週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

ゲームの“自動生成”技術がすごいことになっている

2023年07月10日 07時00分更新

元祖プロシージャルは「ローグ」だった

 PCGを使ったマップ作りは、これまでのやり方に比べて、格段に作業時間が短くなる可能性があります。

サンプルマップの外観図。同じオブジェクトのパラメータを変えるだけで、様々な岩が生み出されており、広大な空間が作り出せている。マップは3km平方メートルの空間で設定されている

 もちろん調整は必要ですが、アルゴリズムによってすべて設計ができるので、マップが何種類でもポンポンとできてしまうわけですね。ただし、事前の設計はそれなりにスキルを求められそうなので、そのノウハウ開発も今後進んでくるだろうと思います。オープンワールドのゲームを作ろうとしたとき、ワールド全体で約2km四方くらいのスペースであっても毎回プレイするごとにマップを変えられてしまう。やろうと思えば、ひとりでもオープンワールドを作れてしまう可能性が垣間見えます。

 プロシージャル生成はEpic Gamesが始めたわけではなく、すでに技術的にはいくつも出てきているものです。

 もとをたどればプロシージャルの原点はダンジョンを自動生成する「ローグ」だと言われます。決められたアルゴリズムにもとづいてマップを作る。それが木になったり、地形になったりと、複雑なものになってきた。技術的には1980年代からあった技術が発展してここまで来ているという感覚ですね。

1980年代に作られたダンジョン探索ゲーム「ローグ」(画面はリメイク版

 そして次の段階で目標になったのが、リアルタイムの動的なプロシージャル生成です。

 リアルタイムのプロシージャルがゲームの主機能として取り込まれて大きく成功したのが「マインクラフト」。一定のルールや法則にしたがってはいるものの、どこまで行ってもまったく違うゲーム空間が広がり続けるという面白さが現在までの人気を支える理由になっています。

 2016年にリリースされた宇宙探検をテーマにした「No Man's Sky」は、すべてがプロシージャルで決められた1844京個(!)もの違った惑星が存在するとされています。ほぼ無限にゲームを遊び続けられるほどの巨大な多様性がユーザーに提供されています。延々とアップデートが続けられていて、現在も新たな探索がされています。

 さらにその上位互換とも言うべきなのが、この9月に発売されると発表されたベセスダの新作RPG「スターフィールド(Star Field)」ですね。惑星だけでも1000個あるというどうかしているゲームですが、これもまさにプロシージャル技術を駆使してできている世界です。

 このあたりの技術はどの会社も開発していましたが、Epic Gamesがそれを他社でも使える環境としてエンジンに組み込んで提供しはじめたのが新しい点です。操作も連携もしやすくなり、どの会社も使いやすくなったのです。

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

この連載の記事