(インタビュー前編)
「書いてて気持ちがいいとか、楽しいとか、
そこが、今、いちばん伝えたいところ」
――会社で『7notes for iPad』を試してみたら、逆にiPadが欲しくなりました。書いていて単純に楽しくて気持ちいいっていう不思議な気持ちになります。
岩田「もちろん、便利だとか、効率がいいとか、そういうホメ言葉もうれしいんですけど、やっぱり、書いてて気持ちがいいとか、そこが我々としては今いちばん伝えたいところなんですよね。“手書きで書くこと”が楽しいじゃないかと。書くこと自体ですね。そこがやっぱりみなさんに伝わると、我々としてはありがたいことだと思いますね。」
――現在、『mazec (J) for Android [β版]』はIMEであってテキスト変換だけですけど、iPad版を使ってしまうと、自分の手書き文字をそのままAndroid端末でも使いたい、っていう欲求が出てきますね。
社長「ええ。『mazec (J) for Android [β版]』のIMEの部分は、多くの人たちに着目されたりして、欲しいとおっしゃっていただいてるんですけども、自分の手で書いた文字も非常に魅力がある、おもしろさをもったものなんですね。今回は『一太郎』や『ATOK』を開発していたときと違って、エディターがあるからこそ初めてアピールできるという部分が非常にたくさんあります。
9月末に『mazec (J) for Android [β版]』が正式な有料版になるときには、もっと幅広い機能を提供したいと思っていますね。」
岩田「今、iPhone版『7notes mini (J) for iPhone』とかiPad版『7notes for iPad』で特に評価が高いのは“後から変換”なんですよ。変換を待たずにどんどん書いておきたいっていう要望が強くて。『mazec (J) for Android [β版]』にも7notesと同じ機能を、という声でいちばん大きいのも、やっぱり“後から変換”をやりたいから、といういう要望です。」
宮田「もともと、企画にはなかったんですよね。
最初のバージョンが出て、そのあと言われたんですよ、“これもう変わらないの?”って。」
専務「希望はあったんだけど、開発はもうたいへんだったので、あんまり言わなかったんです。」
植松「発表後すぐに、ユーザーの方からも一括変換できないかというご要望があったんですけど、でも、よくよく考えると“一括変換”って便利そうで結構ややこしい。で、“後から変換”っていうUIはものすごくはまってたんですよね。わかりやすいですし、覚えることは何もないですし。」
――書いていて、横の文字とくっついちゃった字は離せるじゃないですか。縦に重なっちゃった字はもうどうしようもないんでしょうか?
植松「少しずれてれば重なったのもいけますよ。こんなふうに、あいだをちょっと長押しすれば。」
――あ、2つの漢字として認識された!! スゴイ!
社長「複雑な入れ子になっていてもですね、それをどう分けるかというのを技術部門が考えて、こんなふうに、自然にスッとできるようになったわけなんですけど。先日、OCR技術を研究されてた方にお会いして、今のをデモしたら、すごく驚かれて。「おまえたちはとんでもないことやったな。組み合わさっている漢字が分かれるのは初めて見た。それだけで買う!」 と言っていただけて(笑)。」
植松「最初にリリースしたときにはできなかったんです。 でも今は普通にできるようになりました。かなり、便利に。」
「実は“手書き文字認識ぃ?”
みたいな気持ちもありました。」
岩田「今までのやりとりを聞いておわかりになるとおり、社内でもそうやって驚いたり、すごいなーっとかおもしろいなーって言いながらつくっているんですよ。」
社長「まず社内だよね。いちばん最初に驚くのは(笑)」
岩田「最初は、“手書き文字認識ぃ?”みたいな気持ちも実はあったんですよね、やっぱり。過去に某PDAでもやってたけど結局……みたいなことがイメージとしてありました。
だからいちばん最初に見たときは、本当にびっくりしたし感動したので、機能アップするたびに、まず最初にユーザーさんにそういう気持ちを同じように伝えられたらいいなって。すごいでしょ? すごいでしょ? っていう思いが伝わるといいなぁと(笑)。」
――逆に昔の手書き文字入力を知っている人にこそ見せたいですね。
岩田「そうです、そうです。」
植松「昔の不便さからはずいぶん違ってきているから。」
社長「だいたい、私なんかも技術部門に、“次はこんなもんが欲しい、あんなもんが欲しいっ”と言うほうなんですけど、動きはじめたときにいちばん、わーっ!て喜ぶのも私達ですね。
世の中の誰よりも先に喜んでるというのは、そこだけが醍醐味ですね(笑)。そうするとね、世の中の人たちもこれを発表するとすごいだろうなって。それが楽しみでね、驚かしてやろうって思うんですよ。」
――ところで英語版の7notes、『7notes HD』(無料)と『7notes HD Premium』(800円)が出たばかりですよね。素朴な疑問なんですが、筆記体でも書けるんですか?
植松「ええ。日本語版は筆記体に対応していないんですが、英語版は対応してるんですよ。」
宮田「編集のときに筆記体のつながった文字が切り離せるのは、最終段階でやっさもっさ言って入った技術なんですね。」
専務「けんけんがくがく 、切れるのはおかしいとかいう哲学論から入って、でも切れなきゃちょっと間違えたとき困るじゃんという話があって。」
宮田「ちょっとゴムが伸びるように伸びていくんです。よく見ていただくと。けっこう凝ってるんですよ。」
------筆記体編集中-------
一同「おおーーーーーーー!」
宮田「プチって感じで(笑)。英語版に関してはできるんです。長い一本つながりなんで。日本語版に関しては、ペンとかで別れているので……」
植松「日本語版でも欲しいなぁ。」
宮田「いや、日本語版は……(笑)。」
(後編につづく)
※週刊アスキー10月25日増刊号(9月13日発売)の特集『最新手書き文字入力がスゴイ』では、『mazec (J) for Android [β版]』のほか、いろいろな手書き文字入力アプリをご紹介しています。付録のタッチペンを使ってぜひ、最新の手書き文字入力を体験してみてください。(※液晶保護シートの種類や、端末のタッチセンサーの精度によってはうまく認識しない可能性があります。)
『7notes for iPad』
App Store価格:800円
(バージョンと価格は記事作成時のものです)
『7notes mini (J) for iPhone』
App Store価格:450円
(バージョンと価格は記事作成時のものです)
『7notes HD』
App Store価格:無料
(バージョンと価格は記事作成時のものです)
『7notes HD Premium』
App Store価格:800円
(バージョンと価格は記事作成時のものです)
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