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Windows 10スマホやモトローラ製品が登場? ついに日本上陸するレノボ製スマホの魅力

2015年03月30日 07時30分更新

 レノボは3月26日に日本市場でのスマホの販売を明言した。2014年にモトローラを買収したレノボは世界のスマホシェアでサムスン、アップルに次ぐ世界3位という巨大メーカーだ(ガートナー調べ、2014年)。果たして日本にはどんな製品が投入されるのだろう?

レノボ
↑スマホの日本上陸を決めたレノボ。

 レノボのスマホの強みは、豊富なラインアップをそろえていることだ。ハイエンド・フラグシップの“VIBE”を筆頭に、デザインに注力した製品やミドルレンジモデル、そして低価格なエントリー品までバリエーションは多岐にわたる。また、レノボの母国中国ではオンライン販売に特化した低価格・ハイコストパフォーマンスなモデルも出しており、製品数は数十機種にもおよんでいる。

 2015年3月にバルセロナで開催されたMWC 2015では1600万画素のカメラを搭載した『VIBE Shot』を発表。光学手ブレ補正や赤外線を使ったオートフォーカスなど本格的なカメラを搭載している。しかも、金属素材を多用したボディーは質感が高く、背面側は高級なコンパクトデジタルカメラのようなルックスだ。チップセットこそ『Snapdragon 615』と他社のフラグシップモデルに劣るものの、予定価格は349ドル(約4万2000円)と低めに抑えられてる。

レノボ
↑本格的なカメラを搭載、デザインもプレミアムなVIBE Shot。

 レノボは数年前から中国を中心に低価格モデルで販売シェアを高めていった。高速CPUや高画質カメラ搭載モデルも増えていたが、先進国市場で戦えるプレミアムな製品に欠けていた。アップルやサムスンの上位モデルのような“所有する喜び”を与える製品がほぼんど無かったのだ。

 しかし、2013年に発表した『K900』で同社のイメージは一変する。K900はボディーをステンレス素材とし6.9ミリと極薄サイズを実現したスタイリッシュなモデル。それまでどちらかといえば“大衆向け製品”ばかりを出していたレノボのイメージをこのK900は大きく変えたのだ。

レノボ
↑2013年登場のK900はレノボのイメージを一変させた。

 K900はその後“VIBE”シリーズに製品フィロソフィーが引き継がれ、高スペック高デザインモデルとして同社の顔となっていく。なお市場での同社のスマホの売れ筋はより価格の低いモデルではあるが、“いつかはVIBEが欲しい”と思わせる製品を自社ラインアップの最上位に位置させたことで、ブランド力向上に成功し消費者をより惹きつけるようになっていったのだ。

レノボ
↑側面から見ると3層3色構造になっているVIBE X2。

 だが、フラッグシップモデルの存在だけではレノボの世界シェア3位を説明することは難しい。レノボがスマホを販売する中国やアジア各国でも、所得の高い層や若者たちのあこがれの製品はやはりiPhoneやGALAXY Noteだ。レノボのVIBEシリーズも善戦しているが、販売数を稼いでいるのはミッドレンジやエントリーレベルなどお手頃価格の製品の存在が大きい。しかし、それらのモデルは決して“安物”ではなく、もはや日常的に使う分には十分すぎるほどのスペックを備えている。

 それらの中でも中国でオンライン販売に特化している“黄金斗士(ゴールド・ファイター)”シリーズは低価格品とは思えないほどの高い性能を誇っている。2014年11月に販売開始後ベストセラーになった『黄金斗士 Note 8』はその名前の通り6インチのファブレット製品で、LTEはデュアルモード対応(FDD-LTE、TD-LTE)、カメラは1300万画素でフロントにも500万画素を搭載する。ディスプレーこそHD(1280x720ドット)解像度とワンランク下ものを搭載するが、価格は998元(約1万9120円)と2万円を切る。このまま日本でMVNO向けに出しても十分売れる価格とスペックだろう。

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↑黄金斗士 Note 8はコストパフォーマンスがとても高いモデル。

 この低価格ファブレットのライバルはiPhone 6 PlusでもGALAXY Noteシリーズでもなく、最近話題の中国の新興メーカーシャオミ(Xiaomi)の低価格ノート『紅米 Note』だ。中国では今や2万円以下の高スペックスマホが各社から出てきており、レノボも積極的に低価格モデルの開発を進めている。2014年12月にはそのシャオミの低価格モデルよりも格安な599元(約1万1000円)と、1万円そこそこで買えるLTEスマホ『K3』を発売した。ディスプレーは5インチ、カメラは800万画素と価格を考えれば十分すぎるスペックを搭載している。

レノボ
↑レモンをイメージした1万円スマホ『K3』。

 K3は前述したプレミアムモデルのK900と同じ“Kシリーズ”に属する製品であるものの、そのコンセプトは全く異なる別ラインのモデルだ。K3には“楽檬”の中国語の愛称もつけられているが、これは英語の“レモン”の発音をそのまま中国語に当てはめたもの(“檸”の字は中国語でレモンの意味)。初期モデルのボディーカラーは黄色でまさしくレモンをイメージしている。シャオミの低価格モデルは“所詮は安い製品”という外見から抜け切れていないが、K3はそれよりも安く、しかもオシャレな見た目で、しかも信頼できる大手メーカーのレノボから登場ということで大きな注目を集めた。2015年3月には画面サイズを5.5インチ、カメラを1300万画素、そしてAndroid 5.0を搭載した『K3 Note』も発表している。

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↑レノボらしからぬパステルピンクの『S60』は、10〜20代の女性をターゲット。

 レモンK3のように、レノボは実はちょっとおしゃれな製品も出しているのだ。そのおしゃれラインは別途“S”シリーズとして多数のモデル展開をしている。レノボと言うとPCメーカーと言う印象が高いだろうが、中国やアジアではスマホメーカーとしても広く知られており、女性を意識した製品も多数展開している。スペックや価格だけがレノボの売りではなく、デザイン面もなかなか侮れない製品を出しているのだ。

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↑モトローラの日本再上陸もあるか。

 ところで、レノボは2014年にGoogleからモトローラ・モビリティー(以下、モトローラ)の買収を完了した。IBMからPC部門を買収しThinkPadとのダブルブランドでPC世界1位になった同社の過去を振り返れば、レノボブランドのスマホとモトローラブランドのスマホが今後同じ販路で販売される可能性は高い。日本でNexus 6を除いてモトローラブランドのスマホが発売されたのは2012年が最後になるが、日本再上陸も十分期待できるかもしれない。

 さて、日本でのレノボのスマートフォンの販路はどうなるのだろうか? 恐らくPCを扱っている家電量販店やMVNOから始まることになるだろう。PCメーカーの大手キャリアを経由しないスマホの販売はすでにASUSのZenFoneの実例があり、レノボとしてもそれと同じ手法で端末を販売していくと思われる。一方、大手キャリアからの販売は企業向けとして最初に展開されるかもしれない。いずれにせよWindowsやAndroidのPC、タブレットとレノボのスマホ(もしかすると、モトローラのスマホも)が量販店の同じコーナーに並んで売られる光景が、今年の年末には当たり前のものになっているのだろう。

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↑Windows 10スマホ発売の可能性も大。

 そして、PCメーカーでもあるレノボは、Android以外のスマホの投入も視野に入れているに違いない。2015年夏にはマイクロソフトの新OS『Windows 10』が発表される。レノボからも同OS搭載のノートPCやタブレットが発売されるのは当然だろうが、Windows 10搭載のスマホもいずれ市場に投入することは間違いないはずだ。Windows 10ではPCとスマホの開発環境とアプリストアが完全に統合される。両者の差は大雑把に言ってしまえば“画面サイズの差”だけとなる。企業向けのPCアプリがそのままWindows 10スマホでも動作するとなれば、企業でのスマートフォンをAndoridやiPhoneからWindows 10に切り替える動きは今後必ず起きる。

 レノボの日本市場のスマホ参入は、昨今のSIMフリー市場やMVNOの活況だけが背景なのではなく、Windows 10登場後のスマホ市場の大きな変化も予測しているからだろう。レノボが現在海外で販売している製品ラインアップは日本市場へ投入できる品質のものも多数あり、日本での製品発売は準備が整えばいつでもGoサインが出せる状況と言える。PC界の巨人、レノボのスマホの日本上陸は大いに期待できそうだ。

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