週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

【Imagine Cup 2011レポート9】ゲームデザイン部門の審査員を務めた水口哲也氏にインタビュー!

2011年07月21日 09時30分更新

 コンペティションに参加する学生同様、審査員も世界各国から招へいされるImagine Cup世界大会。ゲーム部門では、ゲームクリエイターの水口哲也さんが審査員として参加。すべてのコンペティションを終えたあと、今年のImagine Cupについてお話を伺いました!

ゲームデザイン部門審査員の水口哲也さん

ImagineCup2011

↑Xbox360の『Child of Eden』の開発を手がけるほか、音楽や映像など幅広いジャンルで活躍。


――審査を終えていかがですか?
水口氏 今年初めての参加ということで新鮮な目で見ていたんですが、まず驚いたのが、世界中で35万人、183の国と地域から学生が参加しているということです。しかもテーマが、“今世界がかかえている問題をソフトウェアの力で解決する”。さらに、“アイデアだけでなく、実行もともなっていなければならい”というレベルの高さ。これは新鮮な驚きでしたね。

――審査をされて、学生たちのレベルはいかがでしたか?
水口氏 レベルは非常に高く、プロの作品と比べても遜色がないと思いました。これはゲームをつくるツールの進化が大きいです。今回、Windows/Xboxカテゴリーでは、『Microsoft XNA』(編集部注:マイクロソフトが無償配布しているゲーム開発ツール)の使用が規定されていたのですが、それ以外にも無償や低価格で入手できる開発ツールがそろってきています。ゲームの開発環境という面では、学生たちのようなアマチュアとプロとの差がどんどん縮まっていますね。

審査員としてプレゼンをチェック

ImagineCup2011

↑各国のプレゼンを審査する水口さん(中央)。Imagine Cupの審査員は今回が初めてで、世界の学生のレベルの高さに驚いたという。

――特に注目したチームはありますか?
水口氏 これはゲームデザイン部門ではなく、ソフトウェアデザイン部門なのですが、Kinectを使ったリハビリシステムを開発したルーマニアチームですね。具体的にいうと、Kinectというのは公式のSDKでも、手の先の動きをキッチリとトレースできます。しかし、彼らのシステムは、指の1本1本までトレースしていました。公式のSDKを遙かに凌ぐ精度をもったSDKを開発しているわけです。
 しかも、それをゲームではなく、ゲーム感覚で行なえるリハビリテーションに採用するという発想に驚きましたね。

ルーマニアチームに感心!

ImagineCup2011

マイクロソフトの公式SDKを遙かに超えるものを作成して水口さんをもうならせた、ソフトウェアデザイン部門のルーマニアチーム。

――逆に残念だったポイントはありますか?
水口氏 うーん……ゲーム部門に日本チームがないことですね(笑)。ゲームってグローバルフォームなんで、ユーザーは世界中にいます。もちろん制作者も世界中にいて、そのレベルを知るのには、このImagine Cupっていうのはすごくいい機会だと思います。
 自分たちでアイデアを出して、ゲームを作成し、さらにプレゼンをする。もちろんそのときは、英語で行なうのでとてもたいへんだとは思います。でもこれが今の世界の現実なんです。

――世界と日本ではそんなに違いがあるんですか?
水口氏 最近仕事柄世界を回って若い人と話すことが多いのですが、みんな英語をちゃんと話せるんですよ。人によっては日本語で話せる人もいる。これは、世界の若者たちが「世界の文化のことを知りたい、コミュニケーションをとりたい」という意識をもっていることの表われだと思います。
 ところが、今の日本は逆行していて、どんどん内に向いてしまっている。これはすごくまずいことだと思います。でも、僕はこのまま行くとは思っていません。時代って常に動いているので、それが行きすぎると、もっと外へ出て行こうという若者が増えてくると思います。そういう若者に、このImagine Cupにチャレンジしてほしいですね。

世界の学生に大人気!

ImagineCup2011

↑大会中は、いたるところで水口氏にサインや記念写真をお願いする学生を見かけた。日本の若者も水口さんのように世界に通用するクリエイターを目指してほしい!!

 日本の現状を憂いつつも、未来の若者のチャレンジに期待している水口さん。ゲームで世界をうならせてやる!という気概をもつ若者は、ぜひとも来年のImagine Cupにチャレンジを!!

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう