Ada Lovelace世代初の60番台GPUとして、2023年5月24日22時から販売が解禁される「GeForce RTX 4060 Ti（8GB）」のレビュー後編をお届けしよう。前編は3DMarkやDLSS Super Resolution（DLSS SR：旧来のDLSS）やFSR 2（AMD FidelityFX Super Resolution 2）に対応したゲームまで検証したが、後編はDLSS Frame Generation（DLSS FG）に対応したゲームでの検証を試みる。
GPU側で中間フレームをAIで推測して描画するDLSS FGは、ゲームのフレームレートを一挙に引き上げる技術だが、こうした技術はよりロースペックなGPUにこそ必要になるものである（だからこそFSR 3の登場が期待されているのだが、FSR 3のリリース時期は今だ明らかになっていない……）。
検証環境は前編と共通だ。GTX 1060はレイトレーシングの不要なゲームでのみ検証に参加させている。Resizable BARやSecure Boot、コア分離（VBS）や、HDR（Windows HD Color）はすべて有効化している。ただし、ローカルセキュリティ機関の保護（LSA）はUIが出現しなかったため無効のまま検証した。
| 検証環境 | |
|---|---|
| CPU | AMD「Ryzen 7 7800X3D」 （8コア/16スレッド、最大5GHz） |
| CPUクーラー | ASUS「ROG RYUJIN II 360」 （簡易水冷、360mmラジエーター） |
| マザーボード | ASRock「X670E Pro RS」 （AMD X670E、ATX、BIOS 1.24.AS02） |
| メモリー | G.SKILL「F5-6000J3038F16GX2-TZ5N」 （16GB×2、DDR5-5200動作） |
| ビデオカード | NVIDIA「GeForce RTX 4070 Founders Edition」、 NVIDIA「GeForce RTX 4060 Ti（8GB）Founders Edition」、 NVIDIA「GeForce RTX 3070 Ti Founders Edition」、 NVIDIA「GeForce RTX 3060 Ti Founders Edition」、 NVIDIA「GeForce RTX 2060 Founders Edition」、 NVIDIA「GeForce GTX 1060 6GB Founders Edition」 |
| ストレージ | Corsair「Force Series MP600 CSSD-F1000GBMP600」 （1TB M.2 SSD、PCIe 4.0、システムドライブ用）、 Silicon Power「PCIe Gen3x4 P34A80 SP002TBP34A80M28」 （2TB M.2 SSD、PCIe 3.0、データドライブ用） |
| 電源ユニット | Super Flower「LEADEX PLATINUM SE 1000W-BK」 （1000W、80 PLUS PLATINUM） |
| OS | Microsoft「Windows 11 Pro」（22H2） |
DLSS FGならWQHDでも戦える「Atomic Heart」
後編のトップは「Atomic Heart」から始めよう。画質は“アトミック”とし、フレームレート上限は500fpsに設定。ゲーム開始直後、ボートを降りた後のシーンでフレームレートを計測した。
Atomic Heart：1920x1080ドット時のフレームレート
Atomic Heart：2560x1440ドット時のフレームレート
Atomic Heart：3840x2160ドット時のフレームレート
幸い（？）レイトレーシング系はまだ実装されていないため、RTX 2060でも辛うじてフルHDで平均60fpsに到達できるが、最低フレームレートを考えると60fps維持ができるのはRTX 3060 Tiより上のGPUに限定される。RTX 4060 Ti（8GB）のポジションはRTX 3070 TiとRTX 3060 Tiの中間といったところで、前編で観測してきた結果と変わったところはない。
続いてはDLSSありの検証だが、DLSS SRに加えてRTX 4070およびRTX 4060 Ti（8GB）ではDLSS FGもセットで有効化している。
Atomic Heart：1920x1080ドット＋DLSS SR/FG有効時のフレームレート
Atomic Heart：2560x1440ドット＋DLSS SR/ FG有効時のフレームレート
Atomic Heart：3840x2160ドット＋DLSS SR/ FG有効時のフレームレート
DLSS FGはRTX 4060 Ti（8GB）でも絶大な効果を叩き出す。DLSS FGを追加することで、フルHDなら平均187fps、かつ最低フレームレートも125fpsという高フレームレート環境を実現した。
ただ、現時点ではレイトレーシングが未実装であるため、RTX 3070 TiやRTX 3060 TiのDLSS SRでも比較的高いフレームレートが出ている。将来的にAtomic Heartsのアナウンス時に見られたゴリゴリのレイトレーシングが実装されれば、DLSS FGが利用できるRTX 4060 Ti（8GB）の相対的価値も上がるだろう。
Atomic Heart：ベンチマーク中のTBP（上）とワットパフォーマンス（下）
消費電力やワットパフォーマンスについても前編で観測されてきた傾向と同じだ。DLSS SR＋FG有効時のRTX 4060 Ti（8GB）のワットパフォーマンスは、DLSS未使用時のワットパフォーマンスのほぼ2倍であることや、DLSS SR＋FGを利用することで同じ解像度でもTBPが低くなる点に注目しよう。
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