週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

米Amazon、年末商戦に向けた新製品を一挙発表、生成AIの新しい体験をテーマに

2023年09月21日 03時20分更新

生成AIに対応したAlexaを使って会話のデモをするリンプ氏

 米Amazon.comは9月19日(米国時間)、年末商戦に向けてリリースする一連の新製品を紹介する恒例のイベントを開催した。

 ポイントは生成AI。2014年に登場したボイスアシスタント技術の「Alexa」。この10年で機能を大きく改善し、近年は使用されている文脈を認識し、適切な動作をするアンビエントコンピューティングをキーワードに進化を遂げてきた。EchoやFire TVなど、Alexa対応のデバイス&サービス事業を長年率いてきたデイブ・リンプ氏が表に立つ最後の舞台でもある。

自然に言語のやり取りが進む

フットボールについての会話で盛り上がった

 生成AIによる新しい可能性を提示するAlexaによって、会話をしながらシームレスに目的の情報を得ることができる。リンプ氏とAlexaの自然な会話のデモも印象的だった。エンターテインメントを楽しむシーンもさらに広がる。Fire TVのデモでは自然言語を使った会話で進化したコンテンツの検索機能が紹介されている。例えば「〇〇という俳優が探偵役で出ていた映画を探す」「○○賞を取った〇〇という題材の作品を見たい」といった曖昧な指示でも映画やドラマが探せたり、自分の年代や好みなどを伝えてそれに合ったリコメンドを得たりが可能になる。

声の抑揚も自然な会話では重要な要素。2014年当初のAlexaは写真のようにあまり変化がない声だった

現在は写真のように抑揚が大きくなり、感情の表現も豊かになっている。

 同時に、生成AIはすべての人のためのものだという点も重点的にアピールされていた。例えば、アクセシビリティとして目が見えなかったり体が悪かったりする人が音声操作で簡単に目的を果たせたり、あるいは声が出ない人が目線で選択肢(アイコン)を選ぶことで、デバイスの操作ができる「Eye gaze on Alexa」といったソリューションやシーンを紹介。シンプルな操作で使える月額固定料金のエマージェンシーコール機能「Alexa Emergency Assist」なども提供される。

視線でアイコンを選べるEye gaze on Alexa

Alexa Emergency Assistのイメージ

 一方で、子供の好奇心を刺激し成長を促す側面も強調された。製品としては子供向けの「Echo Pop Kids」(49.99ドル)のほか、「Fire HD 10 Kids」「Fire HD 10 Kids Pro」(189.99ドルから)なども紹介。WWFやAZ Animalzなどと連携して、会話しながら動物や自然について学べたり、作曲などの創作を楽しめたりする環境を提供する。

 カメラや音声に対応したデバイスであれば、人間のコミュニケーションの特徴であるボディーランゲージ、アイコンタクトといったノンバーバルな要素に配慮することもできる。人間は質問して適切な答えが返ってくることで満足を得る。それがよりよい会話の体験につながるとリンプ氏は語る。それが最適化された様々なAPIと連携し、個人に最適化された結果として反映されること、信頼性が高く高性能を保証することが大事だとする。

 そのためにAmazonは、LLM(Large Language Model)や自動音声認識の改善に取り組んでいる。

 生成AIの活用はクリエイティビティの強化にもつながる。例えば、Fire TVにはAmazonのクラウドに蓄えた写真から会話で目的のものを呼び出し、それを絵画風に加工し、インテリアの一部としてテレビに表示したり、別の部屋にあるAlexaデバイスのスクリーンと共有したりできる機能が追加される。

 イベントの最後には、渋滞中のクルマで、自動車で楽しみにしていたフットボールの試合の開始が近づいているという通知が出るところから始まり、家についてスマートホームを活用しながら観戦の準備を進め、家族や友人たちと盛り上がるといった一連のストーリーも示された。その流れが非常にスムーズである点も印象的だった。

 これらすべてが国内で利用できるわけではないと思うが、注目の新製品をピックアップして紹介しよう。

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう