2019年06月14日07時00分

いま注目の空席情報サービス そのハードルが高い理由

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 「お昼どきはどこも満席で、家族とゆっくりと食事ができない」「突然トイレに行きたいと思ったけど、満室で……」

 こんなとき人は、イライラしたり、諦めたり、焦ったり、困り果てたりする。同じようなことが何度も続けば、その場所へいくことを諦めてしまったり、外出自体が億劫になってしまう。ユーザーにとっては「時間のムダ」であり、施設側にとっては機会損失につながる。

 「両者の課題を解消するには、時間を最適化すればよいのではないか」と考えたのが、株式会社バカンの河野剛進氏だ。時間を大事にするためには、空いている場所に人を誘導すること。空いている空間を知らせてみてはどうだろうか。

 そんな背景から誕生したのが、同社の空席情報サービスだ。一見、簡単に参入できそうなこのサービスだが、バカンのようにビジネス展開できている例はほかにない。6月11日にはNTT東日本やJR東日本ほか複数社より7.9億円を調達。大手企業の期待を集め、体制を増強し、海外へも展開を広げているバカン代表河野氏に、空席情報配信はなぜハードルが高いのか、話をうかがった。

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株式会社バカンの河野剛進代表取締役

「いま、空いているか」が1秒で分かる、バカンの空席情報サービス

 バカンでは現在、「VACAN(バカン)」と「QUIPPA(クイッパ)」、2種類のサービスを提供している。前者は、レストランやカフェ、トイレなどのリアルタイムな空き状況をスマートフォンやデジタルサイネージで確認できる空席情報プラットフォーム。後者は、いま周辺で購入可能なお弁当を事前予約・決済し、取り置きしてくれる、お弁当の取り置きサービスだ。

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VACAN
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QUIPPA

 空席状況のセンシングには自社開発のセンサーや、カメラなどの機器が用いられ、AI・IoTを駆使して空席情報を提供・分析する。これまでは、資金力・人材力のある大手企業でしか構築できなかった空席情報プラットフォームを、バカンでは誰もが手軽に利用できる汎用的なSaaSサービスとして実現した。

 個別のIT事業者がRFIDタグなどを用いてこうしたサービスを提供した例はあるが、それらとバカンはどこが異なるのか。この問いについて河野氏は「空席情報の配信に特化することで、総花的なIoT支援プラットフォームにあえてしないこと」だと答える。

 何でもできるツールを用いて、1社のために都度サービスを個別開発・カスタマイズをして高コストにするのではなく、誰もが簡単な設定だけで空席情報の配信を手軽に利用できるユーザーインターフェースと現場での運用を見据えたサービスに同社はこだわっているのだという。

 バカンが対象とする顧客は商業施設や百貨店、鉄道、空港など、日々不特定多数の人々が訪れる場所であるため、空席情報の表示には「見れば1秒で分かる」デジタルサイネージを採用。VDO(Vacant-driven Display Optimization)という特許技術を使い、混雑条件付きで表示を最適化する。たとえば、「空き」と判断される場合にはサイネージには空席表示を表示しているが、「混雑」と判断した場合には広告コンテンツに切り替え可能だ。

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VACANのデモ

 「そもそもリアルタイムで混雑状況を得るということは昔から考えられていたと思うが、空席情報サービスとして汎用化するための技術が難しく、価格が現実的に折り合わなかった。だが、今は技術もインフラも整ってきている。サイネージもすでに設置されているところも多いし、通信料金や液晶モニター自体の価格が下がってきた。いろんなものが相まって、今がちょうどいいタイミングなんです」(河野氏)

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