【東ティモール:滞在期間/2014年1月12日~14日】
SIMフリースマホを片手に、あちこちをフラフラしている旅バカライター中山です。2014年最初の旅は、東ティモール。2002年に21世紀最初の独立国として誕生した同国ですが、独立後も国連治安維持部隊が駐留し、現地での平和活動に当たっており混乱が続いていました。
しかし、ここ数年は現地の治安も安定し、これを受けて2012年いっぱいで国連治安維持部隊は完全撤収。名実ともに、普通の国としての道を歩き始めています。
領土は小スンダ列島にあるティモール島の東半分。オーストラリアの北西に位置します。
東ティモールへは日本からの直行便はないので、乗り継ぎでアスクセスします。今回はインドネシアのバリ島からのフライトを選択。バリ島からは約1時間50分のフライトで、東ティモールの首都ディリにあるプレジデンテ・ニコラウ・ロバト国際空港に到着です。
飛行機は旧式 |
↑インドネシアの国営会社、メルパチ・ヌサンタラ航空を利用。機材は旧型のボーイング737。 |
首都の小さな空港に到着 |
↑ボーディンゲートはなく、飛行機からタラップで降りて、歩いて空港内へ移動します。 |
東ティモールへの入国にはビザが必要ですが、空港で取得が可能。観光用ビザは30ドル(約3140円)です。ちなみに出国時には空港利用税として10ドル(約1050円)が必要です。
同国では通貨に米ドルを使用していますが、同国内に日本円から米ドルに両替できる所は少なく、また街を歩いて見た限りATMの数も少ないので、日本で米ドルに両替しておいたほうが良いでしょう。
入国審査と税関を通り抜けると、出迎えるのがタクシーの運転手たち。とにかく外国人と見ると、ガンガン「タクシー! タクシー!」と営業に来ます。ひとまずタクシーの前にSIMを入手したいので、あたりを見渡すと同国の通信キャリアTimor Telecomのカウンターを発見しました。
空港にカウンター発見 |
↑同国では最大手のTimor Telecomのカウンター。空港を出て左手にありました。 |
早速カウンターでSIMがあるか聞いてみると「売り切れ」のひと言……。そんな売り切れるほど品薄なんですかね?? さらに聞いてみると、街中にもショップはあるようなので、空港での購入はあきらめて、タクシーで宿に向かうことにします。
東ティモールのタクシーは、メーター制ではなく交渉制。SIMを買うのに空港をウロウロしているあいだじゅう、ずっと「タクシー! タクシー!」と付いてきたドライバーに宿までの料金を聞くと「20ドル」との回答。
事前にネットで調べた情報では10ドルくらいから交渉だったのですが、インフレが進んでますね。さすがに言い値は払えないので、「8ドル」と言い返すと、10ドルまで下がりましたが、それ以上は無理でした。
黄色いタクシーを発見 |
↑ディリ市内のタクシーは黄色いカラーリング。日中は台数が多いですが、日暮れになるとあまり見かけなくなります。 |
■街中にSIM屋さんがウロウロ
宿の前でタクシーを降りると、すかさず現地の人が「SIMカードは要るか?」と駆け寄ってきました。ディリ市内では、キャリアショップなどではなく、街中で個人がSIMを売りさばいているようです。
現地のSIM屋さん |
↑観光客とみるやSIMの営業に来たSIM屋さん。チャージ用のカードも販売しています。 |
ひとまず、先ほど空港で買えなかったTimor TelecomのSIMを購入。チャージ用のカードも10ドルぶん購入しました。ここでひとつ失敗。SIMの値段を10ドルと言われて、そのまま払ってしまいましたが相場は5ドル前後のようです。
というのも、このあと別のキャリアのSIMを別のSIM屋さんから購入したのですが、価格は5ドル。そこで、香港の山根さんにお土産SIMを頼まれていたので、ふたたび最初に購入したSIM屋さんで交渉したところ、5ドルで購入できました。
(どうやら交渉制の場合、外国人相手には倍の値段でスタートするようです。ただ、SIMには1ドルしかチャージされていないので、元の値段は更に安いかもしれません……。)
Timor TelecomのSIM |
↑パッケージは薄汚れていますが、中のSIMは通常サイズとmicroサイズ両対応タイプでした。 |
チャージ用のカード |
↑背面のスクラッチを削ると、コード番号が記載されている。現地ではチャージを“プルサ”といい、これはインドネシアでも同じ。 |
ひとまずSIMを購入できたので、宿にチェックインし、早速SIMを設定してみます。使用したのは海外版の『Xperia Z1』。microサイズにSIMを切り抜いて装着すると、すぐに電波をキャッチしたので、まずは追加で購入した10ドルぶんをチャージします。
Timor Telecomでのチャージ方法は、通話アプリで“100”へとダイヤルして、アナウンスのあとカードに記載されているコード番号を入力、さらに確認のアナウンスが流れるので、“1”を押せばオーケー。ただし、現地語でのアナウンスとなるので若干わかりにくいです。
チャージが成功すると、残高が記載されたSMSを受信します。あとはデータ通信用のパッケージを申し込むだけ。
Timor Telecomのデータパッケージ |
↑30MB(1ドル/約)から、5120MB(70ドル)まで7種類のパッケージが用意されています。 |
データパッケージの申し込み方法は、SMSで“8302”宛に各パッケージのフォーマットを記載して送信します。今回は2泊3日だけなので350MB/10ドルのパッケージを申し込みました。
SMSで登録 |
↑パッケージ一覧の“SMS Format”の文字を入力して送信。350MB/10ドルの場合は“ITM”。 |
登録の確認 |
↑上2つが5ドルのチャージをしたときの返信で、いちばん下がデータパッケージを申し込んだときの返信。現地語なので数字しか分かりません。 |
APNなどの設定項目は下記のとおりです。
APN: internet
ユーザーID: 空白
パスワード: 空白
Timor Telecomの通信設定が完了したところで、別のキャリアのSIMを購入してみることに。数年前まで、東ティモールの通信キャリアはTimor Telecomの1社独占でしたが、昨年から新しいキャリアが登場。現在はTimor Telecomのほかに、telemorとインドネシア資本のTelkomselが営業しています。そのうちの、telemorを同じくSIM屋さんから購入。SIMの価格は5ドルで5ドルのチャージ用カードも追加で購入しました。
telemorのSIM |
↑パッケージはなく、SIMカードをそのまま販売。通常サイズのみでmicroやnanoへはカッターで切り抜く必要がある。 |
こちらのSIMはiPhone5sで使用するので、nanoサイズに切り抜いて挿入。また、telemorのSIMは、Timor Telecomと違い開通作業が必要。といっても、通話アプリで“123”へダヤルするだけ。現地語でアナウンスがあり、通話終了後にSMSで開通完了の通知が届きます。
あとはTimor Telecomと同様に、追加購入した5ドルぶんのチャージを登録してから、データパッケージの登録を行ないます。データパッケージの登録方法は、SMSで“127”宛に各パッケージ名を記載して送信します。
telemorデータパッケージ |
↑こちらもパッケージの種類は7つ。全体的にTimor Telecomよりも安め。 |
こちらもSMSで登録 |
↑telemorもSMSでデータパッケージを登録する。250MB(5ドル)のパッケージを申し込んだので、“D5”と記載して送信。 |
APNなどの設定項目は下記のとおりです。
APN: t-internet
ユーザーID: mms
パスワード: mms
速度はどちらのSIMも3Gでの接続ですが、下りは1Mbps以下とあまり速くはありません。体感的にはTimor Telecomのほうがパケ詰まりが少なくスムーズで、エリアも広めでした。
■ディリの街を散策~♪
通信環境を確保したので、ディリの街中を散策してみます。まずはいちばんの観光スポットで、街のはずれの岬にたっているキリスト像“クリストレイ”へ。クルマで20分ほどかかるのでタクシー(片道5ドル)で行きました。
景色は最高!! |
↑クリストレイは丘の上にあり階段を20分ほど登ると到着。かなりきつい階段だが、上からの景色は絶景。 |
巨大なキリスト像 |
↑地球の上に立つクリストレイのキリスト像。高さ27メートル。(編集部注:ちなみに現在最も大きいのがポーランドの約51メートル、次いでリオデジャネイロが約30メートル。) |
周辺は静か |
↑持参した人形と同じポーズで。ここは唯一とも言える観光スポットだが、露店などはなく静か。訪問する際には飲み物を持参しましょう。 |
残念ながらそのほかにめぼしい観光スポットはないので、ディリの街中をブラブラしてみることに。たどり着いたのは、ディリで一番の電脳街コルメラ。
東ティモールの電脳街に行ってみよう! |
↑スマホやパソコンのほか、一般の家電製品を販売するショップや露店が建ち並ぶ地区。 |
ホテル ティモールの裏手 |
↑コルメラの場所はホテル ティモールの裏。ホテル ティモールにはATMがあるので、キャッシングはここがオススメ。 |
ケータイの販売は露店がメイン。扱っている商品はノキアのフィーチャーフォンが多く、スマホはサムスンのGalaxyシリーズがほとんど。試しにGalaxy S3の価格を聞いてみたところ、1440ドル(約15万740円)と驚きの高プライス。外国人価格で倍の値段をふっかけていると考えると、大体7万円くらいまで交渉では下がるかもしれませんが。
東ティモールの電脳街に行ってみよう! |
↑店頭に端末をズラリと並べて販売。どの店も18時くらいには店じまいしてました。 |
フィーチャーフォンがメイン |
↑フィーチャーフォンが主流だけあって、日本ではあまり見かけない端末が多い。 |
発電機も主力商品 |
↑電力供給の安定していない国では停電も多いため、発電機も重要な家電のひとつ。 |
■食事も高めで暮らしにくい!?
街をブラブラしていて気が付いたのが、物価の高さ。タクシーでちょっと移動するだけで5ドル以上かかります。さすがに現地の人にはタクシー利用は高いので、庶民の足として使われているのが、バン型の小型バス“ミクロレット”。路線ごとに運賃が決まっており、1ドル以下の料金で乗れます。
人がハコ乗りしている小型バス“ミクロレット” |
↑まさに満載状態で街中を移動するミクロレット。バスに路線番号が書いてあります。 |
長距離バスも満載 |
↑国内の長距離移動もバスがメイン。バスターミナルからは東ティモール各地にバスが出ており、屋根にも荷物を山積み。 |
担いで販売 |
↑街中でよく見かける行商。フルーツのほかに魚や野菜なども天秤にぶら下げて歩くのが東ティモール流。 |
また市内での食事も高め。定食屋でご飯に3品追加したプレートが4ドル(約420円)と、隣国のインドネシアと比較すると倍くらいの価格。食費が高くなるのは旅行者には痛手ですね。
定食屋でチョイス |
↑東南アジアでは定番の、食べたい料理を選んでオーダーする方式。 |
3品頼んで4ドル |
↑ご飯に、チキン、卵、野菜炒めを選んで4ドル。隣国インドネシアなら200円前後で食べられるメニュー。 |
ビーチ沿いの屋台に行ってみた |
↑ビーチ沿いでは夕方から屋台が出現。魚の丸焼きが1本3ドル、大きな焼き鳥が2.5ドルとこちらも高め。 |
実際に行ってみて感じたのは、東ティモールは国としての形は整っていますが、観光地としてはまだまだ発展途上。ホテルやレジャー施設の普及もまだまだです。
また、インドネシアとの国境付近は外務省から「渡航の是非を検討してください。」という勧告が出されてますし、それ以外の地域も「十分注意してください。」というレベル。観光として行ってみるならもう少し先の方が良いかもしれません。
お土産に買うなら名産のコーヒー |
↑コーヒーは東ティモールの唯一ともいえる商品作物。お土産として空港などで販売されています。 |
ただし、国自体にはガスなど豊富な天然資源もありますし、手つかずの自然も多くリゾート地としての発展も見込めるなど、新しい国ならではのビジネスチャンスが感じられる要注目の国であることは確かです。
旅バカとしては、東ティモールの地方にも足を伸ばしてみたいので、今後の発展に注目していきたいと思います!!
■関連サイト
Timor Telecom
telemor
外務省海外安全ホームページ
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