終始互角の戦いを続けてきたが、最後に持ち時間がなくなりリベンジならず
将棋電王戦リベンジ、菅井五段vs習甦の戦いは、20日朝の8時30分ごろ、144手までで習甦が勝利を収めた。振り飛車党として知られる菅井五段は、それを封じて居飛車での戦いに。序盤は意外とさくさくと進み1時間で40手ほどまで指された。その後は、ある程度考えながらの進行で、最初の夕食休憩で56手だった。
入室が対局開始の45分前!そうとう気合が入った表情で、前回よりも言葉少なだった。 |
電王手くんは、前回と同じと効いていたが、最初のコマを並べる際は、カメラで撮影しての補正作業をカット。素早く並べていた。 |
今回は将棋会館の地下で行なわれ、開発者の竹内氏もいない状態での対局。完全にロボット相手に指している感じだ。 |
竹内氏は、別室の記者室に登場。コンピュータ将棋協会の瀧澤会長といっしょにいた。 |
最新の習甦で対局を検討。マシンスペックの差もあり、読みが違う場面が多かった。 |
最も長考したのが74手目に△1二玉と指したところ。夜食休憩明けの23時過ぎで、そこから2時間23分後の1時24分に▲9六歩と指したが、結構この長考が後々の持ち時間を足りなくしてしまったと思う。その後も慎重に指していき、3時からの早朝休憩もそのまま盤面に向かっていた菅井五段。評価値は習甦が+300前後行く場面もあったが、休憩後の時点で習甦の+50台。ほぼ互角だった。
そして6時30分ぐらいの109手目▲3三馬で評価値が逆転。しかし、その後の113手目▲3二飛成りで評価値を一気に落としてしまった。終局後の検討でも、この手について語っていただけに、本人もあまり良くないとわかっていたのだろう。
朝7時の朝食休憩終了後、8時から再開したが、持ち時間を使い切り1手60秒で頑張ったが、8時半ごろ菅井五段が投了した。
投了のときの盤面。あと一息だったのだが、駒が足りなかった。 |
終局後のインタビュー
――今回の率直な感想は。
菅井五段 指せそうなところもあったけど、わからなかったです。悔しいじゃ意味が無いので、今後にどう生かせるかかと。
――持ち時間各8時間で未知の勝負でしたがいかがでしたか?
菅井五段 自分のような下のクラスのものが経験できる条件ではないので、すごいいい経験になったと思いますが、今後どう活かすかだと思います。
――どんなところが苦しかったか
菅井五段 結果が悔しいというより、勝負どころでしっかり読めなかったので、最善を尽くせばもっといい勝負ができたのにと思いますね。
――いちばん悔やまれたのは?
菅井五段 よくわからなかったんですが、ずっといい勝負だとは思っていたのですが、▲3四銀(111手目)と出たあたりは手応えがあったと思うのですが、3二飛車成りから寄りに行ったのが、寄るかどうかもわからなかったのですが、行かないと駒貼られるのが嫌だったので、焦ってしまいましたね。
――リベンジマッチも敗れて、連敗になってしまったがこの結果はどう受け止めていますか?
菅井五段 勝負どころで差を付けられてしまうので、自分の弱いところがよくわかった。
――▲7一角(63手目)から▲5二銀と打ったのはいつから想定していたのか。
菅井五段 △4九角と打たれたら本譜の流れから、▲5三銀では攻めあい負けてしまう。▲5二銀でもその瞬間はぬるいので、攻めとしては遅いのでそんなに自信はなかってのですが。前回の電王戦では攻め合う姿勢が示せなかったので、その姿勢だけでも見せないと思ったが、結果がともわないとダメですね。
――序盤のほうで1歩を損して銀を交換しましたが、予定通りなのか。
菅井五段 1局だけやったことがあるのですが、△2四歩(36手目)同角や同銀というのも有力な候補だったのですが、まだはっきりと決めてはいなかったので、せっかくなので積極的にと思ってやりました。
――今日は居飛車で行こうと思ったのは事前から考えていたことなのか。
菅井五段 そうですね、矢倉とか△3四歩か△8四歩で変わりますが、△3四歩でも居飛車で行こうと思っていました。
――菅井五段というと振り飛車のイメージがありますが、最近は居飛車もやられていますが。
菅井五段 振り飛車のプロを目指しているわけではないので、オールラウンダーで色々できるのがプロだと思っています。
――リベンジマッチが決まってからどのような対策をしましたか?
菅井五段 前回は習甦の手を調べて、それを研究という形だったのですが、それではあまり身にならなかったし、まぁ結果が出てないのでこう言ってもしかたないのですが、習甦の手で習甦に勝ってもしかたがないので。今日は内容的には良かったのですが、結果が全てですので。これではいけないなと今は思っています。
トータル50万人弱の人が見ていたこの戦い。電王戦の人気が伺える。 |
残念ながら負けてしまった菅井五段。しかし、前回の負けたあとよりも、清々しいように見えた。まして、19時間半にも及ぶ戦いを終えたというのに、意外と元気そうで、ひとつのことに集中してやっていると、疲れも忘れてしまうのかと思うほど。人間ってスゴイな感じた瞬間だった。
電王戦で、プロ棋士がまだ接戦で勝ったことはない。今回の対局がもしかしたら、と終盤まで思わせる戦いっぷりだっただけに、負けてしまったとはいえ、菅井五段もある程度納得できる戦いだったのではないかと思う。
長い時間お疲れ様でした。今後の菅井五段の活躍を期待します!!
戦いの模様は将棋電王戦リベンジマッチ激闘23時間(http://live.nicovideo.jp/watch/lv183322528)にて、タイムシフト視聴(有料会員のみ)できる。
●関連サイト
将棋電王戦リベンジマッチ激闘23時間
日本将棋連盟
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