今年4月、ANAが発表した「スーパーフライヤーズカード(SFC)」の制度改定案は、多くのマイラーや航空ファンの間で大きな波紋を呼びました。特に「決済額が低い会員はラウンジ利⽤を⼀律不可とする」という厳しい方針に対しては、「これまでANAを支えてきたのに…」と落胆や反発の声が殺到し、SNSなどで炎上する事態となりました。
こうした声を受け、ANAは2026年9月29日、内容を練り直した「再設計案」を発表しました。そもそもなぜこれほど大きな制度改定が必要だったのでしょうか。またこの再設計によって問題は本当に解決するのか。SFC歴約20年の筆者の視点から紐解いていきます。
●なぜ「300万円」なのか? ANAが抱えていた事情
誕生から40年を迎えたSFCですが、ANAによると会員数は2019年比で約1.5倍に急増しており、今後も増え続ける見通し。その結果、羽田をはじめとする国内主要空港の「ANA LOUNGE」では、ピーク時の満席や入室待ちが慢性化し、限界を迎えていました。
しかし、問題の本質は混雑だけではありません。ANAが公表したデータによると、SFC会員全体の約4割が「年間カード利用額100万円未満」、さらに約3割は「50万円未満」にとどまっていたのです。一般的なクレジットカードの平均利用額が100万円以上とされる中、SFCはステータスだけを保持し、日常の決済には使われていない「持つだけのカード」化が進んでいました。
SFC会員に快適なラウンジサービスなどを提供する原資は、⽇常のカード決済収益に⽀えられています。「日常的にカードを使ってもらわなければ、高品質なサービス自体の維持が難しい」というANAの経営上の悲痛な叫びとも言えます。
そのため9月に発表された再設計案でも、「年間決済額300万円」を境界線として「SFC PLUS」と「SFC LITE」に区分する骨組みは維持されました。シミュレーションを重ねて導き出されたこの300万円という数字は、ラウンジの混雑緩和とサービスの持続性を両立させるための、ギリギリなラインというわけです。
●LITE会員の待遇改善! 国内ラウンジ利用可能に
一方で、大きく改善されたのが「SFC LITE」会員への対応です。4月案での"一律不可"から一転し、"ANA運航便なら国内線ANA LOUNGEは混雑時を除いて利用可能(将来的に事前予約制を導入)"となりました。さらに、空港での優先チェックインや優先搭乗、手荷物優待などの基本特典はLITEでもすべて維持されます。ANA側も2027年度中に羽田の国内線ラウンジ拡充を開始することを明言しており、会員へ寄り添う姿勢を強く打ち出しました。
●なぜ「スターアライアンス・ゴールド」は戻らない?
ここでひとつ疑問が浮かびます。「国内線ラウンジを条件付きで開放するなら、なぜSFC LITE会員のステータスをスターアライアンスゴールドのままにしなかったのか?」という点です。
実はここに、航空連合(アライアンス)ならではの厳しいルールが存在します。
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