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業界最速! エプソン開発陣が「MOVERIO BT-300」分解レビュー

「MOVERIO BT-300」徹底分解! これが、"こだわる"ということだ!!

2016年11月29日 11時00分更新

装着感に影響する鼻あて部分と"ツル"に、メガネならではの技術と考え方を採用

 デザイン上では、従来のプラスチックの鼻あてから、ワイヤーと鼻あてのタイプになった。これは、メガネメーカーと協業したことで実現したという。ワイヤー部分はチタンを採用しているが、「チタンを扱える業者が意外に少ない」(鎌倉氏)ため、メガネメーカーとの協業で実現した。このワイヤーを成形する技術も、このメガネメーカーによるものだという。鼻あてもシリコンを採用しており、ズレにくくした。

従来のプラスチックの鼻あてから、チタン製ワイヤーとシリコン製鼻あてのタイプになった

 軽量化したBT-300とはいえ、一般的なメガネよりは重量があるため、ワイヤーも重さに耐えられるチタンを採用するといった部分もメガネメーカーの提案によるものだそうだ。

 こうした工夫では、今まで付属していた耳かけをなくした。ツルを内側に巻き込むようなデザインにし、ラバーも配置したことでズレなくなったとのことだ。これが実現したのも、本体が軽量化したからだ。

ツルを内側に巻き込むようなデザインにし、ラバーも配置したことでズレなくなったとのこと

 ちなみに、一般的なメガネは装着したとき、10~15度ほど下に傾いているということで、BT-300でも10度傾けて装着される。その方が自然に映像が見られるのだという。

 軽量化し、小型化したことで、こうした「メガネ」と同じ技術や考え方が導入されたのもBT-300の特徴だ。

シリコンOLEDと光学レンズの位置合わせに専用機器を導入して組み上げ

 同じメガネ型ウエアラブル機器でも、他社製の片目に映像を表示するタイプの場合、片目に映像を映すと、人間の目はどこを見ていいか混乱する視野闘争が起きる。そのため、MOVERIOは両目に映像を表示して視野の一部に映像が浮かぶ複眼タイプを採用した。この場合、両方の光学レンズに表示される映像がほんのわずかでもずれると、きちんとした映像が表示できない。

 この位置合わせは、シリコンOLEDを本体に接着する際に、専用機械が自動で位置合わせを行うという。このために作られたという専用機器だが、シリコンOLEDになって部材が減ったこともあって、位置合わせが簡単になるというメリットもあったそうだ。

初代からこだわり続けているケース - 「500mlのペットボトル」サイズ

 こうして完成したBT-300だが、もうひとつ、大きな工夫がある。それがケースだ。これまでのケースは、大型のケースだったため、持ち運びのしやすさでは課題があった。BT-300自体が小型化したことに加え、これまでのノウハウを盛り込んだ結果、ケースサイズが「500mlのペットボトルサイズ」まで小型化できたのだ。

写真左が「BT-300」のケース。こちらもひと目でわかるほど小型化している。「500mlのペットボトル」サイズにこだわり続けてきた成果だ

 これは、初代の頃から目指していたサイズで、実際にはペットボトルよりはやや大きいが、一般的なバッグによくあるペットボトルを収納するポケットにすっぽり入るサイズに収めたのだ。

500mlのペットボトルとの比較。一般的なバッグによくあるペットボトルを収納するポケットにすっぽり入る

ケースを開けたところ。持ち運び中のゆれや衝撃などが「BT-300」に影響しないよう、ケース内の配置も考え抜かれたものだ

当初から求めていた形が実現した

 BT-300は、持ち運びやすくなったうえに、メガネと合わせて装着しても違和感の少ないデザインとサイズになった。HMD事業推進部部長で、MOVERIO事業を主導する津田敦也氏は、BT-300によって、当初から求めていた形が実現したと笑みをこぼす。エプソンが考えるスマートグラスがいよいよ登場することになるからだ。

 究極まで完成度を高めたBT-300は、スマートグラスの新たな世界を切り拓く可能性を秘めた製品といってもいいだろう。

(提供:エプソン販売)

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