2016年01月29日07時00分

「売上を1.6倍にした人工知能」リアル店舗をウェブ化するABEJA

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インストア分析が生きているのは
GoogleやFacebookに“お買い上げ”された結果

ABEJA

 収益については皮算用ではあるが、仮に1万店舗に1台あたり15000円のカメラ3台が導入されただけでも、年間で45億円規模の売り上げ想定となる。国内220万の小売店舗10%の22万店舗で導入されるだけでも、ボリュームライセンシングして十分な規模だ。すでに数万のカメラに耐えられるシステムはさくらインターネットとも共同でつくっており、準備は整っているという。

 「ビジネスでの収益面では、カメラの設置から始まって、データがたまる、保管する、分析する、など必要に応じて用途が増えていくぶん、利用企業への価値貢献も増やせるはず。導入システムをBtoBやBtoBtoCの分野にも展開したい。たとえばカフェの混んでいる比率をAPIで出すなど、リアルタイムで混んでいる比率が配信できれば価値は大きい」

 岡田代表によれば、海外を見ても同様のディープランニング×インストアアナリティクス市場を狙っているのはABEJAのみだという。インストア施策は米国のほうが進んでいるように感じるが、ディープラーニングを活用するまでは注力が追い付いていないらしい。

 「海外はそこまで応用しなくても、テクノロジーだけでGoogleやFacebookにすぐに“お買い上げ”されてしまう。ディープラーニング分野では圧倒的にウェブのトラフィックに注力する結果になるので、そこで勝負しては勝てない。2012年の起業前は米国にいたが、Googleの周囲でディープラーニングが加速度的に成長しているのを見て、誰もやっていない領域では勝てるのではないかというのがビジネスの始まりだった」

 日本に戻った岡田代表は、ECでの自動タグ付けやソーシャルネットワークでのネガティブ検知など、実際に仮説検証を重ねてみたという。ほとんどはディープラーニングを使わなくてもよいものが多かったが、インストア領域はぴったりはまった部分だった。

 この先には、アジアをはじめとする海外市場も当然見えている。今後のABEJAの事業展開は、インストアアナリティクスをコアに導入店舗をさらに増やしていく形で、2016年8月までに数千社にまで伸ばすのが目標だ岡田代表は語った。

創業当時の地道な検証がじわりと効果

 創業から現在まで追ってみて、技術に寄ったスタートアップ企業に見えるが、実際それだけでなく技術を市場側の都合に合致させて成立させている点がABEJAの強みと言える。インストア事業に注力する以前での、ステルスでの地道な検証の結果から、方向性にブレがない。

 「創業当時から言っていることは変わってきていない。リアルでのデータもコネクションされて最適化され、企業から顧客まですべてWin-Winを取っていくのが重要。それが市場の最適化につながる」と岡田代表。

 同様の試みはスーパーや書店でも応用できるのか聞いてみると、利益率が低いビジネスモデルの場合、どのように効果を発揮できるかについては模索中とのこと。導入台数や仕組みの部分で調整するなど、コストが重い強引な技術での解決ありきではなく、お互いが納得できる地点からのサービス提供を行う線引きがはっきりしているようだ。

 テクノロジー活用についても、「大企業とは異なる目線でのすみ分けを行っている」という。たとえば人工知能による画像解析での技術的なライバルは実質的には国内大手メーカーとなるが、ABEJAはインフラや認証方面を向いてはいない。

 大学と連携し優秀な学生を技術シードとして迎え入れ、それをインストアアナリティクスでの注力ビジネスに仕立て上げる手腕はスタートアップの中でも独特。この先、同分野での特化がどこまで進化するのかが非常に楽しみだ。

ABEJA

●株式会社ABEJA (アベジャ)
2012年9月10日設立。
人工知能を活用したインストアアナリティクス事業は、成功事例をつくるためアパレルにコミットしているが、インバウンドでの声かけにも積極的。
今後、サーバー増強やカメラの大量生産での調達も予定しているが、これらはタイミングを見てとのこと。インストアアナリティクスを利用する顧客が増加し、市場が成熟するのは1~2年後と見ている。
社員数は2016年1月時点で27名。

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