【マレーシア:11月30日~12月5日】
香港からシンガポールまでの陸路をすべてバスで移動する旅に出かけた、旅バカライター中山です。前回はタイのバンコクから乗り心地抜群のVIPバスに揺られること17時間半。タイとマレーシアの国境までたどり着きました。
■2枚の現地SIMを購入
タイのイミグレーションは誰も並んでいませんでしたが、マレーシア側も同様で、待ち時間なしで入国審査がスタート。といっても入国カードもなく、パスポートを見せるだけです。カウンターで「どこに行くのか?」と聞かれましたが、「シンガポールへ抜ける」と話すと、すんなりスタンプを押してくれました。
マレーシアへ入国! |
↑6ヵ国目のマレーシアもトラブルなしで入国。怖いくらいに順調です。 |
さて。マレーシアに入国したものの、国境からは長距離バスが出ていないので、コタバルという近くの大きな街まで移動する必要があります。国境からコタバルまでは路線バスが出ているので、それに乗り込めばオーケー。現地通貨へは国境そばにある売店で替えてもらいました。
29番のバスでコタバルへ |
↑雨が本格的に降り出してきたので、さっさと乗車。乗車賃は5.1リンギット(約161円)。 |
バスの運賃は先払い。運転手に「10セントのコインを持ってないか?」と聞かれたのですが、あいにく両替したばかりでお札しか手元にありません。すると前に支払いを終えた地元の女性が10セントコインを譲ってくれました。優しすぎる! こういうことがあるとその国がとたんに好きになります(単純)。
バスの中では、Googleマップを使って現在位置のチェック。といってもマレーシアのSIMはまだ入手しておらず、香港で購入した“3(スリー)”のSIMも、定額ローミングの対象外なので通信はできません。事前に周辺地域をチェックしていたこともあり、キャッシュを利用してマップを表示しているのです。
路線バスは1時間ほどでコタバルのバスターミナルに到着。そこから同じくGoogleマップを頼りに、予約していた宿へと向かいます。
コタバルのバスターミナル |
↑路線バスがメインのバスターミナル。一部の長距離バスもここから乗り込めます。 |
コタバルの宿 |
↑バスターミナルから歩いて10分くらいの立地。エアコン、テレビつきで65リンギット(約2050円)。 |
宿に到着し、荷物を置いたら、さっそく次の目的地までのバスチケットの手配です。チケットは、路線バスを降りたターミナルのチケットセンターで入手。マレー半島の東海岸中部に位置するクアンタンまでで、36リンギット(約1140円)でした。
続いて現地での通信手段の確保のため、プリペイドSIMの購入です。バスターミナルの目の前にショッピングビルがあるので、ひとまずここで探してみることに。
ショッピングビルの探索 |
↑こういったショッピングビルにキャリアショップや端末屋が入居しているケースが多いです。 |
ミニ四駆が人気! |
↑立派なミニ四駆のコースが設置されていました。マレーシアでも人気なんですね。 |
ショッピングビル内をウロウロしていると、Umobileというキャリアの代理店らしきショップを発見。しかもポップをみると、かなりデータ通信に力を入れているキャリアのようです。店員に聞いてみると英語もスムーズに通じ、プラン内容も分かりやすく説明してくれました。
わかりやすいポップを発見 |
↑プリペイドSIMのプランが店頭に大きく張り出してありましたが、さらに値引きが進んでいて2GBのプランは48リンギット(約1520円)とのこと。 |
UmobileのSIM |
↑通常SIMサイズしかないので、microサイズに切り抜いてもらいました。 |
SIMの価格は2GBのプランを申し込むためのチャージと合わせて55リンギット(約1740円)。データプランの申し込み方法は、通話アプリで"*138*3*1#"へ発信すると表示されるメニューから進めていきます。
1)定額を選択 |
↑“*138*3*1#”へと発信するとメニューが表示されるので、ネット定額の“1”を入力。 |
2)パッケージの選択 |
↑250MB/18リンギットから2GB/48リンギットまでの4種類。使い切ったらチャージしてまた追加すればオーケー。 |
3)申し込みの確認 |
↑プランの番号を入力すると、確認画面に切り替わります。ここで“1”を入力すれば申し込み完了。 |
4)残高をチェック |
↑“*138*3*1#”のメニューから“3”を入力すると利用可能なデータ通信量の残高が確認できます。 |
APNなどの設定項目は下記のとおりです。
APN:my3g
ユーザーID:空白
パスワード:空白
Umobileでの通信は確保しましたが、このキャリアはマレーシアのなかでは新興キャリア。通信エリアにちょっと不安があったので、もう1枚別のキャリアのSIMを購入することにします。
バスターミナル周辺は端末を売っているショップが多く、合わせてSIMも販売していました。
いたるところにケータイ屋さん |
↑ざっと見ただけでもバスターミナル周辺に5~6件はありました。 |
さて、もう1枚はマレーシアでも大手となるCelcomのSIMを購入。ただし先ほどのキャリアの代理店とは違い、あまり英語が通じず、データ定額やチャージについての説明もなかったので、自力で調べる必要がありました。また、Umobileのときもそうでしたが、SIM購入時には本人確認証としてパスポートが必要です。
CelcomのSIM |
↑SIM自体は10リンギット(約320)で購入。こちらも通常サイズだけなので、iPhone5sで使うためnanoサイズにカットしてもらいました。 |
Celcomのデータプランを調べてみると、18リンギット(約570円)で1週間定額とのこと。SIMには初期状態で5リンギット(約160円)しかチャージされていないので、コンビニで20リンギット(約630円)ぶんのチャージ用コードを購入し、通話アプリで追加して残高を25リンギットにしてから、定額プランを申し込みました。
Celcomの申し込み方法も通話アプリからコマンドを入力してメニューを呼び出す方式。マレーシアはこのタイプが一般的のようですね。
1)コマンドは“*118#” |
↑Celcomは通話アプリから“*118#”へ発信すると、メニューが表われます。 |
2)申し込み |
↑メニューが表示されたら、データ通信の申し込み。7番の“Mobile Internet”を入力。 |
3)1週間を選択 |
↑“1”は1日定額、“2”が1週間定額。もちろん1週間定額を申し込みました。 |
4)SMSで確定 |
↑プランを申し込むとSMSを受信。このSMSに“Broadband Yes”と入力して返信すれば、登録完了です。 |
APNなどの設定項目は下記のとおり。ちなみに帰国後、SIMフリー版のiPad Airに挿入したら、APNが“celcom4g”になっていましたので、LTE対応の準備は進んでいたようです。
APN:celcom3g
ユーザーID:空白
パスワード:空白
クアンタンまでのバスとスマホからの通信手段が確保できたため、宿に戻ってたまっていた仕事をこなし、今後のスケジュールを確定させます。というのも、コタバルの宿は安い割に下りで数Mbpsと安定した通信だったので、PCからのネットもサクサクだったからです。
往路の香港はLCCを使ったので、シンガポールからの復路も当然LCC。クアンタンで3泊して一気にシンガポールへ抜け、シンガポールは泊らずに、夜中の便で日本に向かうというスケジュールを組みました。これがのちに大失敗となります……。
■昔の職場へ10年ぶりに訪問
コタバルでは1泊だけして、翌朝バスターミナルへと向かいます。バスは8時30分発の予定ですが、35分遅れの8時55分に出発しました。
コタバルからクアンタンのバス |
↑金色のカラーリングで遠目からはキレイに見えましたが、近づいてみるとあちこちボロボロ。 |
不思議なシート配列…… |
↑前のほうは2席2列シートですが、うしろ半分は1席3列シートという、初めて見るタイプでした。 |
マレーシア東海岸は、まだ高速道路の整備が進んでいないため一般道を走ることになります。とはいえ、大きな幹線道路なので車線もひろく道もちゃんと舗装されているので、乗り心地は快適でした。
バスはクアンタンまでは直通ですが、ダイレクトではなく大きな街のターミナルを経由して乗客の乗降をしつつ、目的地まで向かいます。約5時間の乗車時間で、途中1回だけトイレ兼食事休憩がありました。
食堂で休憩 |
↑途中で止った食堂。乗客も運転手も、みんなここで昼食を取ります。 |
ビュッフェ形式 |
↑お皿にご飯をよそって、飾り棚の料理を自分で盛りつけていくスタイル。ひと皿6リンギット(約190円)。 |
クアンタンのバスターミナルは、ガイドブックとネットの情報で確認済みで、Googleマップにもスター登録しておきました……が、気が付くとそこから数キロはなれた大きなバスターミナルへと到着。運転手からも、終点だから降りてくださいと言われました……。
キレイなバスターミナル |
↑クアンタンのバスターミナルに到着しましたが、調べてた情報と位置も形式も違い、ここはどこ? 状態に。 |
バスターミナル自体はピカピカで、これまでの旅でもいちばんキレイな建物。インフォメーションに確認したところ、2ヵ月ほど前にできて移転してきたばかりとのことです。旅行に関しては、2ヵ月くらいでガイドブックどころかネットの情報も古くなってしまうんですね。
もともとクアンタンからは、タクシーで1時間弱のチェラティンビーチへ移動する予定でしたし、新しいバスターミナルにもタクシー乗り場があったので、問題なしです。タクシーはメーター制ではないのですが、タクシー乗り場に行き先別の料金表が掲載されているので安心! チェラティンビーチのホテルまでは、60リンギット(約1900円)でした。
タクシー乗り場へ |
↑乗り場のカウンターに、行き先ごとの料金表が張ってあり、目的地を告げるとタクシーを呼んでくれます。 |
安心してタクシーに乗り込んだ瞬間、今まで晴れていたのが嘘のように大雨が降り始めました。なんだか今回の旅は、バスを降りると雨が降り始めるというのが続きます……。
チェラティンビーチで宿泊したホテルは、クラブメッド。世界各国に進出しているリゾートクラブです。実は私、10数年ほど前に、クラブメッドのスタッフとして働いており、このチェラティンビーチにも赴任していました。10数年ぶりの職場再訪というわけです。
クラブメッドは宿泊施設だけではなく、敷地内にマリンスポーツ、テニスやアーチェリー場、空中ブランコといったアクティビティーが用意されており、自由に遊ぶことができます。食事も3食ビュッフェ形式の食べ放題飲み放題。しかもこれらの料金は宿泊代に含まれたオールインクルーシブ形式なので、滞在中は追加料金を払うことがほとんどありません(オプショナルツアーなど一部有料)。さらに数年前からバーでオーダーするドリンクもアルコール(高いお酒は除く)を含めて飲み放題と、酒好きの筆者にはピッタリのシステムなのです。
豪華なクラブメッドの部屋 |
↑内装はリニューアルされているので、私がいた頃とはだいぶ変わってとてもキレイになってます。 |
毎食ビュッフェで食べ放題 |
↑レストランでの食事は毎日メニューが変わるので、ビュッフェ形式でも飽きません。 |
1日中飲み放題 |
↑敷地内にあるバーカウンター。支払い不要でオーダーするだけ。酔いつぶれないように注意が必要です。 |
宿泊代金は時期によって変わりますが、1泊2万円前後(2名宿泊時)から。この旅の宿泊代金としてはかなり高額ですが、シンガポールでは宿泊しないし、久しぶりのバカンスということで、ちょっと大盤振る舞いしてみました。とはいえ、前述のとおり宿代に滞在中にかかる費用がほとんど含まれているので、ガッツリ利用すれば、価格ぶんはしっかり楽しめます。
さっそくビーチリゾートを堪能しようと思いましたが…タクシーに乗車してからの雨が一向にやみません……。
一向に雨がやまず…… |
↑たしかに雨期なんですが、3泊すべて雨です。まったく止む気配なし。 |
クラブメッドは雨が降っても、スタッフがゲーム大会などいろいろとイベントを企画してくれるので、退屈することはないのですが、宿泊中すべて雨というのはちょっと残念。やはりリゾートに行くなら乾期がベターですね。
夜はショーを開催 |
↑毎晩スタッフが舞台に立ってショーを行なうのもクラブメッドの名物。筆者も10数年前はあちら側で踊っていました。今よりお腹まわりが15kgほど軽かったですが……。 |
■止まない雨が大トラブルへと発展
毎日飲んで食べてダラダラと遊んでと3泊4日を十分満喫したところで、そろそろ次なる目的地シンガポールに向かいます。ひとまずタクシーで再度クアンタンのバスターミナルに向かうのですが、ここでタクシードライバーから驚愕の事実が告げられます……。
「大雨で道が冠水してるから、バスターミナルまで行けないよ」
なんということでしょう。現地の人もここまで大雨が続くのは経験がないというほどのレベルで、大型バスの運行も怪しいとのこと。ネットを使って情報収集しようかと思ったのですが、ホテル周辺地域全体が、実は前夜から大雨のせいで停電しており、ホテルのネットは不通。室内までUmobileの電波は届いていましたが、これも昨晩から圏外になっていたのでした。
移動手段も電気も電波もない状態ではお手上げです。仕方がないので、クラブメッドにもう一泊することにしたのですが、ここで問題になったのが、帰国便の予約。すでにコタバルでシンガポールからのLCCの便を購入してあったものの、搭乗便を変更できないチケットだったので、全額パーに……。問い合わせしようにも、メールからeチケットや連絡先をローカルにダウンロードしていなかったので、電話での連絡も取りようがありません。というか、ケータイも圏外ですし。
LCCを予約するときは、余裕のある日程ですることをおススメします!
1万人以上が避難 |
↑当時のニュースによれば、1万人以上が避難したとのこと。 |
当時の状況を報じるニュース記事(関連サイト)。
電波を探し歩いて、海辺でノマド! |
↑延泊した夕方には雨が止んだので、電波を探して歩きまわり、ようやく海岸の波打ち際でキャッチ! 夢中で通信をしていたら、潮が満ちてきて波にのまれそうになりました。 |
■仕切り直してシンガポールへ
延泊した翌朝、同じタクシードライバーがホテルに到着。どうやらギリギリ通行できるようになり、バスターミナルまでは行けるとのこと。さっそくチェックアウトして、バスターミナルに向かいます。予定では10時半のバスに乗り、夕方にはシンガポールに到着。シンガポールで晩ご飯と観光を済ませたら、深夜便で日本に向かうというスケジュールです。
ところが、バスターミナルに到着してみると、10時半のバスは運休。直近で出発するバスは13時45分とのこと。しかたなくバスターミナルで時間をつぶしますが、シンガポールで遊んでいる時間はこれでなくなってしまいました。
バスターミナルも浸水 |
↑数日前はピカピカだったバスターミナルの1階も浸水で被害を受けていました。 |
売り物も台無しに |
↑スタンドに刺さった雑誌や新聞もびしょ濡れ。店舗も当日はひとつしか開いてませんでした。 |
なんとかバスターミナルで時間をつぶし、13時45分のバスに乗り込みます。昨日乗ろうと思っていたバスは、シンガポールまでの直通ですが、当日はそのバスはなく、国境のジョホールバルまでとなります。運賃は30.4リンギット(約960円)でした。
ジョホールバルまでのチケットを確保 |
↑予約なしでも買えました。ただ乗車したら満席だったので、朝イチに行っていないと買えなかったかも。 |
真っ赤な車内 |
↑ジョホールバルまでのバスは、1席と2席の2列で椅子は大きめ。車体も赤でしたが、車内も真っ赤です。 |
バスは時間どおりに発車。道路は盛り土をしてすこし高くして作ってあるため、道路が冠水していたのは2ヵ所だけでしたが、両サイドの住宅街は冠水したままの家も多くみられました。
冠水した住宅街 |
↑雨が止んでから一晩たっても冠水したまま。住民の人たちが無事避難できているといいのですが……。 |
この路線も食事休憩あり |
↑ジョホールバルへの路線も途中でトイレ兼食事休憩有り。缶のコカコーラと合わせて、ひと皿9リンギット(約280円)。 |
バスの椅子は幅が広くて座りやすいのですが、前の人が思いっきりリクライニングさせてきて、頭が目の前に来るほどの圧迫感。しかも自分の席は後方にドライバー用の仮眠室が作られていてリクライニングできず。ちょっと窮屈な思いで道中を過ごしつつ、出発してから約6時間半かけて、シンガポールとの国境の街ジョホールバルに到着! 東南アジアの長距離バスもひとまず終了です。
ラーキンバスターミナル到着! |
↑ジョホールバルにあるラーキンバスターミナル。ここからマレーシア各地へとバスが出ています。 |
ここでもSIMが買える |
↑バスターミナルにはSIMを販売するショップもあるので、シンガポールから入国してきたときは、ここでマレーシアのSIMが購入できます。 |
ちなみに、UmobileとCelcomですが、やはり大手のCelcomのほうがエリアが広かったです。ただし都心部に入ると、Umobileのほうが速度が安定していて快適になりました。私がマレーシアを離れた直後に、どちらのキャリアもプリペイドでのLTEサービスをスタートさせましたので、次回訪問するときは、LTEの使い勝手をチェックしてみようと思います。
マレーシアのルート |
↑東海岸沿いに南下してきました。バスの運賃は2路線で66.4リンギット(約2100円)と激安です! |
マイマップでおおよそのルートも公開しておきます(関連サイト)。
あとは国境を越えてシンガポールに入るだけ。この時点ですでに20時を回っていて、フライトまでは残り6時間ちょっと。シンガポールではなにかできるかな? というわけで次回に続きます!
旅費メモ(マレーシア滞在7日/累計22日)
●交通費(長距離のみ)
スンガイコロク-コタバル 5.1リンギット(約161円)
コタバル-クアンタン 36リンギット(約1140円)
クアンタン-ジョホールバル 30.4リンギット(約960円)
合計 約2261円
(累計 3万7181円)
●宿泊代
コタバル1泊 65リンギット(約2050円)
クラブメッド・チェラティン4泊 約8万円
合計 8万2050円
(累計 10万2550円)
●通信費
Umobile SIM&チャージ 55リンギット(約1740円)
Celcom SIM&チャージ 30リンギット(約950円)
合計 約2690円
(累計 約1万7690円)
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