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IoT&H/W BIZ DAY by ASCII STARTUP Intelブース巡りレポート

「エアタッチパネル」や「ネットモーター」、粒揃いのIoTアイデア

2016年03月29日 12時00分更新

 アスキーは3月28日、ハードウェアやIoTプロダクト関連のスタートアップ関連事業者を中心とした、ビジネスセミナー・展示交流イベント「IoT&H/W BIZ DAY by ASCII STARTUP」を開催した。展示会には20社が出展。中にはインテルから技術支援を受けた4社がそれぞれの技術を展示していた。本稿では、その内容をレポートする。

ジェスチャーで滑らかなタッチ操作を実現

 まずは株式会社エクスビジョン。東京大学の石川・渡辺研究室のスピンアウト・ベンチャーで、「エクスビジョン・ジェスチャー・システム(EGS)」を展示していた。

 テレビの前で手を動かして、有名なゲーム「angry bird」をプレイしている。どうやらカメラでその動きをスキャンすることで、PCを操作しているようだ。よくよく聞くとスマホやタブレットで使われる「タッチ操作」をジェスチャーで実現することに特化しているという。

 具体的には、インテルのスティック型PC「Compute Stick」をテレビに接続。PC画面が映しだされたテレビの前で、CMOSカメラに向かって手のひらをひらひらさせる。するとジェスチャーでタッチ操作が可能になるのだ。特徴は、独自の「高速ビジョン」と呼ばれる技術で、120fpsで映像をスキャンし、30ms以下の応答速度でジェスチャーを入力に反映できる点。

 さらに市販のCMOSセンサー、プロセッサー(Comupte Stick)、EGSソフトでそれら実現。シンプルな構成・低コストなほか、ソフト側に手を加えずに「エアタッチパネル」を実現できるのが特徴だ。

 エクスビジョンの森本作也氏によれば「リビングルームでテレビの前からジェスチャーでゲームをしたり、デジタルサイネージにジェスチャー操作を加えてプラスアルファの価値を加えたり、医療施設などでPCに触れらないシーンでの活用を見込んでいる」とのこと。

 今夏よりまずは米国でリリースする予定。日本ではインテルとともに提案していく。

ジェスチャーで滑らかなタッチ操作

デモでは「angry bird」をプレイしていた

Compute Stickと組み合わせることで、気軽に自宅のテレビをエアタッチ操作できる

あらゆるセンサーで健康状態を可視化

 primesapは、ボクシングのデモを行っていた。グローブやミットにモーションセンサーを取り付け、ワン・ツーパンチの速度やエネルギーを計測する――というデモだが、同社の技術はボクシングに限ったものではなく、「あらゆるセンサーを用いて人の健康状態を可視化するもの。センサーデータをヘルスケア分野に活用することをミッションとしている」(最高情報技術責任者の青山哲也氏)という。

 インテルの極小コンピュータ「Edison」を活用し、高速・リアルタイムにデータを収集し、刻々と変化する人の健康状態を可視化する。スポーツと相性が良いためアスリートが対象となるが、例えば筋電データをリハビリに活かしたり、バイオリズムを睡眠促進に活かしたり、その活用シーンはさまざまだ。

 「例えば睡眠の場合、バイオリズム以外にも環境センサーのデータを組み合わせることで、明るさ、騒音など環境が睡眠に与える影響を解明するのにも役に立つ。なので研究者との協力を進めている。将来的には、データをリアルタイムに取り続ける仕組みにより、健康の異変を予知することも可能になるかもしれない」(青山氏)

 4月にもコア技術をリリースする予定。データの計測・分析に加えて、活用方法のデザインからマネジメントまでソリューション化の支援も総合して行うとのこと。

primesapは、ボクシングのデモを行っていた

デモではワンツーパンチのデータを計測

あらゆるセンサーで人の健康状態を可視化

「手でひねる」動きを再現する回転モーター

 KANDA ROBOTICSは、インターネットモーター「PK」を展示。円筒形のデバイスを手でひねると、その回転の動きを覚えさせて、いつでも再現できるというもの。インテルの「Edison」(通信系)と「Arduino」(制御系)で実現している。

 「手でひねる」ということで、遠隔からビンのふたを開けたりするのかなと思ったら、代表的な例として紹介していたのは、ひな祭りの人形やアパレルのマネキンに動きを加えるという活用シーンだった。

 「完全に機会で制御された動きと違って、ある種のぎこちなさを覚えさせられる。その“ゆらぎ”が人形の自然な動きを実現する」と、プレゼンターの井上亘氏は説明する。

 また、各種センサーと連動させることも可能で、例えば「音センサーや人感センサーで人のいる方向を感知して、そちらに自動で照明を向けたり、光センサーでカーテンを自動で開閉したり、用途はさまざま。何かを“動かす”業種と一緒に何ができるかを考えていきたい」(井上氏)とのこと。

 夏頃をめどに製品化する予定だ。

KANDA ROBOTICSは、インターネットモーター「PK」を展示

ゆらぎのある回転を再現できる

マネキンに装着して動きを演出

美容院や試着室に、Webコンテンツを表示する鏡

 LIGは、鏡にWebコンテンツを表示できるIoTミラーを展示。「RasPi」と「Edison」でクラウドを介し、人感センサーにより人が通ると情報が表示される。iframeを利用してWebリソースなら何でも表示可能という。

 説明員によれば「美容室や試着室などの鏡を使うシーンでの利用を考えている。天気やニュースを表示したり、試着室でファッション雑貨を表示してコーディネートを試したりもできるかもしれない。色々な用途を検討しながら、提案しているところです」とのことだ。

LIGは、鏡にWebコンテンツを表示できるIoTミラーを展示

鏡の前を人が通ると情報が表示される

美容院や試着室などでの活用を想定

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