台湾のFoxconn(鴻海科技集団)は、台湾・台北で開催されたCOMPUTEX 2026の自社ブースにおいて、次世代のAIデータセンター構築に向けたインフラストラクチャーおよびサーバーソリューションを公開した。
来場者の注目を集めていたのが、同社とTECO(東元電機)などのパートナーと共同で展示した「ハイブリッドデータセンター(HDC)」。標準的な建物型のデータセンターと、設備一式をコンテナに収めるモジュール型データセンターの中間に位置するコンセプトとなっている。
従来のデータセンターは、建物の建設から設備の導入までに数年の工期を要し、コストが高く、完成後の設備拡張が困難であるという課題があった。一方で、ITサーバー、配電システム、冷却設備、無停電電源装置(UPS)のすべてを1つのコンテナに収める「モジュール(コンテナ)型データセンター」は、迅速な展開が可能である反面、大規模な展開やサーバー機器の保護という点では制限があった。
ハイブリッドデータセンターは、これら両者の利点を組み合わせたアーキテクチャーとなっている。最大の特徴は、データセンターの建物とそのインフラ設備を分離する設計を採用していること。具体的には、サーバーラックなどのIT機器は鉄骨構造の建物内(ホワイトスペース)に配置して適切に保護する。その一方で、水冷システム、配電システム、UPS、発電機といったインフラ設備(グレースペース)は、建物の外部にプレハブ式のコンテナモジュールとして配置する。
このアプローチにより、時間のかかるコンクリート造の建物を建設する必要がなくなり、建物の施工と屋外モジュールの設置を並行して進められるため、稼働開始までの工期を短縮できる。また、インフラ設備を屋外に配置することで、屋内のスペースをITサーバーの設置に割り当て、コンピュート容量を最大化することが可能となる。
さらに、ハイブリッドデータセンターは拡張性においても利点がある。AI演算能力の需要増加に伴い屋内にサーバーを増設する場合、必要となる追加の電力や冷却能力は、屋外にモジュール化されたシステムを増設するだけで対応できる。これにより、需要に応じたインフラ運用が可能となるわけだ。
ハードウェアの展示では、NVIDIAのアーキテクチャー「Vera Rubin」に対応した液冷ソリューションが公開された。NVIDIA Vera Rubin NVL72システムは、1つのトレイにNVIDIA GPUを4基搭載し、これを18トレイ組み合わせることで合計72基のGPUを稼働させる構成となっている。
実機では、前世代(GB300)からの設計変更をアピール。主な変更点は、内部の冷却チューブを削減したモジュール化設計の採用で、これまで約20分かかっていたコンポーネントの組み立て時間を5分に短縮し、作業効率を向上させている。
また、システム全体の消費電力は前世代の約14kWから25kWへと増加している。この発熱に対応するため、Foxconnは液冷システムの冷却液流量を9 LPM(リットル/分)から16 LPMへと引き上げた。加えて、冷却水のマニホールド(分配管)を2層構造に改良し、冷水と温水を分離して圧力損失を低減させることで、大電力環境下における冷却性能を確保している。
世界のAIデータセンター市場は2030年までに年平均成長率(CAGR)29%以上で成長すると予測されており、AI演算能力への需要が増加する中、迅速かつ効率的で需要に応じて拡張可能なデータセンターの構築が求められている。Foxconnが提示したハイブリッドデータセンター構想と、組み立て手順を簡略化した液冷ソリューションは、今後のAIインフラ構築における手法の一つを示しているといえそうだ。
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