーブ・ジョブズフォロワーとしても知られていて、アップル的なこだわりをもたせているのかもしれない。

たった2000円の高音質イヤホン『Piston2』
購入したのはシルバーモデル。質感はなかなか高い。ケーブルの中ほどには正規品を判別するQRコード付き。スキャンして、正規品であることは確認済み。

 さて、パッケージはこんなところで聴いてみた感想を。
 再生にはまず、ハイレゾ出力に対応しているXperia Z3を使った。使った楽曲は、DaftPunkの『Random Access Memories』、STARTREK INTO DARKNESSのサウンドトラック、定番のノラ・ジョーンズ『Come Away with Me』。

 初っ端なので音はまだ結構カタい感触が強いけれど、確かに2000円そこそこのイヤホンとは思えないキレの良さがある。特に女性ボーカル曲の高域の明瞭さに特徴アリ。ドンシャリまではいかないながら、中低域も割とボリューミーなのでポップミュージックには合いそう。少なくとも、ポータブルな音楽再生環境なら十分以上の音質だ。遮音性も悪くない。

 もう少し限界を探りたかったので自宅のハイレゾ再生環境でも再生してみた。
 こちらでは基本的にUltimate Earsのリファレンスモニターを使っているので、10万円級カスタムIEMとの音の違いというのを比べる意味もある。
 ポータブルのXperia Z3との比較では、ハイレゾDAC(KORG DS−DAC−10)+真空管アンプ(東京サウンド ValveX)の環境で、出音の違いがちゃんとある。真空管アンプならではの音の柔らかさのおかげで、声に艶やかさが出る。なかなかやりますな。

 一方で、UEリファレンスモニターとの比較だと、声の厚みというか奥行きが少し薄っぺらい。また、ノラ・ジョーンズの『Don't Know Why Come Away with Me』では、ボーカルのアタックが強い部分で音が飽和したようになって、微妙な音割れを感じる。
 これはUEリファレンスモニターでは発生しないので、手元の個体の問題か、Piston2の音響特性に起因する点が大きい気がする。念のため書いておくと、そういう症状が起こる楽曲は、手持ちの中では他にはなかったから、大半の人は問題は感じないはず。

 さて、お買い得度は?
 これまで所有していたいくつかの入門イヤホンと比べると、音楽の表現力や心地良さだと数倍の価値はありそう。価格を知らずに素で聴いたとして、2600円だとはとても思わない。1万円級の価値はありそうな感触。
 Xperiaと組み合わせて使うならソニーのカナル型イヤホン『XBA-Z5』のような高級品もありだし、ノイズキャンセル機能が使える純正イヤホンもある。そういった選択肢のひとつとして、Piston2は買っておいて損はなさそう。2000円少々なら消耗品と考えても十分ですからね。
 偽物をつかまされるリスクはあるけれど、トライする価値はありますよ、これは。

●関連サイト
Xiaomi Piston v2製品ページ(英語)

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう