ポイント1:完全にソフトウェアのみの発表だった
既報のとおり、今回の基調講演の最大の特徴は、新機種などのハードウェアの話が一切出てこなかったことだ。昨年は新型Mac Proが発表されたように、ここ数年のWWDCでは何らかのハードが発表されるのが恒例だった。今年もかねてから、iPhone 6やiWatch、iTVなどが公開されるとのウワサが各所から出ていた。
しかしフタを開けてみれば、話の主軸はOS X YosemiteとiOS 8、そしてアプリ開発環境である「Swift」の3つだった。アップルは、優秀な開発者たちの囲い込みによってこれからも革新的なアプリがOSX/iOS環境から生まれる潮流つくり出すことを重視したのだ。それは新プログラミング言語のSwiftに表れている。
ポイント2:「アップルプラットフォーム」の誕生
登場した用語である「コンティニュイティー」も見逃せないポイントだ。これはOS XとiOSの親和性の向上と協調作業の促進をサポートする連携技術のことであり、そのメリットはユーザーだけに留まらない。なぜなら、これは両者にまたがるアプリ開発の動機づけを高めるとともに、消費者がiOSデバイスのパートナーとしてMacを選ぶ機会を増やすことにつながるからだ。
つまり、iOSアプリの開発者にOS X向けのアプリ開発をより魅力的に感じてもらうための仕掛けでもあり、Mac向けアプリ市場をさらに活性化させる狙いが感じられる。両OSの結びつきが強くなることは、開発者が両者を統合したアップルというひとつのプラットフォームとして捉え直すきっかけになる。
ポイント3:サードパーティーへのAPIの開放
iOS単体で見たときの最も大きなトピックは、「各種APIのサードパーティーへの開放」だろう。他社製の入力支援プログラム(IME)やソフトウェアキーボード、ウィジェット、そしてTouch IDといった各機能を利用するためのAPIが、iOS8では大幅に公開される。
APIとは、OSが備える各種の機能を外部のアプリから利用可能にする手順や記述方法のこと。例えば、画像加工アプリからiOS標準の「写真」アプリ内のデータにアクセスできるのは、画像の扱いに関するAPIが公開されているからだ。これまでアップルは、サードパーティーに対して非常に限定的にしかAPIを公開してこなかった。今回のサードパーティーへのAPIの開放は、アップルの大きな方向転換と言える。これもまた、開発者の流入を促す施策と言えそうだ。
ポイント4:逆にサードパーティーを潰す施策も!?
その一方でアップルは、OS XとiOSにサードパーティーと競合する機能も複数搭載してきた。iMessageでのタップ・トゥー・トークや、iCloud Drive、メール添付文書への注釈・サイン、AirDropの拡張、HealthKitによる健康管理──などの機能がそれに当たる。
いずれも他社製のアプリやサービスが実現してきた機能であり、例えばiCloud Driveの機能は、これまで「Googleドライブ」や「Dropbox」などが担ってきたものだ。つまり、アップルがサードパーティーのビジネスを奪うことにもなり得るのだ。あえてアップルを擁護するならば、同社はハードルを引き上げることで、開発者のさらなる奮起を促したとも言える。アップルを取り巻く「エコシステム」を考えると、大胆な挑戦とも言える。
MacPeople 8月号(6月28日発売)の第1特集では、前述の4つのポイントをはじめ、WWDC 2014基調講演の内容を総力レポート。今後のOS XやiOSの行方が気になるユーザーや開発者にぜひとも読んでほしい内容となっている。
さて、6月28日発売のMacPeople 8月号の特集ラインアップは、WWDCでベールを脱いだOS X YosemiteとiOS 8の新機能総ざらい、アップルの新プログラミング言語Swiftパーフェクトガイド、WordPressで作るレスポンシブウェブデザイン、Googleアナリティクス基礎講座──の4本です。電子版なら気になるキーワードで検索ができるほか、定期購読は紙よりも安くてお得ですよ!
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