4月4日、奈良県・薬師寺で行なわれた将棋電王戦FINALの第4局・村山慈明七段 vs. ponanzaは97手まででponanzaが勝利した。
第4局はponanzaの先手で始まった。いきなり初手が▲7八金と意外な手だったがponznza的には珍しい手ではないようだ。なので村山七段はそんなに驚いた素振りも見せず、冷静に△3四歩と応じた。序盤はponanzaのほうが考えながら指して行く展開だったが、昼食休憩時には両者とも約1時間を使い27手まで進んだ。
午後に入り、29手目の▲8三角打ちから馬をつくられponanzaが有利に進む。ponanzaは、中盤ノータイムで指すことが多く、村山七段が徐々に持ち時間を消費、17時の時点で残り時間はponanzaが2時間31分、村山七段が1時間45分、評価値は村山七段の-616。61手目▲4五歩に対し△同桂で勝負に出たか。▲同桂とし夕食休憩に入る。
休憩後、村山七段が攻めるも評価値的にはズルズルとponanza有利へと大きく傾き、残り時間も20時半の時点でponanzaが1時間10分、村山七段が7分弱。評価値はponanzaの2600だ。
そして20時46分、97手まででponanzaが勝利した。これでコンピューター側の2勝2敗となり、最終の第5局で団体戦の勝者が決まる。
■対局直後の話
ponanza開発者・山本一成氏「相横歩取りになりましたが、事前の研究で村山七段が相横歩取りをやっていたので、有力な戦法なのかなと思っていました。たくさん分岐があって研究されていたと思いますが、19手目の△7六飛車に対して▲7七桂と▲7七銀と▲7七歩があり、あまりメジャーではない▲7七歩を指したと思います。そこから△7四飛車に▲3六飛車と引いたことで、ここで研究から大きく外れたのかなと思いました。また長い展開になるかなと思いラッキーだとも思いました。その後▲5六飛車から▲8六飛車と途中下車したときは本局で一番不安でした。手損しているだけに見えたので。コンピューターはこういう手をよくやるので、まずいかなと思いましたが、ただ△4二銀と上がってことで、飛車交換が弱くなったんでしょうか。△4二銀が強く行くぞと主張しているんだと思います。なので▲8六飛車に対して△8二歩と打てずに△8四歩と打ったことで、▲8三角と打てて馬がつくれ、村山七段が手得する展開になり、簡単には負けないし、この序盤の流れは悪くないんじゃないかと思いました。相横歩取りは激しい展開もあり、まったく力を出さずに負けることもあったので、今回は嬉しい展開でした。勝てたことは嬉しいですし、タイになって盛り上がる展開になったことも嬉しいですね。両者勝ち越しをかけて最終戦に持ち込めるのは初めてなので」
村山慈明七段「相横歩取りは用意した作戦。△7六飛車の局面で▲7七歩か▲7七銀かで▲7七歩となり、激しくなるかなと思いました。△7四飛車と引いたとき、▲同飛車と取って激しい展開になっていたので。だけど▲3六飛車と引いてしまったので持久戦になり、あまり研究していない形になってしまった。2勝1敗で回ってきて、人間側が勝ち越せるいい条件でしたが、いい将棋ができずに残念です」
最終戦は4月11日、東京将棋会館で阿久津主税八段 vs. AWAKEが対局する。
※4月5日12:00 初手の表記が間違えており、修正いたしました。
■関連サイト
将棋電王戦FINAL公式サイト
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