ホイールサイズは27.5 / 29インチが主流に
さて、なぜ冬になってマウンテンバイクなのか。それはぶっといスパイクタイヤを履かせて雪道を走りたいからであります。
履かせるタイヤはシュワルベの「アイススパイカープロ」。北海道のサイクリストにも定評のあるタイヤで、どうせならグリップを稼げるいちばん太いやつがいい。調べてみると27.5x2.60インチという幅70ミリほどのサイズがある。雪詰まりを考えるとフレームのクリアランスはどうなんじゃろうか。
そこで行き当たったのがトレイズプラス。昔はマウンテンバイクのホイールと言えば26インチでしたが、今は踏破性の高い27.5インチと29インチが主流。そのどちらも履けるのがこのマウンテンバイクであります。
標準装着は27.5インチホイール。それに幅2.80インチのぶっといタイヤ。俗に「セミファット」とか「27.5+」なんて呼ばれているサイズで、トレイズプラスというネーミングもそこから来ているのでしょう。セミファットが履けるなら雪詰まりも平気なはず。おまけに29インチも履けるのなら、雪のない季節も楽しめるだろう。これはいいぞ、というわけです。
「BOOST規格」対応
昔よりホイールが大きくなったおかげで様変わりしたのはホイールりです。あ、これは決して進次郎話法ではありません。サイズが大きくなり踏破性も上がれば速度も上がるわけで、ホイールの剛性が足りなくなったのでありましょう。
そこで出てきたのが「BOOST規格」。ハブを拡幅して横方向のスポークテンションを確保し、ホイールのねじれを抑制しようというもの。従来はフロント100mm、リア135〜143mmだったものが、それぞれ110mmと148mmに拡がっています。
その幅をクリアするためにフレームとフォークは専用設計です。ハブの拡幅でスプロケットも外に3mm押しやられましたから、クランクも対応品が必要。BOOST規格はこうした自転車の主要部分で従来品と互換性がありません。それでも普及が進んでいるのは、メリットの方が大きいからでしょう。
「スルーアクスル」採用
ホイールが高剛性化すれば、ホイールを固定する部分の剛性も必要です。これまでの「クイックレリーズ」は、フォークやリアエンドでハブを串刺して挟む仕組み。長らく使われてきたものですが、ディスクブレーキ時代になって弱点も見えてきました。そこで出てきたのが「スルーアクスル」。
少々汚くて申し訳ありませんが上がクイックレリーズ、下がスルーアクスル。
クイックレリーズはフォークやエンドの両脇を締め込み、すり合わせで固定しているだけなので固定軸として機能しません。横方向のねじれに弱く、着脱のたびにホイールの取り付け位置もズレます。ディスクブレーキの場合、車体側のパッドとホイール側のローターの接触面が一定しませんから、制動力にも影響する上、ブレーキ鳴きの原因にもなる。
そこでハブ固定部に厚みを持たせ、12mmの固定軸を貫通させたのがスルーアクスル。これでホイール取り付け部の剛性を上げてねじれを防ぎ、取り付け位置のズレを防ごうというものです。
正直言ってクイックレリーズの方が着脱は簡単ですが、これは慣れていくしかありません。
週刊アスキーの最新情報を購読しよう