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【Imagine Cup 2011レポート3】決戦直前! 日本チームの発表内容をチェックっ

2011年07月09日 23時26分更新

 今年のImagine Cupには全部で9つの部門が用意されている。そのうち、各国で国内予選が行なわれ、その勝者である代表が世界大会で決戦を繰り広げるのが“ソフトウェアデザイン部門”と“組み込み開発部門”だ。9年続く本大会の中でも伝統の競技であり、大会の華ともいえる。

 このほか、オンラインで予選を行なって上位チームが世界大会決勝に進むGame Design部門などがあったり、オンラインで勝者まで決するWindows 7 Touch Challenge部門(この部門で、日本の高校生チームIUVOが3位に入る快挙を成し遂げている。だが、NYで表彰されるのは1位チームのみ。今回、日本マイクロソフトのはからいで彼らが高校生レポーターとして帯同している。彼らの提出作品はココ。超カッチョイイ!)などがある。

 競技はマイクロソフト主催ということもあり、基本的に同社のサービスやOSを採用したソリューションを開発し、プログラミングやUIなどのクオリティーで競い合うことになる。さらに、 “テクノロジーを活用して、世界の社会問題を解決しよう” という全体のテーマが設定されており、国連のミレニアム開発目標(MDGs)を指針とした開発が必要条件となっている。この点が、一般的なプログラミングコンテストと一線を画す“キモ”といえるだろう。

 以上を満たすソリューションを開発したら、あとは大会の会場で審査員に向け、決められた時間内のプレゼンテーションとQ&Aを行ない(もちろんすべて英語で!)、自らのソリューションの優秀さをアピールするだけだ。


ソフトウェアデザイン部門のMI3

ImagineCup2011
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 ソフトウェアデザイン部門の日本代表“MI3”のメンバーは、今井祐介さん(同志社大学大学院)、今入康友さん(同志社大学)、田中志樹さん(同志社大学)、石川勇樹さん(同志社大学大学院)。MI3は、貧困地域での医療問題をクローズアップ。医師不足に悩む地域に住む人たちが、手軽でしかも正しい医療を受けられるシステム“Dr.One” を考案した。


デバイスはWindows Phone 7

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 Dr.Oneは、クラウド上に医療データベースを構築し、患者はPCやスマートフォン、フィーチャーフォンからそのデータベースにアクセスすることで問診とアフターケアが受けられるというシステム。
 フィーチャーフォンではSMSを使って、スマートフォンでは、Windows Phone 7を使い、タッチ操作で簡単に問診を受けられるインターフェースをデザイン。またクラウド側はWindows Azureを採用している。


Windows8のUIもイメージ

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 また、医療従事者向けのシステムも併せて構築しており、Bing Mapを使ったハザードマップなどが確認できるようなっている。さらにインターフェースは、発表されたばかりのWindows8で採用されている“Metro UI”を意識して作成。最新技術の取り込みをアピールして、コンペに挑む。


組み込み開発部門のSunDonation

ImagineCup2011
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 組み込み開発部門は技術要件として、使用するハードウェアとOSを指定されている。今回の要件は
●小型の組み込み型PC『eBox-3310A-MSJK』を使用
●OSは『Windows Embedded Compact7』を搭載
の2つ。
 この部門は、年々趣向が凝らされるようになり、いったいどんなハードを組み合わせたソリューションが飛び出してくるか、まったく予想できない状況になりつつある。創造力が試され、技術的にも他部門よりハードルが高くなっている。


タッチ操作で募金活動

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 この独創性がものをいう部門で日本代表となったのが、持続的な募金活動を目指すソリューション『SunDonation』だ。メンバーは、芝原達哉さん(京都大学大学院)、田中天さん(大阪市立デザイン教育研究所)、西脇春名さん(京都大学大学院)、河村辰也さん(情報セキュリティー大学院大学)の4名。液晶ディスプレーに企業広告を表示するというこのシステムは、液晶ディスプレーがタッチパネルになっており、閲覧したユーザーがタッチすると、広告を視聴した対価として企業から支援団体へ募金が行なわれるというもの。まったく新しい広告&募金モデルをつくり出そうとする、実に野心的なソリューションだ。

ドライバーも自前で開発

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 組み込み開発部門はプレゼンテーションだけでなく、実機を使ったデモンストレーションも必須となっており、実際に稼働するデモ機も制作する必要がある。SunDonationでは、インターフェースに液晶タッチパネルを採用しているが、実は開発中、ここに大きな問題が発生。なんと用意した液晶タッチパネルに、技術要件のOS『Windows Embedded Compact7』に対応するドライバーがないことが判明したのだという。そのため、募金活動のシステムだけでなく、専用のドライバーまで開発するという難題も乗り越える必要があった。なんとも苦労の絶えない部門である。

 以上、日本チームの発表内容をざっと紹介してきたが、いずれも学生レベルとは思えないクオリティーの高さ。日本大会を終えてからの2ヵ月強、全身全霊を込めてブラッシュアップを重ねてきたことがうかがい知れる最高のソリューションを用意してきた。あとはコンペティションで、このシステムの良さを審査員にどれだけアピールできるかがポイントだ。がんばれ日本チーム!

●Imagine Cup 2011
http://www.microsoft.com/japan/academic/imaginecup/2011/

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