クリエイティブ系アプリでのパフォーマンスは?
ゲーム検証が終わったところで、クリエイティブ系アプリでの検証を少しやっておきたい。その前にCore i9-13950HXのパフォーマンスを見ていなかったので「CINEBENCH R23」のスコアーも見ておきたい。
モバイル向けのCPUであるためPower Limitの上限もデスクトップ向け第13世代Coreより低い。ただ、ノートPCとしては非常に高いスコアーであるといえるだろう。
参考までに「Blender Benchmark」も見ておこう。Blenderのバージョンは“3.4.0”を指定し、レンダリングデバイスはRTX 4090 Laptop GPUとした。
最後に試すのは「DaVinci Resolve Studio v18」だ。ProRES 422HQを利用した8K動画(約2分)をDaVinci上で作成し、これを1本の8K動画にエンコードする時間を計測した。コーデックはH.265およびAV1とし、CBRの1パスエンコード、ビットレートは80000Kbpsとした。
今回特に比較対象を設けてないため、以上のような結果になった、とまでしかコメントはできない。別プラットフォーム(特にRadeon)のハイエンドノートを試す機会が来たら、同じ設定で比較してみたいものだ。
発熱やクロックは?
では最後にRazer Blade 16の冷却力について軽く検証しておきたい。Cyberpunk 2077(解像度UHD+、DLSS SR+FG、画質設定は前掲のベンチと共通)をプレイ状態で放置し、その際のCPUやGPUの温度やクロックなどを「HWiNFO Pro」で追跡する。室温26℃環境で検証している。
これを見るとCPU温度は一瞬98℃まで上昇したが、ゲームが始まると一気に下がり、最終的には92℃前後で安定。一方GPUは84℃前後に踏みとどまっている。RTX 4090 Laptop GPUの温度限界(ここを過ぎないように運用されるという目安)は87℃であるため、かなりよく制御されているといえるだろう。CPUの方がGPUよりも温度が高い点については特に目新しい部分はない(既存のゲーミングノートも同じ傾向)。
一方動作クロックについてはCPUは一瞬だけ5.4GHz近くまで上がるものの、その後すぐに3GHz以下に低下し、ゲーム中のPコアは最大でも2.7GHz程度のクロックで動作していた。一方GPUは2GHzのやや上を安定飛行しているが、CPUのクロックが下がるにつれてGPUのクロックが上昇している点に注目。これはGPUのパワー要求の増大に伴い、CPU側のパワーを絞りGPUにより多く回していることを示している。
最後にCPUとGPUの消費電力をCPU Package PowerおよびGPU Powerの値から推察してみよう。CPUは最初だけ高いが50〜60Wと定格PBPとほぼ同じ値を示しているが、中盤以降は50Wに近い値を示すようになっている。
一方GPUのTGPは定格100Wだが、ゲーム中は140Wあたりを中心に上下に変動。特に中盤以降では大きく上振れするシーンが何回も見られる。これはRazer Blade 16に限った話ではないが、ハイパワーGPU(この場合RTX 4090 Laptop GPU)の持ち味を可能な限り引き出すように冷却やパワー周りのチューニングが施されているようだ。
モバイル向けRTX 40シリーズの登場で
ゲーミングノート評価も変わってくる?
以上で簡単ではあるが、Razer Blade 16のレビューは終了だ。デスクトップPCと比較すると性能が出し切れない部分はあるものの、ノートPCでDLSS FGが使えるというのは「これからのPCゲームを攻める上で」非常に大きな意味を持っている。
DLSS FGはCPUパワーが足りず描画命令をGPUに効率良く出せない状況でこそ威力を発揮するため、熱や電力の制限を受けやすいゲーミングノートPCこそ、DLSS FGの威力は発揮される(DLSS SRだけではどうにもならないF1 22の結果を思い出して欲しい)。その意味ではRTX 4090 Laptop GPUはノートPCで究極のゲーミング環境を手にしたい人のための究極の選択であるといえる。
Razer Blade 16について国内価格がまだ知らされていないため、コストパフォーマンスについて語ることはできない(多分相当高いと思われるが……)。だがCPUやGPUのチョイス、増設可能なメモリーやストレージ、そして何より見てて“眩しさ”すらリアルに感じられるミニLED搭載のデュアルモード液晶の完成度が素晴らしい。再起動なしでモードを切り替える機能や応答速度が1ms程度になればもっと良かったのだが、それは後継モデルに期待したい。
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