エプソンのスマートグラス「MOVERIO」(モベリオ)。その最新モデルとなる「BT-300」は、独自開発のシリコンOLED(Si-OLED)ディスプレイを採用するなど、これまでよりも大胆な小型軽量化を実現している。そこには、シリコンOLED採用だけにとどまらず、「削れるところはすべて削った」という多彩な工夫が盛り込まれているのだ。そのBT-300のこだわりについて、ビジュアルプロダクツ事業部HMD事業推進部の主任である髙木将行氏と鎌倉和也氏に話を聞いた。
すべてのメガネに対応したい
シリコンOLEDは、従来に比べて小型軽量でありながら高輝度・高コントラストでレンズに表示される映像が格段に向上した。OLED(有機EL)はそもそも自発光デバイスであり、従来の液晶ディスプレイに比べてバックライトが不要となり、小型軽量化が実現できる。
MOVERIOはスマートグラスであり、基本的なデザインは一般的なメガネに近い。装着すると、目に対して幅広いレンズが搭載されている。これは、日本人の場合メガネをかけている方の割合が高いので、メガネを常用している状態でも気兼ねなく装着できるようにするためだ。BT-300は、レンズだけを本体にセットできるアダプターも用意しているものの、メガネの存在を考えると「このサイズが限界」(髙木氏)だという。
それでも、上下の幅を限界まで削るなど、光学レンズのサイズも小型化している。実は、本体の幅自体は大きくなっていて、これは、前モデルまでは大きなメガネが干渉して入らないことがあったために力を入れた。「どうせやるなら、すべてのメガネに対応したい」(同)ということで、幅を広くしたという。その一方で、本体の内側の幅でスリム化を図ることで、トータルでの横幅がそれほど広がらないようにしたと明かした。
このスリム化に影響したのが、投射レンズの小型化だ。シリコンOLEDの光をメガネのレンズに投射するためのレンズで、OLEDからの光を内側に集光するように射出する技術を使うことなどにより小型化が可能になったという。
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