みなさん、こんばんは。MacPeople元・編集長の吉田でございます。1984年1月24日に初代Macintoshが誕生して2014年で30周年。MacPeople編集部では短期集中連載として、初代Macから最新のMac Proまでに盛り込まれたテクノロジーについてひも解いていきます。
3回目に取り上げるのは、Macintosh IIシリーズ。昨日紹介したSE、SE/30と同様にフロッグデザインを採用しており、初のセパレート型となりました。ちなみに私が1995年にアスキーに入って個人占有マシンと最初に使ったのは、Macintosh IIfxでした。このマシンは、発売当時はIIシリーズで最高の68030の40MHzを搭載していましたが、メモリーの仕様が独自なのと、とにかくバギーでした。IIfxを使ったことで、ファイルを保存することの重要性を体感した思い出があります。
Macintosh II(IIci/IIcx/IIvi/IIvx/IIx/IIfx/IIsi)
初代Macの登場から3年。モニターを外付けにした最初のセパレート型のスタイルで登場した。これが、その後のPower Mac、そして現在のMac Proへ続くハイエンドMacの伝統の原点となった。
NuBus拡張スロットを装備
最初のMacintosh IIは、それまでの「閉じた」Macのスタイルを一変させ、6基の拡張スロット(NuBus、ヌーバス/ニューバス)を装備するセパレートタイプとして登場した。これは、拡張性を犠牲にしても、コンパクトで完成された製品を目指すというスティーブ・ジョブズが掲げた初代Macのスタイルから逸脱するものであり、賛否両論を巻き起こした。しかし、拡張性を備えたMacを望む声は当初から根強くあったのだ。ジョブズが離れたあとのアップルの、それに対する回答がこのマシンだ。
Macintosh IIではビデオ回路をロジックボード上に搭載せず、拡張カードとして実装する仕様になっていた。当初アップルから発売された純正のビデオカードは3種類。いずれも解像度は640×480ドットで、1ドットをそれぞれ1/4/8ビットのいずれかで表現するものだった。1ビットならモノクロ、4ビットなら16色カラー、または16階調のグレー、8ビットなら256色カラー、または256階調のグレーが表現できた。256色カラーの場合には、1色につきRGBそれぞれを8ビットで設定できるカラーパレットを利用して、約1670万色中の任意の256色を選択することが可能だった。いずれにしても現在から比べると貧弱な表示能力だった。
しかし、単独の製品としてのビデオカードの市場が、このMacintosh IIの登場により出来上がったことには大きな意味がある。この分野でのサードパーティーの勃興を促すことになったのだ。
Macintosh IIの背面。右手に見えるのがNuBusスロット |
5.25インチハードディスクを内蔵
Macintosh IIには、それ以前のコンパクトMacとはまったく異なるオープンな設計が施されていた。それを象徴するのが、本体の構造だ。同時に発売されたMacintosh SEと同様に独フロッグデザイン社の手によるボディーは、左右に2つ並んだフロッピードライブのスロットより上から、天井部分がそっくり外れる構造となっていた。それにより、フロッピードライブと、その左に配置されたハードディスク、さらに拡張スロットを含むロジックボードに容易にアクセスできるようになる。Macintosh IIのハードディスクは、いまではかなり珍しい5.25インチタイプだった。SEが採用した3.5インチタイプよりも、より大容量、より高速のデータ転送を可能としていた。
Macintosh IIのハードディスク搭載モデルは容量20MBのドライブを内蔵していた。もちろん、さらに大容量のドライブが必要なら、市販されていたSCSI接続のハードディスクを入手し、自分で簡単に導入・交換することができた。
Macintosh IIが装備していたフロッピードライブは、Macintosh Plusと同じ容量800KBの両面タイプだった。しかし、翌年の1998年に登場したIIxからは、容量が2倍近い1.44MBの2HDメディアを扱え、PCでフォーマットしたメディアも読み書きできる「スーパードライブ」に変わった。
コンパクトなIIシリーズも登場
Macintosh IIと同じ大きさとデザインを採用した直系の後継機であるIIfxは1990年に発売されることになるが、前年の1989年には同様のデザインながらよりコンパクトなボディーを採用したIIcxとIIciが発売された。本体の高さと奥行きはそのままで、幅だけを3分の2ほどの302mmに収めている。本体はバランスのいい比率となり、当時標準的に使われていた12インチの純正カラーモニター(中身はソニー(株)製トリニトロン)を上に載せると、一体感を得ることができた。
このIIcxのボディーは、内部構造も見直され、電源/ディスク/ロジックボード/内蔵スピーカー─といった部品がモジュラー化された。上ブタを開けるだけで簡単に分解できるようになり、メンテナンス性は格段に向上した。このボディー構造はそのままIIciにも引き継がれ、その同じサイズのコンパクトなボディーは、のちに68K Macの名機と呼ばれるQuadra 700に受け継がれることになる。コンパクトなIIでは、本体のサイズを縮小したため、NuBusスロットの数は3基に絞られた。ただし、IIciはロジックボード上にビデオ回路を内蔵していたため、3基すべてを拡張カード用に利用できた。
またIIciは、Macとして初めて32ビットクリーンなROMを採用したことでも知られる。それまで24ビットに限られていたメインメモリーのアドレス空間が32ビットに拡張され、System 7(漢字Talk 7)と組み合わせることで32ビットのアドレッシングが可能となり、実装しているメモリーを、すべてメインメモリーとして有効活用できるようになった。
12インチの純正CRTモニターを載せたMacintosh IIci |
12インチの純正CRTモニターを載せたMacintosh IIcx |
初のCD-ROM内蔵モデルとなったIIvi/IIvx |
IIシリーズとClassicシリーズの中間を埋めたIIsi |
さて、絶賛発売中のMacPeople 3月号では、Macintosh 30周年を記念した特集記事を組んでいます。初代Macintoshのさまざな写真はもちろん、SE、SE/30、Color ClassicなどのコンパクトMac、Macintosh IIやIIci、IIsi、IIfx、LC475などのセパレート型Macの驚愕のテクノロジーをひも解いていきます。もちろん、68K MacだけでなくPowerPC搭載のiMacやPower Mac、インテルCPU搭載マシンを含む一体型、デスクトップ型すべてです。そして第2特集では、最新のMac Proを詳しく紹介。この2つの特集記事だけで80ページ以上ありますよ!
(2014/01/30 12:00追記)フロッピーディスク容量の間違いを修正しました。
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