今日、7月11日って、日本でiPhone3Gが発売された日ということらしい。2008年当時のリリースを見ると「iPhoneとiPod
touch用の500以上のネイティブアプリケーションも同時に提供開始」なんて書いてある。なんとノンビリしたことか。500本だって?
あれから、4年も経過して、何が変わったのかというと、いろんなことがあるんだけど、私は、「完全に新しいユーザーをつかまえた」というのが最大の変化だと思う。
アスキー総研の調査「メディア&コンテンツサーベイ」では、毎回「1、2年以内に欲しいもの」というのを聞いている。2010年12月の集計結果を見ると、iPhone欲しい率で、20代女性が目だって高くなっている。そこで、セミナーなどで「これから女子iPhoneがくるゾ」と発言していた。これは、2011年4月の「iPhone4」ホワイトモデル発売でみごとに爆発するわけなのだが。ところが、2011年12月の調査と比べると以下のような具合なのだ。
※2010年12月と2011年12月で比較するとiPhoneを欲しい人のユーザー構成は劇的に変化した。
まあ、いま見れば2010年12月というのはテレビ東京のWBSとかでガンガンやっていたから、60代女性以外のほぼすべての層が「iPhoneいいなぁ」と感じていた状態だろう。それが、2011年12月では、10代、20代女性が、全世代を出し抜くようにズバ抜けた数字になっている。こんな年齢構成になっている商品というのはほかに例はあるのだろうか?
たぶん、後世にマーケティングの世界で「iPhone形」と伝説される特別のパターンではないかと思われる。
最近、10代女子の買うスマートフォンのほとんどがiPhoneだという話題があったが、アスキー総研的には半年前からしつこく指摘していたことなのだ。ちなみに、20代女性は「iPhoneを現在所有している」という人も8.5%と、すでに全世代でトップとなっている。10代女子は欲しいけどまだ買ってもらえない子もいて3.6%とかわいい数字になっている。
実際、このようなことになることを早めに感知してiPhoneアプリを女性社員に見せて受けをねらっていたオヤジどもが、全国推定3万人くらいいたはず(あのビールを飲むふりするアプリとかですね=いや懐かしい)。それにしても、ここまでiPhoneだけがモテまくっているとなると、正直、なんとなく嫉妬の念もわいてくるというものだ。
市場全体を見れば、かならずしもiPhoneだけが売れているわけでもない。MM総研によると、2011年度の国内のスマートフォン出荷台数は2417万台だが、このうちアップルは725万台で、約30%のシェアとなる。アスキー総研のデータでも、20代女子のiPhone利用率は8.5%だが、Androidの利用率は11.1%。なんと、20代女子でもAndroidのほうが使われているのだ。
つまり、iPhoneは若い女子には受けているが、いざとなるとAndroidを買う女子が多いということになる。1年前に「欲しいか?」と聞いたときも、20代女子は12%がiPhoneを欲しいと言っていて、Androidの10.4%より多かったのに、結果は入れ替わってしまったということになる。これって、女は信用できないなんてことは私は絶対に言いません。
しかし、このままいくと何しろ「1、2年以内に欲しい」といっている10代、20代女子がこれだけいるのだから、まだまだ女性におけるiPhoneシェアは増えるのではないか? 実際、2011年12月の調査では、60代女性さえ7.7%が「iPhoneいいわぁ~」と言っているのだ。
はたして、この現象、どこまで続くのか。AndroidやWindows Phoneが、一矢報いることはあるのか? 来年の今日、ふたたび検証することにいたしましょう。
【筆者近況】
遠藤諭(えんどう さとし)
アスキー総合研究所所長。同研究所の「メディア&コンテンツサーベイ」の2012年版の販売を開始。その調査結果をもとに書いた「戦後最大のメディアの椅子取りゲームが始まっている」が業界で話題になっている。2012年4月よりTOKYO MXの「チェックタイム」(朝7:00~8:00)で「東京ITニュース」のコメンテータをつとめている。
■関連サイト
・Twitter:@hortense667
・Facebook:遠藤諭
週刊アスキーの最新情報を購読しよう
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります