11月27日に開催された「集まれ!IoT/ハードウェアスタートアップ by SORACOM」では、注目のIoT関連のスタートアップが多数登壇。アスキーではすでにおなじみの企業も含め、最新のIoT活用の事例やプロダクトまとめとしてお届け。
IoT利用拡大をSIM側から支援するソラコム
イベントを主催したソラコムは、IoTデバイスでの利用に特化したSIMの販売と、IoTクラウドプラットホーム提供を企業向けに行っている注目のスタートアップ。
クラウド上に実装したパケット交換機を核としたMVNOサービス「SORACOM Air」など、ソラコムはSIM販売を行う通信事業者として、エンタープライズやスタートアップに対して、セキュアでローコストにIoTデバイスをクラウドへつなぐサービスを提供している。
同社の売りは、1つのデバイスから数万、数百万のデバイスのデータを活用する際の低コストで柔軟なデータ通信ソリューション。SIM側からのコントロールで、オンオフや帯域の絞り込みなどプログラマブルな柔軟な対応がクラウド上から可能になることで、たとえばスマートロックの遠隔施錠をはじめ、これまで以上にIoT製品を使いやすくできる。
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イベントに集まったスタートアップもいくつかはすでに同社サービスを利用しており、ソラコムとしても本格的なIoT利用拡大を求めている。ここからは、それに応える各社のサービスをライトニングトークから抜粋して紹介しよう。
あらゆるIoTのニーズに対応して展開するZ-works
Z-works(ジーワークス)は、在宅での介護支援と施設支援を目的とした廉価なホームセキュリティーサービスとして、IoTシステムLiveConnect(ライブコネクト) を展開している。だが実際のところ、LiveConnectには同社が持っている仕組みの1つを切り出しただけだったという。
同社の核は、IoTプラットフォーム「Life Engine」クラウドサーバーの開発と運用。ひも付けるデバイス対象をプラットホーム上で自由に追加できるのが特徴だ。
たとえばクラウドファンディングで提供したスマートデバイスは4種類だけだったが、今後も対応センサー・スマートデバイスは増えていくという。
使い道も家庭内に限らず、あらゆるIoTのニーズに対応して展開が可能。現在は、半永久的に動く屋外に設置した風力計からデータ送信をするなど検討中だという。
プラレールやミニ四駆などを気軽にIoTデバイス化するMabeee
ノバルスが手がけるMabeee(マビー)は、スマホで操作ができる乾電池型IoTガジェット。
プラレールやミニ四駆、電池を使った工作などに装着することで、オンオフや電流の強弱を調整できる。スマホを振ったり傾けたりすることで電流の強弱が調整でき、それが動作に反映される。
スマホはある意味、最も普及しているIoTセンサーの1つ。デバイスに搭載されているジャイロ・オンオフ・シェイク・音声・距離などで電池の出力を調整できる。
わかりやすい入り口としてトイ、ホビーから知育教育として展開しているが、将来的には、イベント、福祉、スマートホームなどでの幅広い活用を予定しているという。
デスクワーカーのためのIoTサービスcuxino
Strobo (ストロボ)が手がけるcuxino(クッシーノ)は、ネット連動のセンサーやアクチュエータを椅子に装着して、姿勢のリアルタイムモニターを行うというもの。 スマホのアプリ上で、姿勢のよしあしを判定して伝えてくる。
同社が解決するのは、座り過ぎでの健康問題。同社によれば、健康的に座っても大丈夫なのは1日に6時間まで。アプリを通して座った様子をビジュアル化するSittingログを提供することで、より健康的なワークスタイルが実現できる。福利厚生としても、導入したい企業が多そうなサービスだ。
今後、APIでの在席管理や出退勤サービスとの連携も可能。さらに、複数の起業でもテスト導入予定だという。
IoTでシェアルーミングの負担を解消
スマートロックのNinja Lockを手がけているライナフがプレゼンしたのは、不動産の時間貸しポータルサイト『シェアルーミング』。
不動産のシェアリングといえばAirbnbがあるが、企業レベルで見ると、あまりにも貸し出しでの負担が大きいという。多くの個人の貸し主は、予約から鍵の管理、緊急対応、清掃などなど、実際に招き入れるところで多くの作業が必要となる。
この欠点を解消したら不動産は生きるのではないかと、自社のスマートロックと完全連動したサービスを展開している。
不安の解消が求められるシェアリングエコノミーだが、ホスト側から提供できる仕組みでなければいけない。
ちなみに、Ninja Lockはアスキーストアでも販売中。Wi-Fiを内蔵し、インターネット経由で遠隔で鍵の開閉が容易なのがほかのスマートロックとの差別化ポイントだ。
手間のかからないIoTサービスプラットホームを提供
AllegroSmart(アレグロスマート)が手がけるのは、B2BのIoTクラウドサービス。
同社が得意とするのは、多種で大量な時系列データの処理。さまざまなデバイス、センサー、組込機器、ビジネス・アプリケーションと柔軟に連携したサービスプラットホームを提供する。
連携対象となる属性情報をWEB画面から登録するだけで、ノンプログラミングで簡単かつ迅速にデータを収集・統合できるという。
具体的な想定利用例では、外部の環境情報や気象情報と個人の健康情報をかけあわせると、未病がわかるという仮説をたてている。心拍数はストレスのかかり方で揺らぎがでる。その変化について、外部のAPIも含め、気圧計・心拍計でのさまざまな定量評価が必要だという。
IoTを始める敷居の1つは情報処理を行うサーバーサイドに寄っているが、手間をかけずに手早く始めるところで同社は強みをもっているという。
スマートロックAkerunでおなじみのフォトシンス
スマートロックAkerunを開発するフォトシンスは、現在のスマートロックの利用における解決すべき課題を説明。
たとえば宿泊施設での実証実験をしたが、アプリのインストールは一泊利用には手間になってしまうという。宿泊者に多い高齢者はガラケーの利用も多く、結局は面倒になってしまうこともあるようだ。
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わかりやすさに注目の「まごチャンネル」
こちらはスマホ持っていても使いこなせない世代を対象とした、テレビとスマホをつないでしまうサービス。「高齢者にとってのスマホはテレビ」というわけだ。
来春出荷予定で、現在は納品に向けて調整しているとのこと。
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ワイン造りもIoTで進化
Kisvin Sienceはワイナリーを持つ東大発の農業ベンチャー。
植物に巻きつけた樹液流センサによって、最適な水分管理を行うことで繊細なワイン用ブドウの品質管理を行う。
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IoTで”クルマもスマホになる”時代
このほか同イベントでは、ガリバーの許直人氏が登壇。GREE出身で9月からガリバーに参画している同氏が手がけているのは、クルマ社会を変えるスタートアップを求めるアクセラレータープログラム。
自動車産業は50兆円の超巨大市場だが、自動運転の到来などで将来的な新車販売台数の伸び悩みも危惧されている。
そのなかで中古車の自動車流通を手がけているガリバーは、いわばクルマの情報を取り扱う企業。同社の狙いは、自動車における新たなIoTプラットホーム構築だ。
「『クルマがいらなくなる未来がくる』と言われているが、 仮に自動車の新車販売が伸び悩んだとしても、シェアリングエコノミーなどで効率化して稼働率を上げればいい」と許氏。国内には8000万台の車両があるが、実際の稼働率は3%程度でほとんどが駐車場で眠っている。仮に効率的な利用ができれば、クルマ自体のプラットホームとしての価値が自動運転時代には高まってくるというわけだ。
新しいプラットホームやエコシステムを作りだすため、世界中で各社がさまざまな方法ですべりこみを狙っている。IoTはそれを語る人や企業によって、目指す最終地点が異なるが、各分野での苛烈な戦いが水面下では始まっていることが強く感じられた。
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