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日本MSが経営方針説明会を開催「ものすごく良かった、最高の年」

2014年07月02日 19時30分更新

 日本マイクロソフトは7月2日、品川本社で記者会見を開催し、2015会計年度(2014年7月~2015年6月期)の経営方針について説明を行ないました。

 毎年7月に新しい会計年度を迎えるマイクロソフトでは、2015会計年度が始まったばかり。会見に登壇した日本マイクロソフト 代表執行役 社長の樋口泰行氏は、2014年度(2013年7月~2014年6月期)を振り返り、「ものすごく良かった、最高の年」と総括します。

日本マイクロソフト経営方針説明会2014
↑日本マイクロソフト 代表執行役 社長の樋口泰行氏。業績好調のためか、プレゼンテーションにも余裕がみられた。
日本マイクロソフト経営方針説明会2014
↑2014年度は、日本マイクロソフトとして過去最高の売り上げを達成したという。

 その要因として樋口氏は、「アベノミクスによる景気回復や、Windows XPのサポート終了という追い風もあったが、日本マイクロソフトという社名で日本に根付くビジネスをやってきた結果、お客様の信頼をいただけるようになった。その証が数字に現れたのではないか」と分析します。

日本マイクロソフト経営方針説明会2014
↑2014年度の振り返り。日本マイクロソフトという会社自体も、働きがいのある会社ランキング1位に選ばれ、政府や官公庁からの視察が絶えないという。

 その背景には、ICTを利活用することで日本全体に「競争力を取り戻したい」という機運があるとし、今の日本は「グローバルで標準となっているツールを使いつつ、働いた時間ではなく働いた結果として何を生み出せるかを重視する傾向にある。ダイバーシティやBCP(災害時などの事業継続)という考え方も浸透し、情報投資が活発になっている」(樋口氏)との見方を披露しました。

 また、Windowsタブレットのシェアについては、「SurfaceとOEMメーカーの合算の数字で、2014年1月~3月には30.5%に達した。今年度内には過半数のシェアを取りたい」(樋口氏)と宣言。Microsoft Azureは「日本にデータセンターを設置してから、お客様が殺到している。キャパシティも随時拡張している」(同)と説明しました。

■米国ではサティア・ナデラ氏による改革が進行中

 米マイクロソフトのCEO、サティア・ナデラ氏の人となりについては、「インドからの移民ということもあり、アメリカ中心という考え方もなく、異文化理解に長けている」(樋口氏)と紹介。

日本マイクロソフト経営方針説明会2014
↑新CEOについて樋口氏は「アクセシブルで、話しかけやすい人物」と印象を挙げる。

 CEOが変わったあとの社内での変化として、“モバイルファースト・クラウドファースト”というスローガンに加え、“ユーセージ”を重視する方向を打ち出しているとのこと。ユーセージの意味については「簡単に言えば、使ってもらってなんぼ、という話。Windows、Officeは大きなシェアがあり、機能を追加すれば簡単に売れるという状況にある。ただ、売るだけでなく、実際に使ってもらえるようにしないといけない。そういう指示が研究・開発部門に下されている」(樋口氏)と説明します。

 Office for iPadに代表されるクロスプラットフォームについても、「これまでは何でもWindows、Windows、Windowsとやってきたが、競合相手の足場が広がっているのなら、そこでOfficeも使っていただこう、という考え方。前任の2人のCEO(ビル・ゲイツ氏とスティーブ・バルマー氏)にとって、WindowsやOfficeは自分の子供みたいなもの。なかなか決断できなかったが、ナデラ氏は現実に即した判断を下した」(樋口氏)とのこと。

■Surface Pro 3の予約数は前モデルの25倍

 デバイス事業については、国内でもSurface Pro 3を7月17日(木)から発売するとのこと。「ものすごい反響をいただいている。Surface Pro 2では発売前に1日しか予約を受け付けなかったが、その最初の1日だけを比較しても、予約数は25倍」という数字を明らかにしました。

日本マイクロソフト経営方針説明会2014
↑Surface Pro 3の予約数は前モデルの25倍という勢い。

 Surface Pro 3がここまで好感を得ている理由としては、「これまでのSurface Proシリーズでは、いくらタブレットとは言っても、厚さや重さの面でPCというイメージが強かった。しかしSurface Pro 3では、ようやくタブレットサイズでフル機能のPCを実現できた」(樋口氏)と分析。

 法人ユーザーによる最新のWindowsタブレット導入事例として、大塚商会を取り上げ、「これまで大塚製薬ではすべての従業員に、ノートPCと他社OSのタブレットを両方配布していた。管理コストはもちろん、通信もiPad用の回線とPC用モバイルルーターの回線を二重に負担していた」(樋口氏)と説明。これをDELLのWindowsタブレットに一元化し、1900台を導入したとのことです。

日本マイクロソフト経営方針説明会2014
↑大塚商会は、ノートPCと他社OSのタブレットをWindowsタブレットに一元化した。

 クラウドサービスについて、OneDriveは無料プランのディスク容量を7GBから15GBに拡大することにも改めて言及、まもなく有料プランの値下げも実施されるとしています。

日本マイクロソフト経営方針説明会2014
↑OneDriveは無料で15GBに。有料プランも、100GBで799円だった月額費用を190円に値下げするなど、使いやすくなる。

■コンシューマー向けOffice 365を2014年内に国内提供開始

 海外ではすでに展開しているコンシューマー向けのOffice 365については、日本でも2014年内に提供開始するとのスケジュールが広報から提供されていましたが、この点について樋口氏も改めて言及し、「(会計年度ではなく)カレンダーイヤーで2014年内に提供する」と宣言しました。

日本マイクロソフト経営方針説明会2014
↑これまで日本でも企業や政府、教育機関向けには提供されてきたOffice 365を、いよいよコンシューマー向けにも年内に提供開始する。

 海外では『Office 365 Home』や『Office 365 Personal』として提供されていますが、日本での提供形態は未発表となっています。この点については、「これまで日本ではプリインストールのOfficeを主軸としてきた。Office 365についても、日本市場に最適化した上でリリースする。詳しくは発表を待ってほしい」(樋口氏)と説明しています。

■Windows Phoneについては、明確な予定なし

 Windows XPからの買い換え需要でPC市場が活況を呈した後、6月に入って減速しているとの見方もあるという点については、「Windows XPでは、盆と正月が一緒にきたようなもの。4月、5月はその勢いが意外なほど続いたと思っている。6月には減少しつつあるが、想定の範囲内」(樋口氏)との回答。

 Windows Phoneは、「現時点でお伝えできることはない。気持ちとしては、できるだけ早く日本に持ってきたい」(樋口氏)と具体的なスケジュールについては明言しませんでした。「ノキアの買収に時間がかかり、当初の予定より遅れてしまった、とだけ言っておく」(同)として、それ以上はノーコメント。国内でも何らかの計画があったものの、ノキアの買収の遅れにより影響を受けたことを示唆している、という印象を筆者は受けました。

 日本マイクロソフト社内で利用しているKDDIの『IS12T』についても、新規の調達が難しくなっており、ユーザーからそろそろ後継機が必要との指摘があるものの、「良いものは長く使いたいので」(樋口氏)と、かわしています。

 Surface Pro 2が長らく在庫不足に陥っていた背景としては、「米国のSurface担当者はSurface Pro 3のスペックや発売時期を把握しており、それに向けてSurface Pro 2の生産調整を行なっていた。日本マイクロソフト側でその事実を知らされたのは、Surface Pro 3の発表後。我々としても、出せば売れることは分かっていたのだが、とにかく在庫を確保できなかった」(日本マイクロソフト 執行役 コンシューマー&パートナーグループ リテールビジネス統括本部長の横井伸好氏)と振り返りました。

■毎年恒例の懇親会風景

日本マイクロソフト経営方針説明会2014
↑今年のケーキはOffice 365、Windows、Microsoft Azureのチョコプレートが乗っていた。
日本マイクロソフト経営方針説明会2014
↑赤、緑、青、黄というマイクロソフトのロゴマークを野菜で表現したという、理解するのにやや時間を要する現代アート風の作品も。
日本マイクロソフト経営方針説明会2014
↑見るからに美味しそうなお寿司も並んだ。日本マイクロソフトの従業員がいつも食べているものより高級品とのこと。
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