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MWC2012:2年ぶりノキアが見せた王者の貫禄【山根博士寄稿】

2012年03月04日 23時22分更新

 昨年もノキアの姿はなかったけれど予想したとおりMWC2012で2年ぶりに出展。Windows Phone×2、Symbian×1、そして3つのフィーチャーフォンを発表した。ここ数年はハイエンド端末市場だけではなく新興市場でも苦戦を強いられていたが、いよいよ反撃に打って出る年として攻勢をかける。

大賑わいのMWC2012ノキアブース
MWC_NOKIA

 ノキアがスマートフォンプラットフォームをSymbianからWindows Phoneに切り替えると発表したのはちょうど1年前のこと。その後、Symbian製品はOSのバージョンアップに注力し、これといった新製品は出さずにWindows Phoneの開発に注力を続けていた。そして2011年秋にようやくWindows Phone2モデルを発表。上位モデルのLumia 800はカラフルかつホールディングしやすいボディーを採用し、スペックこそWindows Phoneの他モデルと同等だが、カールツァイス製のカメラユニットやノキア独自のアプリケーションを搭載するなどして他社品と大きく差別化されている。一方、Lumia 710は200ドル台のミッドレンジモデルで、こちらもカラフルなボディーが特徴だ。

ラインナップが拡充したノキアのWindows Phone
MWC_NOKIA
↑MWC2012で発表されたLumia 900はLumia 800をスペックアップした製品で、ディスプレーやバッテリーサイズの大型化が図られている。先月ラスベガスで開催されたCES2012ではアメリカのAT&T向けに同モデルがLTE対応品として発表されたが、ヨーロッパではDC-HSDPA、42Mbpsの高速通信対応となる。本体のカラーやデザインはLumia 800をひと回り大きくしたものになっており、生まれ変わったノキアのデザインを大きくアピールしている。
低価格の戦略モデル『Lumia 610』
MWC_NOKIA
↑そして、もうひとつの新機種、Lumia 610はWindows Phone Tango搭載で、スペックを若干抑えながら価格は189ユーロの予定。プリペイド販売でも100ユーロ以下の低価格で販売することができるレベルだ。この低価格品の投入により新興市場でのシェア拡大が見込まれるだけではなく、世界中でまだ同社のSymbianスマートフォンを使い続けている利用者の他社製品への流出を食い止めることも可能になるだろう。
“フィーチャーフォン以上”Ashaシリーズ
MWC_NOKIA
↑また、エントリーモデルはフィーチャーフォン『のAsha 202/203』と『302』を発表。こちらは中国系メーカーに新興市場でシェアを大きく奪われているが、Asha 202はフルタッチ&ホットスワップ可能なデュアルSIMカード&高速なブラウザを搭載しながら60ユーロ台の価格を実現。Asha 302はWi-Fi搭載やExchange対応などビジネスユースにも対応。安いだけの低価格品ではなく、このクラスを買う層にとってコストパフォーマンスの高い魅力的な製品に映るはずだ。
驚きの4100万画素カメラ搭載『808 PureView』
MWC_NOKIA
↑さらには新製品発表会に参加していた全メディア関係者が驚きの声を上げたNokia 808 PureViewは大きな話題をさらった。808 PureViewは4100万画素という超高解像度なカメラを搭載し、スマートフォンのカメラの使い方の概念をも変えさせる製品だ。
デジカメの使い方が変わる
MWC_NOKIA
↑OSはSymbianだが、ノキアはこれを同OS搭載のスマートフォンではなく“究極のイメージングデバイス”として売込みをかける姿勢だ。もちろん、808 PureViewはすべてのユーザーに訴えかける製品ではない。だが、スマートフォンOSをWindows Phoneに一本化したことから、Symbianを利用することで自由奔放な、そして突拍子もないような機能を搭載した製品を開発することも可能になったのはないだろうか。
2012年、ノキアの攻勢はじまる……
MWC_NOKIA

 2011年、ノキアは出荷台数の伸びが鈍化しマーケットシェアが低下した。これは新製品の数を大幅に絞った結果である。しかし、このおかげで複雑怪奇な製品番号がすっきりと整理され、主力モデルはLumiaとAshaの2ラインに絞られた。フィーチャーフォンからスマートフォンまで製品ストリームは一本でつながっており、そこに808 PureViewのような製品が加わることでノキアの製品ラインナップはわかりやすく、そして充実したものとなった。2012年はLumiaとAshaのラインがさらに拡充されるだろうから、ノキアの市場での存在感は大きく復活すると私は読んでいる。

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